サンチャゴに降る雨 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 11
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737122

感想・レビュー・書評

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  • パコ・サンチャゴ・マリンが欲しいという知人に贈った「サンチャゴ」要素。中身を知らずに贈ったのを今更読む。

     予想外に面白かった。歴史的事実を実名とか使いつつフィクションが加えられているのだが、悪くない。
     事実に脚色加えるのは辟易したりするけれど、チリという地球の裏側の国のお話だから、事実がフィクションのように感じられて違和感なく感じられてしまうのだろうか。
     とにかく、自分の生まれる前の地理の軍事政権のことなんてぜーんぜん知らなかったから、興味深かった。

     冷戦時代の南米(というか第三世界)は小説のような事実ばかりだからそそられる。

     「サンチャゴに雨が降る」というのがクーデタの隠喩であるというのが良い。タイトルにはこれしかないという感じ。

     この本との出会いは全くの偶然だけれど(ネタとして出会った本)とても良い偶然でした。


    _____
    (登場人物)
    ●安井豊…主人公、チリ人の彼女がいた医者。
    ●ビオレタ・アレス…主人公、社会主義運動家の両親をピノチェト政権に殺された女性。アメリカに亡命して女優になり、祖国のドキュメンタリーを撮影するため密入国する。
    ●アウグスト・ガルセス…ビオレタの宿敵になるピノチェトの部下。社会主義政権復活後に再び軍事政権樹立をもくろむ。
    ●田辺…豊の友人のジャーナリスト。チリの軍事政権の本性を取材するためにチリに潜入する。
    ●城山喜重郎…黒幕。世界の右翼を牛耳って日本の政財界に多大な影響を持つ男。

  • 南米チリ。チリに関して知っていることといえば・・・太平洋に面した細長い国。首都はサンチャゴ。
    お恥ずかしいが、それくらいです。多くの人がチリについて知らないと思うのですが、いかがでしょう?
    1973年9月11日。「サンチャゴに雨が降っています」というラジオからのアナウンサーの一報で始まった軍事クーデター。
    どのくらいの人が、それも73年という一昔前にあったというクーデターを知っているのだろうか? もちろん私は小学生でしたが、知りもしなければ知ろうともしていませんでした。
    それだけ南米というところは遠く、身近には感じなかったというわけです。
    なので本書を読み、チリについてのことなどとても興味深く読めました。
    大石氏はアジア、中東、北アフリカ、中南米を放浪し、その時の体験を元に書かれたデビュー作「パレスチナから来た少女」も秀作でした。
    本書においてはサンチャゴを訪れた際、約20年ぶりの民主選挙に居合わせたという体験もされ、その時の体験などが核となっているんだそうです。
    独裁化においての経験がないので、自由というものが本当に幸せなのかどうかははっきり言ってわかりません。
    ある意味、政府によって決められたルールに則って生きていた方が幸せなんじゃないか?と思えることもあるからです。
    ま、それはその政府が豊かであるというのが条件ではありますが。
    読み物としても、幼馴染との対決や出生の秘密など、読み手を逃さないほどの面白さです。
    ヒューマニティ溢れる作品を読むと、いろいろと考えさせられるし、胸が熱くなります。
    そんな感動を是非、味わってください。

  • 来月出張でサンチャゴに行くことになりチリを勉強する意味で読み始めたのですが、チリの近代史を勉強する上で非常に参考となる作品でした。また、サスペンスとしての完成度も高く本当に面白く一気に読める作品です。こういう作品を読むたびに、他国での出来事、特に近代史をほとんど理解できていないことを痛感します。日本の教育、報道のあり方にも少し問題があるのでしょう。あのようなくだらいない日本の政局について連日報道する時間があるのであれば、もっと世界の情勢に我々の眼を向けさせてくれるような報道をしてもらいたいものです。

  • チリで軍事クーデターが起こり、それに関わる人たちの物語。
    話自体もおもしろかったし、そこに描かれてる一人ひとりがすごいリアルでよかった。

    でも、現実に軍事クーデターとかって起こったものだし、今でもどこかの国でクーデターが起こるかと思うと、つらくなるわ。
    そんなことも考えさせられた一冊。

  • 南米チリ。チリに関して知っていることといえば・・・太平洋に面した細長い国。首都はサンチャゴ。お恥ずかしいが、それくらいです。多くの人がチリについて知らないと思うのですが、いかがでしょう?
    1973年9月11日。「サンチャゴに雨が降っています」というラジオからのアナウンサーの一報で始まった軍事クーデター。どのくらいの人が、それも73年という一昔前にあったというクーデターを知っているのだろうか? もちろん私は小学生でしたが、知りもしなければ知ろうともしていませんでした。それだけ南米というところは遠く、身近には感じなかったというわけです。
    なので本書を読み、チリについてのことなどとても興味深く読めました。大石氏はアジア、中東、北アフリカ、中南米を放浪し、その時の体験を元に書かれたデビュー作「パレスチナから来た少女」も秀作でした。本書においてはサンチャゴを訪れた際、約20年ぶりの民主選挙に居合わせたという体験もされ、その時の体験などが核となっているんだそうです。独裁化においての経験がないので、自由というものが本当に幸せなのかどうかははっきり言ってわかりません。ある意味、政府によって決められたルールに則って生きていた方が幸せなんじゃないか?と思えることもあるからです。ま、それはその政府が豊かであるというのが条件ではありますが。
    読み物としても、幼馴染との対決や出生の秘密など、読み手を逃さないほどの面白さです。ヒューマニティ溢れる作品を読むと、いろいろと考えさせられるし、胸が熱くなります。そんな感動を是非、味わってください。

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