灰 夜 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334736910

感想・レビュー・書評

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  • 最期は望むようなエンドを迎えなかったが、事件は一件落着を見ることができてスッキリはした。
    本心では、古山社長は生き残って欲しかったし、上原は捕まって欲しかった。
    警察内部の汚さや公安警察の狡猾さ、セクショナリズム、対北朝鮮への対応など、闇の世界を知ることのできるこのシリーズは、とても興味深い。

    この作品は、10年ぐらい前に読んだが、再読しても楽しめた。

  • 第1作からの因縁の同僚・宮本警視の遺書。宮本は新宿署の鮫島警部にこの遺書を託して自殺した。警察内部の悪態を告発したと思われる遺書を預かる鮫島が宮本の7回忌に彼の実家の法要に参加した。そこで、麻薬絡みの事件が起こる。北朝鮮産のシャブ、それを目に付けた警部補、宮本の親友、麻薬取締官、ヤクザ、北のダミー会社が複雑に絡む。鮫島がその千里眼で複雑な関係性を紐解いていく。鮫島の詰めてゆく過程は利巧で灰色の暗い海に泳ぐ飢えた鮫のようだった。登場人物の保身、北の思惑、敵の敵は味方になるのか?等、洞察に富んだ内容だった。

  • 新宿鮫は、面白い。今のところはハズレ無し。

    哀愁漂う結末と、“宮本の遺書”の残す暗い陰り………。
    シリーズとしての“動き”を感じた一作だったが、この文庫化が2004年で、2012年現在もまだまだ
    終焉を迎える気配は無し(笑)。

    ま、気長に楽しみながら、少しずつ読み進めるとしましょう。

    しかし、“宮本の遺書”って………。大沢さんの中では、すでに構想はできあがっているのだろうか?

    ★4つ。8ポイント。

    2012.07.30.了。

  • 鮫島は、彼がキャリアのコースから外れる契機となった同僚の宮本の七回忌に出席し、そこで宮本の幼なじみだった古山と木藤という二人の男と出会います。古山は、地元でいくつかの店を経営しており、そんな彼の案内で鮫島は一夜をすごすことになりますが、麻薬取締官の寺澤という男が古山の身辺を調べていることが判明します。

    その後鮫島は、とつぜん何者かに拉致されてしまい、古山とその妹の栞によって救出されます。鮫島は、自分の身代わりになった古山を助けるため、タイム・リミットが定められているなかで古山らの人間関係をたどり、事件の真相へせまっていくことになります。

    今回は宮本の遺書にまつわる事実が明らかにされることになるのかと期待したのですが、あまり新しい情報はあたえられていません。ストーリーにかんしても、完成度の高かった前巻にくらべると、錯綜しているわりに出たとこ勝負のような印象を受けました。

  • シリーズにあって異色作的位置づけか?海外TVドラマ『24』風の限定された時間内でのスピード感ある事件展開(ただし本作にツイストはない)。悲劇的結末(決着=事件解決)はバッサリと片づけられたような印象で、ご都合主義が感じられたられもののさすがの筆力で最後まで物語に引きつけた。本作シリーズは特に主人公の立ち位置にハードボイルド色づけ(雰囲気)がされてはいるけれど、警察小説としてその借景に施されるリアリズムへの腐心(主に着想)には度々感心させられる(特異さ際立つ『炎蛹』にはちと狙い過ぎの感を持ったけれど)。

  • 新宿鮫シリーズ第7弾。
    自殺したかつての同僚・宮本の七回忌に彼の故郷を訪れた鮫島は、思わぬ時間に巻き込まれる。
    プロットは相変わらず複雑で、登場人物も多く警察とヤクザ同士の駆け引きなど手に汗握る展開です。
    私は元々この小説で舞台になった土地に住んでいた経験があるため、それぞれの場面場面が鮮明に思い浮かんで懐かしさを感じました。
    惜しむらくは、最後の終わらせ方が少しびっくりするくらい雑だった事。
    登場人物もキャラ立ちしていて最後のエンディングを楽しみにしていただけに、肩透かし感は否めない。。

  • 新宿鮫シリーズは安定して面白い

  • 新宿鮫シリーズ7。
    今作の舞台は鹿児島。
    宮本の通夜に出席するためにやってきた鮫島が、現地で次々とトラブルに巻き込まれます。
    桃井や藪などいつもの面々は登場しませんが、見知らぬ土地、見知らぬ人々という舞台ならではの哀愁が漂っているのが良いです。
    まさに孤軍奮闘する鮫島の姿に手に汗握ります。

    今作では初めて宮本の人物像についての描写がありました。
    親友だからこそ鮫島は宮本の遺書を預かったのだと思っていましたが、二人の関係はそれほど深くはなかったようで、鮫島は完全に巻き込まれた形で気の毒。
    宮本はなかなか酷い奴です。

    しかし、鮫島が宮本の父親や友人たちと故人を偲ぶ場面にはグッとくるものがあります。
    まったく知らぬ者同士、宮本という今はいない男を介して、鮫島と古山がたった一晩で友情のようなものを築き上げるのがかっこいい。

    穏やかな夜を過ごし、早く東京に帰って晶に会いたい、なんてかわいいことを思う鮫島が突然拉致監禁されて緊迫した展開になるのにはワクワクしました。
    全くわけがわからない状況から、徐々に真相が見えていく展開が素晴らしい。

    鹿児島という舞台設定を存分に生かし、国際的な問題を提示し大きな事件にしながらも男同士の友情を絡ませて切ないドラマに仕上がっています。

    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











    みんな死んで終わりという決着のつけ方はあまり好きではありませんが、真相を知るは鮫島のみという幕切れには切ないものがあります。せっかく古山兄妹と親しくなれそうだったのに。
    古山の言葉が響くラストが凄く良いです。

    それにしても強烈な登場人物がたくさんいました。北朝鮮の工作員は怖いし、悪徳警官もよっぽだし。でも監禁場所にいたヤクザの弟がシリアルキラーみたいで一番怖かったです。

  • 宮本警視の7回忌に 郷里(鹿児島)にいく。
    そこで、宮本 の親友 古山、木藤に会い
    古山と 親交を深めることで、鮫島は 事件に巻き込まれていく。

    僅か 二日間の出来事で、大きな展開を見せる。
    麻薬取締官 寺澤が 追いかけていたのは
    北からの 麻薬の お金の動きだった。

    福岡のヤクザ 十知会 井辻。
    鹿児島のヤクザ 鹿報会 諸富。

    抗争で浮かび上がったのは 上原だった。

    ふーむ。
    これだけの短い時間で 事件の真相を解明してしまう
    鮫島の すごさ。

    美人 栞 と 平良マリーがでてきたが
    からむには 時間が短すぎたね。

  • 新宿を飛び出し、新しい展開だった。内容は、安定感あり。鮫島は相変わらず格好いい。

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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