三位一体の神話(下) (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334735135

作品紹介・あらすじ

第二の事件の犠牲者は、枷市和友。尾瀬路迂の死後6年を経て企画された全集の担当編集者であった。咲梨雅の恋人であり、同僚でもあった。彼は、尾瀬の遺稿整理を進めるうち、葦阿胡右が編集する雑誌に寄稿して未掲載のまま盗難にあった原稿の存在を知る。そして、枷市が自宅で殺害された事件当日、葦阿はなぜかアメリカにいた-!?ミステリー文学の高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻を読んだときも書きましたが、読書の醍醐味を感じられ充実感があります。

    重厚な緻密な、また思いがけない手法で書かれていて、推理モノにありがちな後だしジャンケンみたいな、「実はあのとき・・・」的なずるい印象は無く、清清しささえ感じられました。

    大西巨人さんの本は2冊目ですが、以前読んだのも、架空の地名が出てきて、今回は「鏡山県」「南京県」など出てきました。それが、実際はどこの県を想定してるのか、思い巡らすのも楽しみの一つ。

    その架空の住所を番地まで書いてあるので、そういう地名があるのかと一瞬騙されそうになるのも楽しいんです。

    ただ、ちょっとやっぱり重厚なので、大西作品を続けて読むのはパワーが必要です(笑。
    あ、あくまで私にとってですが。

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著者プロフィール

作家(1916年8月20日~2014年3月12日)。福岡県生まれ。九州帝国法文学部政治学科中退。新聞社勤務の後、1941年12月召集され、以後敗戦まで対馬で兵営生活を送る。敗戦後、福岡で発刊された『文化展望』の編集に携わる傍ら、文筆活動を開始する。46年新日本文学会に入会、以後『近代文学』や記録芸術の会など、さまざまな文学芸術運動に関わる。48年日本共産党に入党、61年以降は関わりがなくなるが、コミュニストとしての立場は生涯変わらなかった。公正・平等な社会の実現を希求し、論理性と律動性とを兼ね備えた文章によって個人の当為を形象化する試みを続けた。1955年から25年の歳月を費やして完成した『神聖喜劇』は、軍隊を日本社会の縮図ととらえ、主人公の青年東堂太郎の精神遍歴の検証を通じて絶望的な状況の中での現実変革の可能性を探った大作で、高い評価を受けている。ほかの小説に『精神の氷点』(1948年)、『天路の奈落』(1984年)、『三位一体の神話』(1992年)、『深淵』(2004年)、批評集に『大西巨人文藝論叢』(立風書房、全2巻)、『大西巨人文選』(みすず書房、全4巻)など。

「2017年 『歴史の総合者として』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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