古書店アゼリアの死体 (光文社文庫 わ 10-3)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334735463

感想・レビュー・書評

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  • やっちまった。ただ今、5月5日の午後12時。

    〆切は明日朝1番なのに「未だ大丈夫」と思いながら、祝日の今日1日は、「つい」これを読み始めて一気読みしてしまった‥‥。どうすんだオレ。とりあえず、感想は置いてといて、徹夜覚悟で書き始めよう‥‥。

    ーーーーーーーーーーーm(_ _)m

    12時間後。
    もはや、葉崎市の海岸に打ちあげられた溺死体、或いはアゼリア古書店で発見された撲殺死体の気分です。死んでしまえ!私。先月の教訓はどうなったんだ!いや、すみません。後もう少し‥‥。

    ーーーーーーーーーーーーー\(^o^)/

    20時間後。
    いやあ、すみません。とりあえず終わりました。いや、終わらせましたとも!ところで本書の感想ですが、感想といってもサスペンスですからね、ネタは話せません。ともかく、ダメだダメだと思いながら、最後まで読ませるチカラは身ももって証明しました!だって、終わりに近づくほど面白くなるんだから仕方ない。しかも、ダブルどんでん返し。
    葉崎シリーズ第2段。若竹七海を年に10冊は読もう計画継続中(昨年は未遂、今年も怪しい)。今回は前書でヴィラ・マグノリアの土地を所有していた前田一族をめぐるアレコレの作品でした(←何ことやらサッパリわからん)。クスリとはするコージーミステリだけど、若竹七海だから人の持つ「毒」も仕込まれています。


    ※話とは関係ないけど、巻末に古書店アゼリアの店主・前田紅子による「ロマンス小説注釈」がある。葉村晶シリーズで、古本屋店主・富山泰之のミステリ注釈が巻末にあるのと同じ体裁、ていうか、こちらが最初か。

    ※経緯は言えないけど、死体を発見した女・相澤真琴が棺に潜り込む場面がある。
    「病院から死体を盗む映画、あったよね」
    「滝田洋二郎監督、高木巧脚本のピンク映画。あれ、俺マジ好きだな」
    というセリフが気になって、調べたら「タイム・アバンチュール絶頂5秒前(1986)」(田中こずえ、杉田かおり、若葉忍出演)が検索でヒットしたのだけど、肝心の病院云々の関係が一切わからない。同年2人は内田裕也も仲間に入れて「コミック雑誌なんかいらない!(1986)」という名作もモノにしている。とすると、このピンク映画、傑作か?

    • moboyokohamaさん
      それ程お忙しい中、若竹さんの作品は毒ですね。
      惹かれるタイトルだなぁ〜
      読んでみようか。
      締め切りも何も無い自由の身を謳歌しながら。
      それ程お忙しい中、若竹さんの作品は毒ですね。
      惹かれるタイトルだなぁ〜
      読んでみようか。
      締め切りも何も無い自由の身を謳歌しながら。
      2022/05/12
    • kuma0504さん
      moboyokohamaさん、コメントありがとうございます♪
      読みたいと思ってくださりありがとうございます。
      内容ほとんど書いてないのに‥‥...
      moboyokohamaさん、コメントありがとうございます♪
      読みたいと思ってくださりありがとうございます。
      内容ほとんど書いてないのに‥‥。
      雰囲気だけ伝えたいと思っていました。

      〆切、来月はどうやり過ごすんだろ‥‥。
      2022/05/12
  • 葉崎市シリーズ第2段。またまた楽しませてもらった。不幸のどん底にいた女が葉崎の海岸で溺死体を見つけたことから始まるジェットコースター的ユーモアミステリー。出てくるキャラの描き方が本当に上手くて続きを読みたくなる。〝おまけ〟も良い。

