4000年のアリバイ回廊 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334733742

感想・レビュー・書評

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  • 縄文遺跡の発掘現場に産廃処理場を建設する計画が...。遺跡を残したい研究チーム、地元の人vs建設を進めたい派。そんな中研究チーム側の人間の死体が深海で発見される。動き出す警察。と同時に遺跡に残された骨のDNAを調べていくとある子供の親が別の生まれてまもない子供と言う奇妙な結果が出る。現代と4000年前のミステリーが並行して進む。遺跡に残されたものから想定される縄文人の死生観、宇宙観...。構成も面白いし壮大なスケールで描かれるミステリーも魅力的。そしてとてもロマンチック。色々盛り込まれた充実した内容でした。

  • 4000年のアリバイ回廊
     幕開け① 海の底
     幕開け② 海の表(17年前)
     第1章 火の国の”ポンペイ”
     第2章 ハイヌウェレの神話
     第3章 天文からのアプローチ
     第4章 たどる4000年
     第5章 それぞれの光明へ
     第6章 終着・風の都、音のムラ
     終幕 エデンの第二の実
    光文社「4000年の回廊」 1999年7月

    単行本あとがきと、挿入された文庫版あとがき

    解説 鷹城宏
    エデンの論理
     一、楽園
     二、蛇

  • 2008/5/20 Amazonにて購入
    2010/1/21~1/24

    私にとって柄刀作品2作目。前作の3000年同様、過去の殺人事件と現在の殺人事件を行きつ戻りつしながらストーリーは展開する。今回は宮崎県で約4000年前に起こったと思われる火山噴火で一夜にして起こった集落の埋没遺跡での謎と室戸沖の海底深くで見つかった発掘現場関係者の死体。設定は非常に魅力的ではあるが、前回も感じたのだが、どうも柄刀さんの文体と私があっていないのか、非常に作品にのめりこめなかった。なんでかなぁ。結論はもう2,3作読んでから。

  • 【 注目の縄文遺跡発掘主任の遺体、深海で発見 】  

    著者のデビュー作「3000年の密室」の
    パワーアップヴァージョンという感じ。
    世紀の大発見であった奇跡的な縄文遺跡の復元と、
    この遺跡を巡る現代の確執。
    4000年のときを超えて、
    現代と古代の謎が交錯する壮大な物語です。


    読了日:2005.12.29
    分 類:長編
    ページ:542P
    値 段:781円
    発行日:1999年7月光文社
        2002年9月発行
    出版社:光文社文庫
    評 定:★★★

    ●作品データ●
    ----------------------------------
    主人公 :特になし
    語り口 :3人称
    ジャンル:ミステリ
    対 象 :一般向け
    雰囲気 :考古学分野にマニアック
    解 説 :鷹城 宏
    カバーデザイン:櫻舎
    ----------------------------------

    ---【100字紹介】----------------------
    室戸沖千mの深海で発見された他殺体は、
    日本中が注目する縄文遺跡の発掘主任だった!
    産廃処理施設建設問題が殺人の動機と疑われるが…。
    一方、遺跡からも不可思議な発見が。
    現代と古代の謎が交錯する、壮大な物語!
    ---------------------------------------

    タイトルからして、柄刀氏のデビュー作「3000年の密室」とつながりがありそうですよね。実際に共通キャラがいます。骨考古学教授の川久保せんせーです。だからと言って、主人公というわけでもありません。「3000年」では若手女性研究者が主人公でしたし、本作には特定の主人公はいないように見えます。しかし、続編的位置づけであるのは間違いないようで、色々と類似点および対比点があります。

    まず、タイトルは誰でも分かる類似です。しかし1000年、遡っていますね?更なる深遠に向かう著者の姿が垣間見えるようですね(笑)。そしてどちらも考古学的な要素が大変強いミステリです。過去と現在の謎が交錯しながら進んでいく、という点が同様の構造になっています。謎は、2作目になって更に深まり、複雑になりました。「3000年」で発見されたのは「山奥」の縄文遺跡で、1体のミイラが謎を投げかけていました。「4000年」では火山噴火によって滅亡したムラが約20人もの住民たちの姿とともに発見されました。このムラは、「海」に強いつながりを持つと言われています。さらにこの夥しい住民たちのDNAが復元され、その上彼らの直系の子孫を、現在の日本人から探す、という話題性抜群な試みまでやってみせていて、思わず読者に「ええ!?」と体をのり出させてくれます。

    現在の謎に関しては、前作では中盤以降で登場する、という遅さでしたが、本作は冒頭にいきなり、遺体が発見されます。しかも、深さ千メートルの深海から…。いや、よく見つけたものです。というわけで、第1章からどんどん進出してくる刑事さん。しかもちゃっかり時刻表まで掲載してくれて、細かいアリバイ確認をしていきます。本当に細かいのですよ!いや、性格なのかな、著者の。過去の謎にも、本当に細かい描写が頻出ですから。

    そんなわけで、本作はよく言えば大変緻密で知的。悪く言うなら無駄に細かくて、理屈っぽい。評価は分かれるところかも。あまり文章を読み慣れない読者には絶対にお勧めできません。ハードル、高すぎですね。とにかく細かいの大好き、パズルも好き!という方、そんなあなたは是非お試しあれ。また、考古学好きもウエルカム!ですね。


    ところで視点中心が変わると、突然がらりとジャンルが変わるように見えることがありました。ラストとか…、うーん、びっくりしましたね。柄刀氏はやっぱり、ロマンチストなのでしょう。ええ。



    ●菜の花の独断と偏見による評定●
    ---------------------------------
    文 章 :★★★
    描 写 :★★★
    展 開 :★★
    独自性 :★★★★
    読後感 :★★★
    ---------------------------------


    「素晴らしい…」
    (エイモス=ディッペンバウアー)

    心からのことばは、美しい。

  • 題材、仮説は見事。話の展開のしかたも上手いが、文章が下手で読みにくいのが難点。ミステリは時刻表を使ったネタ、あんまり好きではない。縄文人が現代人よりも本能的能力に優れていただろう説は納得、土偶のあり方もなるほど。双子の扱い方に驚愕、今後実際にボンベイのような遺跡の発掘に期待。

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著者プロフィール

1959年、北海道生まれ。1994年に「密室の矢」が読者投稿アンソロジー『本格推理3』(光文社文庫、鮎川哲也・編)に採用され、以降も「逆密室の夕べ」と「ケンタウロスの殺人」の投稿作品が採用された。98年、長編「3000年の密室」で作家デビュー。代表作は「時を巡る肖像」「密室キングダム」。日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブの各会員。

「2022年 『【完全版】悪霊の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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