ヴィラ・マグノリアの殺人 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334733735

感想・レビュー・書評

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  • 葉崎市にあるヴィラマグノリア。
    嘗ての前田家の敷地に建てられた住宅10軒。街に遠くて使い勝手は悪いが海には近い個性的な住宅地。
    空家で身元不明の死体が発見される。犯人は住人か。個性的な住人たちへの捜査が進む中、住人の一人が殺害される。
    連続殺人事件。犯人は同じか?
    それぞれに理由がある殺人。
    謎解きを楽しむ物語ではなく、住人たちの個性が楽しめる。コーシーミステリー。
    恥ずかしながら面白さを初めて知りました。

  • 葉崎市シリーズ第1弾。10棟建てのヴィラ・葉崎マグノリアで、空き家だった1棟で密室殺人事件が発生。登場人物の住人たちのキャラが濃くて癖が強い。最初から散りばめられていた伏線の回収の仕方もお見事。犯人は全然想像できていなかった。途中、アルバイトの葉村さんが登場したね。若竹さんの良さが詰まったコージー・ミステリ。

  • ミステリ
    「海に臨むヴィラ・マグノリア。その空き家になった一棟で、死体が発見された。ヴィラの住人は一癖ある人ばかりで、担当刑事達は聞き込み一つにてんてこ舞い。捜査に手間取るうちに、ヴィラの住人が殺される第二の事件が発生!二つの事件のつながりはどこに?住人達の素顔も次第に明らかになって――。
     粒よりユーモアをちりばめたコージー・ミステリーの快作!」

  • 2021.4.28読了

  • なかなか難しい本だったかな!
    結果見てんーって感じでなんだか不思議なかんじだった!

  • おもしろかった。こういうミステリ好きだなぁ。

  • 湘南の景観がいいけど住むには不便な建売住宅の空き家に死体が転がっていた。またもやクセの強い住人が多数登場する。捜査が進むうちに住人達の触れられたくない過去が次々暴かれ、二組の夫婦が破綻する。どちらも一見奥さんのほうに問題がありそうだけど旦那のほうも身勝手で結果に納得させられる。
    一方最後に二組のカップルが誕生する。この辺のバランスはいい。

  • 〇 評価 
     サプライズ ★★★☆☆
     熱中度   ★★☆☆☆
     インパクト ★★☆☆☆
     キャラクター★★★☆☆
     読後感   ★★☆☆☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★☆☆

     架空の町,葉崎町を舞台としたシリーズ。ヴィラ・マグノリアという住宅地区で,連続して殺人事件騒ぎが起こる。コージーミステリという体裁をとっている。登場人物が非常に多い。その上,若竹七海の文体は,説明不足というか,無駄な描写がないので,誰が何をしているのか分かりにくい。そのため,冒頭からしばらくは物語に入り込みにくかった。
     最初の事件の謎は魅力的。空き家であるヴィラ・マグノリア三号棟の中で,顔と指を潰された身元不明の死体が密室状態で見つかる。この死体の身元がなかなか分からない。密室のトリックは連鎖的なもの。不動産会社がカギを掛け忘れていたこと,死体を運んだロバートが三号棟と八号棟を間違えたこと,三島が裏口のカギを閉めてしまったこと,という三つの出来事が起こったから密室になった。
     真相解明のシーンでは伏線が一気に回収される。牧野セリナの夫の自殺が偽装でロバートが夫(南春太)だった。三島芙由の夫は三年前に事故死しており,その死体が南春太の死体として引き取られていた。そして,謎の死体となった陽飛沖が,真相を知って恐喝しに来たと誤解し,隠蔽工作をしたというもの。ミスディレクションとして,鬼頭典子の元彼氏である笹間寿彦を出し,笹間と中里とのトラブルなどを絡める。ここに,松村朱美殺害が加わる。
     この作品の魅力は,ヴィラ・マグノリアに住むゆかいな人々,住人と警察の動向だろう。若竹七海特有のユーモアのある文体で,各個人が好き勝手に動くさまはそれなりに楽しい。
     それだけでなく,ミステリとしての骨格もしっかりしている。丁寧な伏線とその回収。ただし,トリックはしょぼい。プロットもそれほど凝っていない。
     雰囲気を楽しむミステリなのだが,若竹七海らしいシニカルな要素はある。それぞれの登場人物は,双子の子どもも含めて,単なるいい人ではない。無邪気な子どもですらない。最後の南小百合のモノローグもえぐい。実は事故ではなく,殺人でしたと明かさなくても…。単なるコージーミステリとして読むとここでガツンとくる。
     もう少し,内容を把握しやすいような文体だったらよかった。このあたりは相性だろう。トリック,プロットがしょぼいこともあって評価としては★3どまり。

