恋霊館事件 (光文社文庫)

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  • 光文社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334736620

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  • 探偵・有希と振り子占師・雪御所を主人公にした三部作の第2作。阪神淡路大震災後を舞台にした7編が収録された連作推理小説。

    嫌になるくらい切なく、哀しい事件の数々。ミステリーよりも人間ドラマを味わう作品か。前作の『未明の悪夢』が非常に面白かっただけに期待していたが、イマイチの作品だった。

    『五匹の猫』『仮設の街の幽霊』『紙の家』『四本脚の魔物』『ヒエロニムスの罠』『恋霊館事件 ー神戸の壁ー』『仮設の街の犯罪』を収録。

  • 前作は震災の只中が描かれていたのに対し、本作は徹底してその後が描かれています。
    震災が過ぎ去ってから浮き彫りになる問題は、東日本大震災が既に風化しつつある現状を鑑みる限り、単なる過去として読み飛ばすことは難しい。
    かなり重い物語で、気力を削るとられるようでした。
    個々の短編に関しては、ロジックよりはトリック。それも大掛かりな、という感じで奇想が売りのようです。なかでも表題作はバカトリック、多重解決が楽しめる良編です。
    前編後編からなる「仮設の街の犯罪」は、とんでもない伏線にニヤニヤが止まりませんでした。
    本作においてもミステリと震災は見事な融合を果たしているので、震災を描く必要性云々は全くの的外れな批判だと言っておきます。

  • 読んでいて、なんともやるせない気持ちになった。もしあの大震災がなかったら・・・、人生が狂うこともなかったかもしれないし。
    本書は神戸生れ育ちで、阪神淡路大震災を経験した作家・谺氏の2作目となります。
    1作目「未明の悪夢」も大震災の神戸を舞台にしています。
    もう10年以上経ったんですよね~。人間の記憶って本当に薄れていくものです。
    ましてや実際に体験していないと余計に対岸の火事みたいな感じで尚更です。
    3作目の「赫い月照」も、本書のそれからが描かれています。
    この大変だった惨事を風化させたくない、という著者の意気込みが感じられます。
    さて、本書ですが、これまた切ないです。
    事件もそうですが、それよりも被災者の心情や生活状態など、谺氏だからこんなにリアル感が出せるのだろうと思います。
    もちろん推理小説としても、伏線がうま~く織り込まれ、どんでん返しも面白いですし、探偵コンビもいい味を出しています。
    できれば一作目から読まれることをオススメします。

  • 三部作の二冊目。短編集です。「未明の悪夢」の後の話で、震災〜4年後くらいまでの話になっています。しかし三部作に入れる必要があったのか甚だ疑問。トリックは震災を題材にしたもので、出来は普通です。

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