海の微睡み (光文社文庫 ま 11-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334733872

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  • 那覇市から約40kmはなれた具志島と留久島に橋を架ける建設作業のクレーン運転手 原田健太は、宮崎県出身。
    その12歳年上の矢口も同じ宮崎県出身で、建設現場の副監督のような立場。
    留久島は、人口150人の小さな島。なにもない島が舞台となっている。島には、さまざまな言い伝えが残っている。

    健太は、比較的大きな島 具志島にアパートを借りて生活している。
    健太は、琉球大学海洋学科に受験に来て、落ちて、そのまま居残ってしまった。

    健太は、休みの時は、魚釣りで時間をつぶす。
    留久島で魚釣りをしていた時、偶然若い女性にであう。
    「島の女」、20歳の美華である。
    島で生まれ、育ち、そしていまは、スナック「ミカちゃん」を切り盛りしている。
    美華は、小さな島で咲いた大輪の花のような存在。
    たとえれば、ハイビスカスなのだろうか?
    実にしっかりして、したたかな女性。
    腕利きの漁師祖父は、海の漁で、行方不明。
    父親は、すもぐり漁などをして、現在は、脳溢血で、那覇の病院へ。
    母親は、那覇のスナックでホステスをしながら、父親の看病をする。

    美香がスナックで出す料理は、沖縄独特のものだ。
    「シュモクザメのソテー」
    美華にいわれて、庭先のニラをつまみに行くが、大きなハブに遭遇する。美華は、手際よく、ハブのクビを切り落とす。
    留久島は、ハブがおおい島で有名だ。

    ふたりが一緒につりいった時は、1m近いガーラをつり上げる。
    そして、健太は、悪戦苦闘して、ガーラを解体する。

    会社側が主催して、ビーチパーティをした。
    ふたりは、だんだんと親しくなる。
    美華から、カザミ(蟹)がとれたからと電話がかかる。
    急いでチャーター船でいくが、どういうわけか、矢口も顔を出す。
    矢口は、一生懸命、女房と別れるといって、美華をくどく。

    矢口と健太は、ケンカになるが、
    矢口が、健太の運転しているクレーン車にタチションベンをしたことから、職場での熱も冷め、仕事をやめ、美華の家に転がり込む。
    健太は、美香と結婚することをぼんやり考えるが、
    どうしても、ハブが夢の中に出てくる。美華が、ハブに変身したりする。

    父親が、危篤という話を聞いて、美華は急いで、那覇に向かうが、
    その留守のスナックに、矢口と若い女性が・・・やってくる。
    その若い女性は、時より健太が見かけるあか抜けした女性だった。
    留久島のウチナンチュウーの教師だった。
    その教師は、積極的に、健太に言い寄る。
    そして、・・・・。事件が起こる。
    知らない間に、健太にも嫌疑が、

    島には入り込むヤマトンチュウ 健太は、
    したたかな島の女 美華に翻弄され、
    そして、ウチナンチュー女教師に、翻弄される。
    あっという間に、迎えるエンディングは、
    何ともいえぬ深い生活文化への意味がある終わり方である。

    生活文化の違いは、こうも違った結末を迎えるものだろうか。
    なかなか、ウチナンチューへの壁は厚いものである。

  • 行動力があり、決断力がある。

    何も考えずにてきとーにものを言う、行う。

    この小説の主人公は非常に物事を決めるのが早いです。
    そしてすぐに実行します。

    で・・後から後悔したり。

    もうちょっといろいろ考えないのかな・・普通。
    と思ったりもします。

    ………

    清涼飲料水の自動販売機にコインを入れた。
    沖縄本島より、運送費がかさむのか、二十円高かった。
    ボタンを押したが、コーラは出てこなかった。
    返却レバーを捻ったが、コインも戻ってこなかった。
    健太は喉の渇きには勝てず、またコインをいれ、ボタンを押した。
    やはり、うんともすんともいわなかった。

    ………

  • 沖縄の女
    本土の男
    共感できない男心

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著者プロフィール

1947年沖縄生まれ。琉球大学法文学部史学科卒。1978年 『ジョージが射殺した猪』で第8回九州芸術祭文学賞受賞。  1980年 『ギンネム屋敷』で第4回すばる文学賞受賞。  1996年 『豚の報い』で第114回芥川賞受賞。

「年 『パラシュート兵のプレゼント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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