     冒頭の書き出し部分がイマイチ。いきなり多数の固有名詞などの情報が多数登場し,物語に入り込めない。

    〇 メモ
    三島芙由
     一号棟の住人。公務員。双子の娘(亜矢・麻矢)がいる。裏口のカギを掛け,三号棟を密室にしてしまう。
    五代四郎・フジ
     二号棟の住人。四郎は引退した中学校校長。四郎は,入院している。五代四郎が倒れて救急車が呼ばれた騒ぎが,三号棟の密室の原因の一つ。
    岩崎晃・中里澤哉
     四号棟の住人。二人で塾を経営している。
    松村健・朱美
     五号棟の住人。朱美はトラブルメーカー。松村健は朱美殺しの犯人
    入江菖子
     六号棟の住人。翻訳家
    鬼頭時子・典子
     七号棟の親子。典子は鬼頭堂という古本屋経営をしている。典子はミスディレクション。
    牧野セリナ
     八号棟の住人。謎の死体に隠蔽工作をし,謎を深めてしまう。
    伊能渉・圭子夫妻
     九号棟の住人。夫は中古自動車の販売会社の社長。圭子にはかつて,不倫が原因で飛行機事故を起こしたという過去がある。渉は花岡みずえと不倫。二人そろってミスディレクション
    十勝川レツ
     十号棟の住人。猛烈老人
    角田港大・弥生
     ハードボイルド作家とその妻。実は妻がゴーストライター
    南小百合
     セリナの元姑。黄金のスープ亭のシェフ。陽飛沖殺害の真犯人
    ロバート・サワダ(南春太)
     菓子職人。二重国籍を持ち,牧野セリナの夫でもある。南小百合の息子
    笹間寿彦
     鬼頭典子の元恋人。
    三笠六郎,駒時時久,一ツ橋
     警察官
    児玉剛造・礼子
     小島不動産の社長夫婦。婦人は死体を発見する。
    花岡みずえ
     児玉不動産屋の従業員
    陽飛沖
     謎の死体の正体。謎の中国人
     謎の遺体(陽飛沖)殺害
     真犯人は南小百合。南春太(ロバート)と牧野セリナが偽装工作をしたこと,三島が裏口のカギを掛けたことなどが原因で密室殺人になった。
     松島朱美殺害
     犯人は松島健。母親からの電話などを使ったアリバイ工作

