虚の王 (光文社文庫 は 21-1)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (586ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334735449

感想・レビュー・書評

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  • 渋谷。
    かつてこの街で伝説のチームの一人として名を馳せた男がいた。

    しかし、今ではヤクザにもなれず、シャブの売人として糊口を凌いでいた。生きる目的もなく、ただただ内から溢れるわけもない不満に絡まりながら。

    高校生が作った売春組織の全容を知るために奔走する。

    高校生の主犯は、どう見ても普通の子供にしか見えない。予備校に通い、大学を目指す、可でもなく不可でもない極々普通の子。

    しかし、いつの時代にも描かれるこの若者達の空虚さ。時代を追うごとに、低年齢化してゆく犯罪。

    他人には無関心であり、自分の要求が通らないと爆発する幼稚さ。

    他人に無関心であること。
    傷付かずに生きてゆく最大のありかたかもしれない。
    強さとは決して呼べない代物だが。

    2003年の作品だが、現在の若者にも十分あてはまる。
    むしろ、時が経つにつれ合致具合は増している。

    歪んだ形の個の時代。

    中身がともわなくとも、賞賛が得られればそれで良い。

    刹那的な生き方でも、十分生きていける時代になってしまった。

  • 怖さと絶望感を満たす暗黒社会だった!

  • 話題の馳先生ですが、こういう作風なんだな・・・
    暗黒小説・・・暴力!カネと女!アウトロー!的な・・・
    とりあえずレズレイプにはたまげたなあ・・・

  • この作者の作品はデビュー作の「不夜城」「鎮魂歌(レクイエム)―不夜城〈2〉」以来、久々に読む。

    ぶっちゃければ、この人の作品はどれも同じのような気がしてならない。たった3冊しか読んでいないが、そう断定してもいいように思う。
    もちろん舞台や登場人物は違うのだけれど、主人公はどうにも報われないし、ヒロインも黒いんだか救われないんだかだし、そもそも人が死にすぎる。そして暴力表現があまりに汚すぎて、どうも読後感が悪い。
    それがリアリティなんだという人もいるんだろうから、これがいいか悪いかは人それぞれなんだろうが。
    同じ理由でわたしは花村萬月が読めない。

    リアリティを追求すれば確かに暴力は汚くて醜いだけなのだろうけど、その汚さをいかに汚くない文章で表現できるか、が作家の実力ではないかと思う。

    100円で売ってたから読んだけど、もうきっとこの人の作品は読まないな。

  • 一気に読んでしまった。
    表現がエグいけれど引き込まれる。
    狂った部分を抱える登場人物達なのだけれども、どこか他人事とは感じられない。
    多かれ少なかれきっとみな狂った部分は内包して生きているんだろうなぁ。
    それだけに怖い小説でした。

  • 悪くはないが、不夜城と鎮魂歌は超えられない。

  • 面白い。

  • 長編暗黒小説と銘打っているだけのことはあります。
    小説として読んでいる文には面白いですが、映像だったら嫌悪感に耐えられなかったと思います。

  • 2008.12.23買取

  •  感動はないけど疾走感がある。救いがないのに目が離せない。<BR>
     あなたは壊れやすいものを見たときにそれを破壊してしまいたくはなりませんか?
     あなたは小動物を握りつぶしてしまいたい衝動に駆られたことはありませんか?
     おぞましいものを見たときに、そこから目を反らせず、ましてやそれに対して興奮を感じたことはありませんか?<BR>
    <BR>
     この物語に描かれているのは真実ではないかもしれないけど、ある面の事実なのかもしれません。<BR>
     感動も救いもないけれど、目を離すことができない。<BR>
     情緒を養うような物語ではないかもしれないけれど、退屈は感じない。<BR>
     そういう小説だと思います。<BR>

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。翌年に同作品で第18回吉川英治文学新人賞、98年に『鎮魂歌(レクイエム)不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。2020年、『少年と犬』で第163回直木賞受賞した。著者多数。

「2022年 『煉獄の使徒 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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