氷舞―新宿鮫〈6〉 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 916
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334733254

感想・レビュー・書評

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  • 新宿鮫シリーズ6。

    今回鮫島が追うのは偽造クレジットカートの事件。
    ところがそこに元CIAのアメリカ人殺害やら 仙田やら、暴力団やらが絡み、外事、公安、怪しげな人物が次々と登場して非常に複雑な展開になっていきます。

    物語がどのように転がっていくのか不明で混乱のまま進みますが、それが一人の女に収束していくのが見事。
    ヤクザなんかのプロ男たちが繰り広げる、血腥い事件の中心にいるのが女一人という構図に痺れます。
    そしてその女に翻弄される鮫島。

    この女にどうしようもなく惹かれしまう鮫島に、晶がいるだろう!とは思うのですが、大人の淡いプラトニックな情愛はロマンティックです。
    二人の悲恋のような「静」の展開と、警察組織の闇に迫る「動」の展開のバランスが良く、切なくも熱い骨太な1冊でした。

    しかし、今作でもっとも輝いたのは香田ではないでしょうか。
    これまで香田を小物だと思っていましたが考えを改めました。「傲慢ではあるが愚かではない」香田の、鮫島とは違う警察官としての信念がかっこいい。二人のライバル関係も今後どうなっていくのか非常に楽しみです。

    これまでのシリーズで積み重ねてきた事――晶との関係、宿敵仙田、鮫島の警察内での立場、同期の香田など――がここにきてひとつの転換期を迎えたように思います。
    ハードボイルドの新宿鮫を存分に堪能できました。

  • このシリーズで泣きそうになったのは初めてだ!

    手を変え品を変え、常に新しい感動をもたらしてくれる新宿鮫。
    今回のプロットは複雑で中盤までとっつきにくかった。しかも前作「炎蛹」の続きから始まるし。初めての読者がいきなりこの作品を読んでも、何のことだかわからないだろう。
    新宿鮫が警察小説であることを思い出させられた。

    鮫島が警察組織や自分の恋人との関係で悩み、徹底的に苦しむ。
    これまではバイオレンスやアクションやトリックで読ませてきたのに、
    今回は人間ドラマだ。鮫島の苦悩と葛藤の連続に読者も引きずられ、そして美しくも悲しい恋が終わりを迎え、読者も奈落に突き落とされる。
    暗く激しい物語だ。

    シリーズものの強みは巻数を重ねるうちに主要キャラクターが深みを増していくことだろう。私もすっかり虜になってしまった。
    なるはやで7巻を読まねば。

    そういえば、物語の序盤で出てきた前作の最重要キャラクターの仙田。
    どこ行った?

  • クレジットカード偽造集団を追っていたはずの鮫島が、元CIAのアメリカ人殺害事件を契機に、ヤクザと公安、ひいては政界との繋がりにまで切れ込む非常に複雑な作品。公安警察と警視庁の溝や、桜井商事という謎の諜報機関によって鮫島の行動はまさに孤立無援の様相を呈するが、第1作目で鮫島と激しく反目しあったキャリア組のエリート・香田と一時的に手を組むなどして、徐々に事件の真相に迫って行く。いやー、それにしても面白かった。「コレだよ、コレ!」って感じですね。非常に入り組んだ物語で、頭の中をイチイチ整理して
    いかなくちゃならない様な複雑さがたまらない。なんか、もう「どう見ても無理だろ」的な状況を力技で打破する鮫島がカッコいいですね。こういう鮫島のカッコイイ部分が見れた反面、晶を裏切って(?)クレジットカード偽造事件の被害者で知り合った杉田とイイ仲になってしまった鮫島を見てしまい、少し複雑な気分…。「おおお、お前はそんな漢じゃねぇーだろーッ!」みたいな。まぁ、何はともあれストーリー的には非常に満足の作品。

