- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334736170
感想・レビュー・書評
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綺麗な言葉をたくさん紡いでいる小説。
青空にぶら下がり、太陽に灼かれながら、それでも窓を拭き続け、夢を見続ける夢追い人たちの物語。(高所窓硝子特殊清掃作業員)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供のころに読んだ小説。
当時はタツオや萩原さんのような大人になろうと思っていたけれど、実際に大人になってみると保雄が一番近いのかもしれない。
奥田にはなってないといいな。そう信じたいな。そう生きていきたいな。
>「夢を 叶える事よりも、夢を見る事で、人間は人間になれるんだっ、お前なんかに分ってたまるかっ」
表題の『青空のルーレット』と『多輝子ちゃん』の二作品を収録。
前者は、夢を持ち、夢を見て窓拭きをする者たちの友情物語。
正しさや能力・才能には言及してないところがポイントかもしれません。何かを得るのではなく、心を開いてく作品だと思います。作品の清涼感が、時には冷静さを取り戻させてくれ、時には蟠りを吹き飛ばしてくれます。
『多輝子ちゃん』は、あとがきを見るに「青空派」の『青空のルーレット』と対照的な「星空派」の物語でしょうか。多輝子ちゃんが恋を知る物語。実は青臭いのはこちら。
どちらも夢そのものではなく夢が人(自身・他者)に与える影響を描いてるように思えました。都合の良い展開が目立ちますが、物語を締めるためであってハッピーエンドかどうかも本作にとっては重要ではないでしょう。夢を諦めた人、夢を見ている人、誰にでもオススメできる作品でした。
>「………人生はきっと、〝人生は何だろう〟って問われるために僕達に有るんじゃないのかな………」萩原さんは、そんな事を言った。 「………人生は、そう問われたくて、そこに有るんだろうと思う………それを問わずに生きていける人は、確かに幸福なんだろうけど、―――でも幸福は、それを問わずに居られない気持で生きている人の毎日の中にこそ、有るんだろう、と―――人生というのは、きっと、そういうものだろうと、僕は思ってるよ………」 -
表題作の他に、第16回太宰治賞受賞作の「多輝子ちゃん」が収録されている1冊です。
表題作の舞台は東京。それぞれに夢を持って東京に出てきた若者の熱い友情の話です。
彼らは食べていくために、危険をともなうビルの窓拭きの清掃員として昼間は働いています。
”夢を追って東京で頑張っている”といえば、聞こえはいいけれど、日々、不安との闘いが続きます。
それでも自分の夢を叶えるために、少しずつ成長していく姿や男同士の友情が、とてもカッコイイです。
「多輝子ちゃん」は、海辺の田舎で穏やかに暮らす高校生”多輝子ちゃん”の恋の物語です。この作品にも夢を追う若者が登場します。
この1冊の本には、何かを創作することの大変さや素晴らしさが語られているように思います。
私には何かをゼロから創り上げる力はないけれど、受け取り手として、いろんな作品との出会いを大切にしたいな、と感じました。
図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ
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帝塚山大学図書館OPAC
https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/761499 -
温厚な萩原さんが言う
「夢を見るから、人間なんだっ」
「夢を叶える事よりも、夢を見ることで、
人間は人間になれるんだっ、
お前なんかに分かってたまるかっ」
この言葉を言うために、物語が つくられた。
高層ビルの窓ふきの人たちの物語。
その人たちは 窓を拭くだけではなく、
大きな夢を持っていた。
音楽、小説、俳優などなど。
何かが、うれしいなぁ。
そういう想いをもって、シゴトをしていることが。
『多輝子ちゃん』
ちいさな街で、住んでいると すぐさま、噂に事欠かない。
多輝子ちゃんは、バスで1時間かかる
都会の優秀な学校に通った。
オトコとキスしてた。
オートバイに乗っていた。
髪の毛を赤く染めた。などと、噂が立ったのだが、
多輝子ちゃんは、恋しただけなのだ。
彼氏は オートバイ事故で なくなってしまった。
それで、多輝子ちゃんは、死のうと思ったが、
ラジオから流れる歌を聞くことで、
死ぬのをやめたのだった。 -
昔読んで覚えてる本。なんとなく今の自分を作ってる感じ
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【青空のルーレット】、【多輝子ちゃん】の2編からなる作品。人は皆いつの時代も夢を見、そして追いかける。オレ何やってんだろ、アタシ何やってんだろと人生に悲観し不安や挫折を抱えもがき苦しむ。『夢を見るから、人間なんだ』なんて今まで散々擦って擦って擦り尽くされたチープなセリフさえも強烈に胸にエグり込むのはどうしてだろう。あの頃過ごした仲間の笑い声、絆、ただただ好きだという純粋な恋心、そんな青春があったこそ生きた。そしてこれからも生きていける。装丁の青空が読了後の気持ちを全て物語る。著者のあとがきの最後の1文は反則だよ(涙)
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タツオをはじめ宝栄の仲間たちが好きだ。男同士で好きって言葉を聞くことはあまりないけど、あいつらはそんな気持ちでつながってるんだと思う。社長もそんなタツオたちを理解してくれてるし、青空が似合うあいつらは何とも清々しい。多輝子の少年を思う「好き」もいい。誰かを好きになることで、日常が日常じゃなくてワクワクしたものになる。何を好きになるかって自分自身を決めちゃうくらいに決定的な選択かもしれない。この物語を好きって思えて良かった。
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学校の課題図書として
読んだのがこの本との出会いです。
読んだ後は、爽快感でいっぱい
ベタな展開ではあったけれど
素敵でずっと持っておきたい本です。
あんな仲間をもちたいと思いました -
何度読んでも、主人公や萩野さん視点のさわやかさは変わらない。今回初めて奥田視点で考えてみたけど、急に知らないところに連れられて来て、突然の専務というのも荷が重いのはあるかも。しかも男の人はプライドもあるでしょうし、仲間もいないし。だからと言って許されるような言動とは思いませんでしたが。