夏のグランドホテル (光文社文庫 い 31-11 異形コレクション)

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  • / ISBN・EAN: 9784334735104

感想・レビュー・書評

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  • やっと終わった❗️
    忙しくバタバタしながら1ヶ月程かけて
    読み終えました❗️

    「夏のグランドホテル」
    8月1日ここでしか降らない
    流星が流れる
    星祭にまつわる
    不思議な話し
    怖い話し

    沢山の作家さんが綴る
    オムニバスシリーズなんですが
    私は、加門七海さんの単行本「美しい家」
    に入ってる「金ラベル」から
    このグランドホテルに招かれました

    全て面白かったんですが
    チョイスすると

    ・海辺で出会って
    ・回転ドア
    ・ミューズ
    ・柔らかな奇跡
    ・影踏み遊び
    ・開かずの間
    ・金ラベル

    この辺りが好みでございます
    この中から更に絞ると

    ・海辺で出会って
    ・金ラベル

    やはり不動の「金ラベル」
    グランドホテルシリーズの
    2月14日をテーマにした
    前作の「グランドホテル」も読んでみたいな。

  • 時期が来ると読み返したくなる本の1冊。
    他の異形コレクションとは違いテーマが一貫しているので素っ頓狂な変化球がなくて読み易い。
    それでも一休シリーズをぶつけてくる朝松さんはあっぱれそして強引。
    ここはホテルの施設を使った現代物を読ませて欲しかったかな。
    お気に入りは高野史緒、牧野修、岡本賢一作品。

    冬には「グランドホテル」の方を読み返すんだろうなぁ。

  • 色んな作家の短編集。
    なかなか面白かった。
    とても不思議なグランドホテルでした。

  • 小説

  • ・海辺で出会って(中井紀夫)
    初っ端から夏を強く感じさせる一篇。
    こういう形の運命の女もあるのだな。
    凝縮された一生をホテルというひとつの舞台で描く。

    ・回転ドア(柄刀一)
    南美希風が登場。
    島荘の衣鉢を継ぐ柄刀作品は、幻想的で不可能な謎に対し、合理的な解決を与える手腕が優れていると思っているが、本作は異形コレクションであるからか、ひとつの謎が解けた後に計り知れないものが残る終わり。
    ミステリ部分としては、建築物としてのホテルの一要素をどう使うのかという着眼点がさすが。

    ・ミューズ(高野史緒)
    ホテルの伝説に焦点を当てた音楽小説。

    ・天蓋寝台(北原尚彦)
    離婚した妻との思い出と、サバトの女との物語が関連しているように思えるがまとまらない。

    ・ヴェンデッタ(森青花)
    二人の格闘家と一人の妻。
    凄惨であるのに美しい物語。
    男の肉体・思考が、ギリシア神話の彫刻のような端正さ。

    ・お薬師様(浅暮三文)
    章の番号通りに読むのと、章の最後で指定された番号順で読むのとで違う物語になるという実験小説。
    『実験小説 ぬ』で読んだことあった。

    ・アイネ・クライネ・ナハトムジーク(石神茉莉)
    石の物語。
    これぞ幻想文学という文体で、中心となる女性の神秘性といい完成した雰囲気。

    ・お迎え(飯野文彦)
    二人の落語家が落語を通して対決する場面が巧みだし引き込まれる面白さ。

    ・辿り着けないかもしれない(飛鳥部勝則)
    もしもイコノロジーの知識とかあったらもっと楽しめたかも?

    ・異の葉狩り(朝松健)
    『グランドホテル』の斎藤肇「シンデレラのチーズ」を彷彿とさせる和風ホラー。
    こちらの方が技巧的かつ手間も比べものにならないぐらいかかっていそう。
    「異の葉狩り」で句を読み合っているときの緊張感や恐怖の描き方が秀逸。

    ・人魚伝説(町井登志夫)
    医療ホラー。
    作品紹介のブラックジャックというのが、確かにそれっぽい。
    終わりは良い。

    ・柔らかな奇跡(矢崎存美)
    《ぶたぶた》シリーズというのを未読だけど、自分勝手な女性に対しても優しい目線のラストで、どんな雰囲気のシリーズなのか何となく伝わる。

    ・チャプスイ(南條竹則)
    チャプスイも知らなかったが、その元になったごった煮の逸話から料理を再現するという展開が面白い。
    娘への手紙のような風体で始まったのに対して、最後の展開が乖離しているようで、出だしの意味はあったのかと疑問に感じた。

