危険な童話 新装版 (光文社文庫 つ 2-23 土屋隆夫コレクション)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334733032

感想・レビュー・書評

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  • 昨日に引き続き土屋氏作品。防犯カメラやDNA鑑定もない時代に足を使っての地道な捜査活動がとてもリアルにのしかかってくる。初めに容疑者ありきでアリバイを崩して行くミステリーだった。ただ木曽刑事のキャラは好きになれなかった。

  • 古き良きテイストのミステリー。
    明らかに犯人は見えているはずなのに
    なかなか追いつめられない現実。

    そしてすべての事件が犯人から
    語られるとき、恐ろしいまでの事実が
    別の者の記録で明らかになってきます。

    これが本当に読書時注意。
    サイテーな事実が出てきますので。

    あとは最後に出てくるエッセイと
    批評についてのお願い。
    大丈夫です、よほどの作品以外は
    ケチョンケチョンにしません!!

  • 文章がうまい
    それにつきる

  •  土屋隆夫の代表作的な位置付けの長編作品。幻想的な童話に即して事件が展開される。ジャンルとしては,本格ミステリに属する作品であり,凶器の消失や,警察に送付される謎の手紙の存在などの謎が示される。
     刑務所から仮釈放されたばかりの須賀俊二が,従姉妹のピアノ講師の家で殺害される。木曾刑事は,死体の第一発見者であるピアノ講師の木崎江津子が,買い物に行く際に着ていたショールを掛けている位置から,死体の存在を知っていたと疑い,逮捕する。
     物語を通じて,容疑者として現れるのは木崎江津子ただ一人。凶器,在などが謎として提示される。
     いくつかのトリックが用意されている。まず,凶器の消失については郵便を利用したというトリック。凶器のナイフを入れた封書を暴力団宛てに郵送したというもの。  
     警察には,映画館で隣に座った人から指紋を取り,子どもを利用して送付させるというトリック。血がついたナイフをあらかじめ公園に置いておくというトリックも用意されている。
     指紋の採取に使った男から脅迫をされたので,殺害するという展開は,やや御都合主義であるが,殺害のトリックに,とおりすがりの人を利用して電話を掛けさせるというものも使っている。
     全体的に見て,トリックは陳腐。しかも,警察の捜査により打開的に暴かれていくので,一気に真相が分かるというカタルシスもなく,淡々と捜査がされるという印象しかない。動機など,物語全体の小説としての装飾はそれなりなのだろうが,全体の描写が古臭く,残念ながら,今読んで面白いと感じるデキではない。評価としては★2かな。
     推理小説はトリック次第では,むしろ古典的な作品の方が面白いこともあるのだが,日本のミステリは,その時代を描きすぎており,時代を経るとあまり面白く感じないものが多いような気がする。

  • 今まで読んだ土屋隆夫の中では最も本格ミステリらしい作品でした。初っ端から被疑者のアリバイがクローズアップされたり、現場周辺が一種の密室状態であったことがわかり、一気に引き込まれました。
    物語性の高さも健在で、妖しげな童謡や、一筋縄ではいかない人間関係など読んでいて飽きることはありません。
    事件の真相自体は、さほどインパクトはありませんが、時代ならではのトリックは楽しめましたし、悲運に見舞われた女の遣る瀬無さが際立ったラストは特筆ものです。

  • 犯人探しでもアリバイ探しでもなく、証拠探しの本格ものです。
    メイントリックは今となっては使えませんが、単純で斬新なトリックは衝撃的でした。
    犯人と刑事の攻防も読み応えがありました。

  • 土屋隆夫さん。初めて聞いた名前の作家さんです~。
    本の題名に釣られて買いました。
    4編の推理小説が入ってる本です。

    『危険な童話』は、伊原道人さんの童話を元にして作られた小説。
    仮釈放され刑務所から出てきた須賀俊二は、ピアノ教師木崎江津子の家で殺された。発見者である江津子が容疑者として逮捕された。被害者の体に残った痕跡から、兇器は片刃のナイフと推定されたが、その物証がどうしても発見できない。焦る捜査陣をあざ笑うかのように、一枚の葉書が届けられた。江津子は犯人か?

    そして、『判事よ自らを裁け』は、無実を訴える被告を死刑判決にした判事の話。

    3作目は、『変てこな葬列』。
    お互いの秘密を知ってしまった男と女が、仕方なくお互いを求め合うが、それぞれに縁談が持ち上がり、お互いを殺そうとしていく変わった話。

    そして最後は『情事の背景』
    妻の他殺に見せかけようとした夫の工作が自殺に処理され、保険金欲しさに他殺だと言い張る夫の計画。

    4作読んで、なんとなく始めから犯人、あらすじが分かってしまうストーリーでした。
    でも、そのわりにのめりこんでスラスラ読めたよ。
    私としては、3作目がちょっとブラックユーモア的で面白かった。。。
    お互い同じこと考えて同じことをして同じように死んでいっちゃうの。
    ストーリー性としてはとっても面白いと思います~。

    ただ、4作読んで、それも女との情事が絡んでたとこがね~、
    女としては、「いつも情事の裏には殺人があるのね、なんで?他に何かないのかよ~」
    とは思うよね。
    女が餌にされてるような感じはしたかな。。。。

  • 昔の作家たちは偉大だ。

    土屋先生の作品は初めてだが、ここまで面白いとは!

    危険な童話は刑事たちの事件捜査によって明かされる真実と犯人の悲しい過去とが絶妙な出来で、また他に掲載されてる短編のできもいい。特に、郵便局員の話がいい。

    刑事の心理や背景も描いているため、世界構築がなされている。いわゆる新本格(と括っていいのか)よりも。

  • ハガキに付いていた指紋と、犯行動機に悩まされました。
    木曾刑事と主任とのやりとりが良かった。

  • 仮釈放され刑務所から出てきた須賀俊二は、ピアノ教師木崎江津子の家で殺された。発見者である江津子が容疑者として逮捕された。被害者の体に残った痕跡から、兇器は片刃のナイフと推定されたが、その物証がどうしても発見できない。焦る捜査陣をあざ笑うかのように、一枚の葉書が届けられた—。論理とロマンチシズムが鮮やかに結合した推理小説―――――小説中各章の冒頭には童話が記されており、これが重要な意味を含んでいるという意匠。一人の捜査官の視点で描かれていて、所謂二時間サスペンスもので、推理しては外れ、推理しては外れ・・・を繰り返し、紆余曲折を経て遂にたどり着いた真相を以って犯人に説き伏せていく。そして最後にはロマンチシズム溢れる?動機が語られる。最後の最後にやっぱりお前か!という犯人に驚きは感じず、論理的推理も唯なるほどと思うだけで、全体を通して琴線の振れ幅は一定でした。これは好みの問題で、論理的に推理するという点においてはなかなかの上位本ではないでしょうか。

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