  • 「葉埼市シリーズ」第二弾。
    各章に有名な映画をもじったタイトルがつけられていて、目次を見ただけで面白そうです。
    勤め先が倒産、泊まったホテルが火事、怪しげな新興宗教に勧誘され、二階から飛び降りて左足首を捻挫したという不運続きの相澤真琴が、葉埼市の海岸で人間の死体を発見してしまう。
    さらには〈古書アゼリア〉の店番をすることになり…。
    ユーモア・ミステリーなので、物語は軽快に進んでいくのですが、終盤に近づくにつれ、葉埼市始まって以来の名家、前田家にまつわる凄まじい過去が明らかになっていきます。

    シリーズものだけあって、前作で登場した「鬼頭堂」や、「黄金のスープ亭」や、その他の人物が、長い説明もなくチラッと出てくるところが心憎い。
    真琴のアリバイを成立させるのに、ヴィラ・マグノリアに住んでいる塾講師までささやかに登場するところも見逃せませんでした。

    金と権力に執着する前田家の争いに意表をつかれ、その反面で、中学時代の同級生や幼なじみや町のひとたちとのつながりが優しく人情味があって、この葉埼市シリーズにどんどんはまってしまいそうです。

  • 葉崎市シリーズ2冊目の一冊。

    またまた訪れてみた、笑いがいっぱいの葉崎市。

    今回は不幸のどん底にいた乙女がいきなり溺死体に遭遇し更なる不幸に見舞われ、葉崎市に囚われる展開。

    この狭そうで実は広い葉崎市、やっぱり一筋縄じゃいかない。
    笑いと毒なしではいかない。
    そして真相は全くわからない。
    さすがだ。

    たぶん随所に笑いが散りばめられているから、読み手も推理思考そっちのけ、忘れさせられていくのだと思う。

    前回ほどのてんやわんや感はないけれど前回よりも確実に驚きと毒が強めで好き。

    そして気づいた。
    駒持警部補って何気に有能じゃん。

  • この事件、もし太平洋戦争前後に起きていたら、横溝正史だなあ、と思いました。この登場人物の絡み方。家柄とか血筋とか。
    ということは、いろいろな凄惨な事件も葉埼で起こるとこう言う雰囲気になるのかな、なるのだろうな、と思った次第。
    実にサービスたっぷりの一冊でした。
    巻末のロマンス解説は、なんだか、この本の後日談を読むような得した気分。解説の妙も味わいました。
    各章のタイトルもおまけ感がたっぷりで嬉しいものでした。
    ゴシックロマンスの伏線、にんまりです。
    それに限らず伏線の張り方と回収はこの作者ならではと言ってもよいくらいの見事な展開だと思います。
    駒持警部も大変だなあ。いろんなバディとの捜査でも揺るがないところは素敵です。
    さらりと読めるところが、この作品の面白さの中核と言えるかとも思いました。
    満足しました。

  • 〈葉崎市シリーズ〉第2弾。
    第1弾である『ヴィラ・マグノリアの殺人』に出てくる〈鬼頭堂〉ではなく、〈アゼリア〉という古本屋をとりまく事件と、ロマンスと、お家騒動の話。

    『ヴィラ・マグノリア』でも少し名前だけ登場した、葉崎の名士「前田家」の家系と資産にまつわる殺人。

    外から来た、相澤真琴という不運が重なりすぎて葉崎にリフレッシュしに来た女性が、いざ海に向かって叫ぶと波間から男の死体が……。
    という、真琴には悪いが少しコミカルな描写から物語ははじまる。

    しかし、そこからは「前田家」の資産をめぐる骨肉の争い、さまざまな謀りや疑惑が噴出し、そのうち死体も増え、ますます複雑な事件となってくる。

    私が今回一番好きだったキャラクターは、アゼリア店主の前田紅子だった。矍鑠とした威勢のいいおばあさんで、ロマンス小説をこよなく愛し、自分の店をロマンス小説専門店にしたほどだ。前田家の名前のついた、生年育英基金も立ち上げている、面倒見のよいひとなのである。
    作品の序盤から好きだったけど、最後まで読んでもやっぱり好き。「とあること」(核心にふれるので詳細は省く)を思うと、とても切ない。