     ヴィラ・マグノリアに夫婦を案内した児玉礼子が死体を発見する。十勝川が警察に通報。三笠は3年前の中国人の密航騒ぎを思いだす。死体は顔を潰され,指も潰されていた。
     警察による聞き込み。その後,黄金のスープ亭に,ヴィラ・マグノリアの住人が集まる。住人による会話と推理。松村朱美は裏の道である人物を見掛けたといい,現場は密室状態だったので不動産屋が怪しいという話題が出る。
     警察による捜査会議。容疑は不動産屋に傾く。
     各住民による夜のシーン。
     翌日の捜査。警察は児玉剛造の話を聞き,剛造が伊能圭子を脅迫しようとして九号棟を訪れていたことなどを聞く。朱美が盗み聞きしたので,トラブルになる。
     警察は伊能圭子に聞き込み。脅迫のことも聞く。三島家の双子が学校でトラブルを起こす。
     警察が,黄金のスープ亭とホテルを調査。事件があった夜に東京の出版社の人間(進藤カイ)が急に泊まったことが分かる。
     伊能圭子に送られてきた脅迫状,進藤カイという謎の人物など,謎が増える。 
     警察が角田港大への聞き込み中に,松村朱美が殺害されているとの情報が入る。松村朱美の死体を発見した現場で,警察は十津川レツから,伊能渉が不倫をしていることを知る。
     三島芙由への聞き込み。警察の一ツ橋と三島が,高校時代の同級生であることが分かる。三島家の双子の娘から,鬼頭典子が昔付き合っていた男の話を聞く。その男の容貌は最初の被害者に似ていた。
     角田港大の妻,弥生への聞き込み。「進藤カイ」という名前が,角田の小説の登場人物の名前であることを知る。
     伊能渉は,花岡みずえと不倫をしていた。
     鬼頭典子への聞き込み。松村朱美が死亡した時間に,いたずら電話があり,もう少しでアリバイがなくなるところだったという。
     一ツ橋が三島芙由と食事をしながら夫のことを聞く。夫は3年前から行方不明。
     捜査が続く。松村健は妻の追悼パーティをしようとするし,伊能圭子は行方をくらます。捜査の中で,伊能圭子に脅迫状を出したのが伊能渉だったことが分かる。
     警察の捜査で,三島家の双子の子どもが,三号館の裏門のカギの在りかを知っていたことが分かる。
     殺人があった日,児玉剛造は,三号館のカギを掛け忘れていた。伊能圭子と昔不倫をしていた機長は既にしんでおり,中里は笹間を台風の日に殴っていた。
     松村家のお通夜。角田港大が松村健に推理を披露する。疑われていることに気付いた松村健は角田港大を殴り逃走。最後は車にひかれて捕まる。
     三島芙由は,双子が三号館のカギを隠していたことを知っていた。そして,事件のあった日,裏口に鍵を掛けたことを認めた。
     三島芙由が警察から疑われていたとき,牧野セリナが最初の殺人の犯人が自分であることを認めた。
     真相。松村朱美を殺害したのは松村健。もともと妻を殺害したいと思っていた松村健は,ヴィラ・マグノリアで起こった死体発見騒ぎに乗じて松村朱美を殺害した。母親からの電話や,松村朱美が魚を買おうと玄関にいたことなどを利用してアリバイ工作をした。角田港大の駐車場に車を止めたことなどが原因で発覚
     三号館で発見された死体は不法入国の中国人揚飛沖だった。犯人は牧野セリナ。牧野セリナは3年前,夫の自殺を偽装し,保険金をせしめた。実は,ロバート・サワダが牧野セリナの夫である南春太。二重国籍を持っていた。ロバートは,揚が自分を恐喝しに来たと誤解し,事故で頭を打ったロバートをセリナの住む8番館と間違えて3番館に運ぶ。進藤カイと名乗る男がホテルに来たりするなどして,その日は死体を動かせなかった。翌日は五代四郎の心臓発作騒ぎ。セリナは死体の顔と指を潰すなどして騒ぎに加わる。その後,三島芙由が裏口のカギを閉めてしまったので入れなくなる。
     3年前,セリナが南春太の死体として引き取った死体は,三島芙由の夫の死体だった。
     後日談。三島芙由と警察の一ツ橋はいい感じ。角田弥生は角田港大のゴーストライターだった。中里と鬼頭典子は八号館を買おうとする。
     そして,揚殺害の真犯人とこの事件の黒幕は南小百合だったことが最後に分かる。 

  • 海を望む斜面に建てられた、十戸の建売住宅・ヴィラ・マグノリア。
    素晴らしい景観やおしゃれでしっかりした造りにも関わらず、余りの交通の便の悪さのため住人が頻繁に入れ替わり、クセの強い人しか住み着いていない。
    ある日、空き家だった密室状態の三号棟で身元不明の男性死体が発見され、住人たちは大騒ぎ。
    住人たちのトラブルや内部事情が徐々に明らかになり、その上第二の事件まで発生し…。

    葉崎市を舞台にしたシリーズの1作目。

    平和で閑静な住宅街で起こる殺人事件、一癖も二癖もある住人達の世間話を交えた詮索。
    何だか二時間サスペンスドラマを見ているような読み心地でしたが、若竹さんのいつものピリ辛の毒もちゃんと入っており、最後まで気の抜けないストーリー進行に予定調和的な安心感を覚えつつ読了。

    表面的には仲の良い住人たちの隠し事にはドキッとさせられましたが、人間だれしも裏の面を持っていると思えば、さもありなんだよなあ、とリアルな人間模様にも読み応えがありました。

  • 二つ目の遺体が出るところらへんまで登場人物が把握できなかった。実写化したらおもしろいかもしれない、ドタバタ感と個性の強い住人たち…三谷幸喜かな?

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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