    ・無限ホテル(薄井ゆうじ)
    幻想小説。大きな出来事が起きるわけでもないが良い読みごこち。

    ・過去の女(森奈津子)
    良い話のように終わらしているけれど主人公の男の人物造形からして非常に疑わしい(作者効果)

    ・死神がえし(岡本賢一)
    このアンソロでも数少ないホラーらしいホラー。
    妻の身体から本を切り出す場面が恐ろしくも映像的に美しい。
    「私は慎重に、薄切り肉のようなページをめくった。」
    身体から連想されることで本来なら結びつかない修飾表現が生まれる。

    ・流星雨(速瀬れい)
    他の作品とまさかのサブテーマ被り。

    ・魔夢(夢野まりあ)
    「自分の死体写真」と文章。

    ・影踏み遊び(倉阪鬼一郎)
    俳句が一句、生まれるまでの物語。
    屈指の切なさ。
    一句生まれるまでの物語を描くことで格別な文脈が付随する。

    ・局所流星群(野尻抱介)
    アンソロの設定のおかしな所をSFで解読する一編。

    ・開かずの間(菊地秀行)
    宇宙と老人の死。抽象的。

    ・めいどの仕事(牧野修)
    ベッドメイキングで怪物を撃退する客室係のスタイリッシュアクションストーリー。

    ・金ラベル(加門七海)
    夢と星の美しさに満ちていて、最後を飾るのに相応しい一編。
    「魔法使いの弟子」のイメージが頭に浮かぶ。

    ・モザイク(井上雅彦)
    エピローグ。
    それぞれの物語から集めた記念品は、それだけでどの物語か分かる。
    作者が意識してもしなくても、それだけで分かるモチーフが出来ることの不思議。


    振り返ると、「海辺で出会って」、「回転ドア」、「お迎え」、「金ラベル」あたりが好み。

  • '99年2月にコレクションの第9弾として登場、好評を博した「グランドホテル」、その時はバレンタインを迎えたホテルが舞台だったが今回は夏、それも八月一日にこのホテルでだけ見ることの出来る流星雨を楽しむ「星祭り」があるという設定。
    読んでいるとわけもなくふらりと旅に出たくなるような1冊。

    印象に残った5作品
    ・「お迎え」飯野文彦……前巻に続いての噺家もの。ラストの言葉は作者自身の決意か。
    ・「人魚伝説」町井登志夫……今回も医学系。相変わらずエグい。
    ・「チャプスイ」南條竹則……美食と悪食、グロテスクは紙一重ということか。
    ・「影踏み遊び」倉坂鬼一郎……今回も泣かせるホラー。著者は作風変えたのかしらん。
    ・「めいどの仕事」牧野修……今回のベスト。登場するメイドのプロフェッショナルぶりはただただ格好いい。
    (以上、収録順)

    ……あぁ、また好みの作家の作品ばかりあげてしまった。

  • 内容的にはあまり関係ないのだけれど(微妙にリンクしている部分はないでもないけど)、以前刊行された「グランドホテル」と併せて読めばより一層楽しめること間違いなし。こういう形式、素敵だなあ。
    今回はホラーよりも、幻想味が強めのセレクションかも。特に加門七海「金ラベル」が最高! 流星の正体がこういうものだとは……とびっきりのファンタジー。情景が目に浮かぶような楽しさに満ちた一作。

  • 前回の『グランドホテル』ほどの面白さは無いような気がする。舞台が明るい海故か? でも、好きな作家さんの意外な作品が読めて嬉しかった。

  • 1932年、エドマンド・グールディングという映画監督が、一本の映画を発表しました。<br>
    その名は『グランド・ホテル』。<br>
    1つの場面に集いあう、様々な人物の人生模様が同時進行で繰り広げられるというその展開は、後の世に様々な影響を及ぼしました。<br><br>
    では、その趣向を、ホラー小説の世界に持ち込んだらどうなるか・・・?
    <br>
    そんな疑問にお答えるのがこの小説です。<br>
    毎年、8月1日に『この地にだけ降る流星群』を堪能するスペシャルプランが開かれるというホテルを舞台に、様々な物語が展開されます。<br><br>
    中でもお勧めは、浅暮三文先生の『お薬師様』。<br>ゲームブックの手法を取り入れた、斬新なストーリー展開が奇想天外な物語を生み出します。

  • 選ばれた人だけが宿泊でき、さまざまな客室に起こる人間模様が、一夜のうちに交差する物語が面白い。冬の方のグランドホテルもおすすめ。

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著者プロフィール

鳥取大学大学院 医学系研究科

「2019年 『公認心理師 実践ガイダンス 2.心理支援』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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