    今回読んで分かったんだけど、固定で出てくる登場人物は駒持警部補だけなのね。ちらっと名前だけ登場とかはあったけど。知ってる名前が出てくると「おっ」って嬉しくなりますよね(笑)。

  • 「葉崎市シリーズ」第2弾。
    葉崎署駒持警部補の今回のバディは五木原巡査部長。このコンビもいいわ〜。

    仕事を失い、やけくそで泊まった高級ホテルで火事に遭い、海に向かって「バカヤロー」と叫びに来た葉崎市の海岸で死体の第一発見者となった主人公・相澤真琴。その後も店番で入った古書店で泥棒に遭ったり、首を絞められて殺されそうになったりととことんツイてないところがどことなく葉村晶を彷彿とさせる。

    その他の登場人物もなかなか個性的で、事件の展開はもちろんのこと、読み出したら止まらない。
    タイトルにもなった「古書店アゼリア」がロマンス小説専門の店ということで、海外ロマンス特にゴシックロマンスのカルト的知識が満載。
    巻末に置かれた古書店主・紅子によるロマンス小説解説は、葉村晶シリーズの富山店長のミステリ解説と同じ手法でこれまた面白い。

    横溝正史ばりの旧家のドロドロをここまで軽く、スピード感あふれる展開で描けるのも若竹七海ならではで、このネタで3人も殺されてコージーミステリになるんだから大したもんだ。
    ミステリとしては小さな伏線がしっかり効いて、終盤でそれが見事に回収されていく様は気持ちいい〜の一言。

    ゴシックロマンス的なシーンもあったり、若竹ミステリは一筋縄ではいかないのは先刻承知だけど、最後の数ページの事件の真相部分、無垢が持つ残酷なまでの毒などやっぱり面白い。
    葉崎市、次はどんな事件が待っているのか、楽しみです。

  • 職場の同僚からお借りした、初めましての若竹さん。
    面白かったです。
    架空の葉崎市を舞台にしたミステリでした。
    名門・前田家のあれこれは込み入っていて、この要素は横溝正史っぽいと思いましたが、読み心地はとても軽く明るかったです。
    怪しい人もてんこ盛りで、やっぱり…の人もいましたが、無垢っぽい人が実は一番残酷なのかもな、と思いました。
    そしてネタバレかもしれませんが、厳密な真相は闇に葬られたのですねこれ……。
    古書店アゼリアの店主・紅子さんが好きでした。巻末のロマンス小説紹介も、ロマンス小説と言えどジャンルがさまざまで、未読のものは読んでみたくなりました。

  • 「葉崎市シリーズ」の2冊目。
    今度は、前作でも当地の名家として紹介されていた前田家を巡る騒動の顛末。

    海岸で発見された溺死体に行方不明になっている前田家の御曹司・秀春の可能性が浮上。
    かつて秀春の失踪事件を担当した駒持警部補が過去のお家騒動をなぞりながら五木原巡査部長とともに捜査にあたる。
    秀春を巡って、紅子に満知子に初穂に結衣にしのぶに麻衣、居並ぶ女性陣は皆、いわくあり。
    とは言え、前田家の人々のみならず、葉崎FMのメンバー、東銀座商店街の面々、そしてトラブルに見舞われ続ける相澤真琴など登場人物は皆、なんとなく憎めない感じの人ばかりで、筋書きはとても面妖な話なのだが、それを感じさせない軽やかな語り口でどんどん読ます。
    途中で挟まれるロマンス小説カルトクイズ(?)やプチ蘊蓄も嬉し。

    方々に撒かれた伏線がきちんと回収された巧みな収束を改めて行きつ戻りつで確認するのもまた楽しいが、そこで単純には終わらない最後の10ページ。
    今回もまた、警察の捜査では暴くことが出来ない腹の中の一物がごちられたラストに、本当によく練られているなぁと感心した。

  • 若竹さんの本質は、やはりコージーじゃないかと思う。これは肩がこらず楽しめた。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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