- Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334733032
感想・レビュー・書評
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昨日に引き続き土屋氏作品。防犯カメラやDNA鑑定もない時代に足を使っての地道な捜査活動がとてもリアルにのしかかってくる。初めに容疑者ありきでアリバイを崩して行くミステリーだった。ただ木曽刑事のキャラは好きになれなかった。
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文章がうまい
それにつきる -
今まで読んだ土屋隆夫の中では最も本格ミステリらしい作品でした。初っ端から被疑者のアリバイがクローズアップされたり、現場周辺が一種の密室状態であったことがわかり、一気に引き込まれました。
物語性の高さも健在で、妖しげな童謡や、一筋縄ではいかない人間関係など読んでいて飽きることはありません。
事件の真相自体は、さほどインパクトはありませんが、時代ならではのトリックは楽しめましたし、悲運に見舞われた女の遣る瀬無さが際立ったラストは特筆ものです。 -
犯人探しでもアリバイ探しでもなく、証拠探しの本格ものです。
メイントリックは今となっては使えませんが、単純で斬新なトリックは衝撃的でした。
犯人と刑事の攻防も読み応えがありました。 -
昔の作家たちは偉大だ。
土屋先生の作品は初めてだが、ここまで面白いとは!
危険な童話は刑事たちの事件捜査によって明かされる真実と犯人の悲しい過去とが絶妙な出来で、また他に掲載されてる短編のできもいい。特に、郵便局員の話がいい。
刑事の心理や背景も描いているため、世界構築がなされている。いわゆる新本格(と括っていいのか)よりも。 -
ハガキに付いていた指紋と、犯行動機に悩まされました。
木曾刑事と主任とのやりとりが良かった。 -
仮釈放され刑務所から出てきた須賀俊二は、ピアノ教師木崎江津子の家で殺された。発見者である江津子が容疑者として逮捕された。被害者の体に残った痕跡から、兇器は片刃のナイフと推定されたが、その物証がどうしても発見できない。焦る捜査陣をあざ笑うかのように、一枚の葉書が届けられた—。論理とロマンチシズムが鮮やかに結合した推理小説―――――小説中各章の冒頭には童話が記されており、これが重要な意味を含んでいるという意匠。一人の捜査官の視点で描かれていて、所謂二時間サスペンスもので、推理しては外れ、推理しては外れ・・・を繰り返し、紆余曲折を経て遂にたどり着いた真相を以って犯人に説き伏せていく。そして最後にはロマンチシズム溢れる?動機が語られる。最後の最後にやっぱりお前か!という犯人に驚きは感じず、論理的推理も唯なるほどと思うだけで、全体を通して琴線の振れ幅は一定でした。これは好みの問題で、論理的に推理するという点においてはなかなかの上位本ではないでしょうか。