  • 複雑に見えていた物語(事件)の奥行のその絡まりの解かれていく巧い展開に感心。警察組織内部のキナ臭さい状況下(高圧的排除=暗澹たる力関係)抗して対象(事件)に迫る主人公鮫島の行動力・洞察力に今回もひきこまれた。冴えのある主人公人物像は健在で、力ある描写(筆致=大沢節)は読んでいて心地よい。本作では主人公警部となにかと衝突を繰りかえしてきた犬猿の仲の同期(ライバル?)の香田警視正とある種協力関係が結ばれる。鼻につく尊大ぶりで相対してきた香田の違った一面が垣間見られてその人物像に魅力が増した。

  • 新宿鮫シリーズ第6弾。
    西新宿のホテルでアメリカ人の男が殺される。
    その殺人を巡り、動く公安警察と「桜井商事」
    そして鮫島が心を奪われた舞台女優のマホ、そして恋人の晶との関係は…
    様々な背景と共に、バラバラだった話が繋がって行く物語が魅力的です。

  • 面白かった

  • なんだか新宿鮫もどんどんスケールが大きくなってきましたね~。
    読んで思い出しました。この作品、スペシャルドラマで見たことがあるわ。
    確かヒロインの(今回は晶じゃないんですね~。ウフフ)杉田江見里を鷲尾いさ子が演じたんですよね。
    「お~~鮫島が浮気!!」ってことばっかりに感嘆したという私。ヾ(≧▽≦)ノ ガハハ♪
    私の中での鮫島は館ひろしじゃないんですけどね・・・ヤメテホシイ。
    相変わらず大忙しな新宿署でして、鮫島は自分に任務を遂行しているのですが、その事件を追いかけるうちに、凄いところに到達してしまいます。
    はだかるのは公安警察。
    ライバル(?)の立花と対決か!?と手に汗握るわけなのですが・・・。
    一匹狼で嫌われ者の鮫島をサポートする脇役たち、桃井、藪、香田たちがこれまたいい味を出しています。
    それと先にも書きましたが、晶に惚れているはずの鮫島が・・・・同じ臭いを持つ美女に惹かれてしまう!という。これだけでワクワクするじゃないですか!!
    どんどん鮫島ってすごい奴になっちゃうなぁ~という感がありますが、やっぱり止められないわぁ~このシリーズ。いっそのこと、鮫島が警視庁総監とかになっちゃうところまでいって欲しいものだわ。アハハ
    それにしてもいつも思うの。
    公安警察って小説で、どうしてこうも嫌われるのかしら?
    ある意味、日本の治安を守るために無いといけない組織でもあるわけです。
    本当の公安警察もこういう嫌な奴ばっかりなのかしら?なんてフと思った次第です。
    ん・・・あたしって平和ってことなのかしらん。

  • 新宿鮫Ⅰ~Ⅵの中で一番面白かった。刑事としてではなくてただの男としての鮫島の描写にほっとした。過去の事件とそれに関わる人物の絡みが最後まで緊張感があって、一気に読めた。途中で結末を先に読みたくなる衝動にかられた。

  • 西新宿のホテルで元CIAの米人ブライドが殺された、新宿署刑事・鮫島の追う日系コロンビア人・ハギモリが消えた。事件の鍵を握る平出組の前岡に迫る鮫島だったが、ことごとく公安警察が立ちはだかる。その背後には元公安秘密刑事・立花の影が。血と密謀にまみれた立花が守る、公安の奥深くに隠された秘密とは?シリーズ第6弾。

    サイドストーリーである晶との関係が微妙です。 捜査の過程で出会う杉田江見里に惹かれていく鮫島。・・・予想外。 毎度のことながら捜査に邪魔が入りますが、今回は警察同士の戦い。泥沼です。鮫島がどうなってしまうのかと最後までハラハラします。

  • この人はやっばこのシリーズが良い。

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プロフィール

1956年愛知県生まれ。慶應義塾大学中退。79年『感傷の街角』で第1回小説推理新人賞を受賞しデビュー。91年『新宿鮫』で第12回吉川英治文学新人賞および第44回日本推理作家協会賞、94年『無間人形』で第110回直木賞、2004年『パンドラ・アイランド』で第17回柴田錬三郎賞、10年第14回日本ミステリー文学大賞、14年『海と月の迷路』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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