江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者 (光文社文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (740ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737160

感想・レビュー・書評

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  • 乱歩の本はいくつか持っているけれど、この全集が一番好き 注が多いし、何より作品ごとに作者のコメントがついてるのがとても良い
    乱歩最初期の作品集で、勢いがある感じ 似たような変態性癖の人が出てくるので、続けて読んでいると、また似たような感じかと思ってしまう
    それでもやっぱり味つけがちょっとずつ違っていて、とても面白い
    探偵小説モノとしては、トリックが複雑すぎたり、無理があったりするけれど、小説ならではのおもしろさという形になっていると感じる

  • まず、本の作りがいい。文庫表紙の手触りや詳細な註と解題。最高に素晴らしいのが全作に自作解説がついている事。

    さすがに作品には出来不出来があるが、こうやって改めてほぼ発表順に読むと、この時期に乱歩のエッセンスが詰まっているのが良くわかる。この文庫のシリーズは全巻揃えたので、敬意を持って読み進めていきたい。

  • 二銭銅貨
    乱歩のデビュー作です。
    推理小説を読み込んでいるだけあって、かなりひねくれたつくりになっています。

    わたしは、どうせ推理ものならストレートな推理ものの方が、よいなぁとちょっと思います。

    一枚の切符
    チェスタートンのブラウン神父をちょっと思い出しました。
    こっちも、「二銭銅貨」と同じく、ひねくれたところがあります。
    ただ、こっちのひねくれかたの方が、性格はいい(意味不明だな)と思ったりしました。

    二癈人
    あとがきの「逆さまトリック」という話が、おもしろかったです。
    でも、ちょっと無理があるかな。こういう無理が、乱歩らしさなので、悪くないです。

    双生児
    初期短編集だけあって、いろんな乱歩の趣味がでています。
    これは、自分が自分を殺してしまうというイメージ先行の変な趣味が出ています。

    D坂の殺人事件
    明智小五郎登場。
    しかし、このトリックは、卑怯な気もします。

    でも、現実的には、こんなもんだろうなぁ。
    不審者は、赤い車に乗って……。

    心理試験
    これは、思い入れのある1編です。
    大学の心理学の講義のときに、あらすじを聞かされて、謎解きの部分をやったことがあります。
    見事だまされて、感心した覚えがあります。
    多分、それが、ファースト江戸川乱歩かな?いや、少年探偵団とかのシリーズは読んでいたか?

    黒手組
    これはまぁ、トリックがバレていたといえばバレていたのですが、爽やかな読後感で、嫌いじゃないですよ。
    あぁ、乱歩の読者は、もっと変な趣味なのを求めたのかも。

    赤い部屋
    このどんでん返しが嫌われたということは、やっぱり、乱歩って、変な小説を求められていたんだなぁと思います。

    日記帳
    うーん、こんな恋愛は、きらいじゃないですけど、それをみて一喜一憂する気持ちは、わからないかも。

    というか、女の子の暗号に気づかないというところが、間抜けすぎです。

    そして、女の子のその後も、ちょっとよめちゃいました。

    算盤が恋を語る話
    同じ秘めた恋愛の話ですが、「日記帳」より、こっちの方が数倍好きです。
    それは、もしかしたら、「算盤が恋を語る話」という題名が、好きというのも大きいかも。

    この恋は、かなって欲しかったなぁ。こんなことする男の人は、けっこう好きかもしれない。
    これほどマメではないのですが、内気なところが自分に通じるような気がするんだと思います。

    幽霊
    それほどつまらない作品とも思えないのですが。
    しかし、ここでペシャンコになっても、後、あれだけの作品を書くんだから、偉大だと思います。

    盗難
    これは、軽快で落語っぽくっておもしろいです。
    肩の力を抜いて伸び伸びと書いた感じです。

    白昼夢
    ミステリーというより、怪談っぽいお話です。
    まあ、ポーとかも、ミステリーとホラーと両方書いていたし、けっこう相性はいいのかも。

    でも、怖さにオカルト的なギミックを使わないところは、乱歩の意地だなぁ。

    指輪
    これは、「白昼夢」というより、「盗難」と同じ落語っぽいお話です。
    これは、これでわたしは好きです。

    夢遊病者の死
    推理するから、間違える?みたいな感じがありますねぇ。
    でも、夢遊病者ネタは、1回使っているので、新鮮みとしては、難しいかも。

    百面相役者
    このあたりの発想が、後のそのものズバリ「怪人百面相」につながっていくんだろうなぁと思うと、なかなか、味わい深いものがあります。

    まあ、嘘オチ、夢オチは、あんまり何回もするもんではないのですが。

    屋根裏の散歩者
    乱歩お得意の退屈さんも、出て来ます。
    さすが、すべてがつまっている初期短編集です。

    しっかし、明智って、ものすごい正義の熱血漢だと思っていたのですが、それって、少年ものだけのイメージだったんですねぇ。

    いや、すごい彼は、自首することすら見抜いていたからそう言ったのかも……。

    一人二役
    まぁ、実は、気づいてなくても、告白されればそう言うだろう……。
    女は、こわい。

    疑惑
    うーん、上手に書いたら「幻の女」みたいな傑作になりそうですが。
    そして、「幻の女」と同じように、後半は、メタラクタラになるという……。

    人間椅子
    これ、ありえなーーいとか思いながら、おしりムズムズしますよねぇ。
    変態の乱歩パワー炸裂という感じです。

    そして、こういうのが、思いっきり受けるその時代って……。

    接吻
    これ、「一人二役」の裏表のような話だなぁ。
    で、結論は、やっぱり女はこわい……。

  • さすが乱歩!
    初期の乱歩作品が沢山入っています。
    一時期ハマりまくって乱歩ばかり読んでいました。
    何と言うか、トリック云々よりも乱歩が描く独特の不思議な雰囲気が好き。

    やはり人間椅子は別格です!

  • すべてに自作解説がついてるのが凄い。
    中には自らズバリ「駄作」と評してるのも(私にとってはそれですら面白かったのですが…)
    あの有名な明智小五郎が初登場する話もあり、暗号やら心理戦やら存分に楽しめる内容です。
    古本屋で偶然手に入れましたが、続きを集めようかなと思案中。

  • 再読。内容はネタバレ含む(覚書のため)。

    ・二銭銅貨
    「南無阿弥陀仏」の暗号。「ゴジャウダン」は傑作だと今でも思う。点字に目をつけたところもなかなか。

    ・一枚の切符
    博士夫人が轢死体で見つかり、殺人容疑で博士が逮捕。重石と飼い犬を使ったトリック。ただ、夫人が本当に「犯人」かどうかはぼやかされている。

    ・恐ろしき錯誤
    火事で妻を失った夫が考えだした、犯人あぶりだしの方法。妻が大事にしていたロケット(実際はそんなもの、そもそもなかった)に各人の顔写真を張り付けておいたものを使い、脅しをかけてみるという手法だった。着想もいいし、オチのつけ方も格好をつけて、珍奇なものにしていないところがまたよし。

    ・二癈人
    夢遊病者と「思わせる」というトリック。当時としては、斬新な発想だったのではないか。

    ・双生児
    一卵性の双子の入れ替わりは古典的だが、このお話のメインテーマは「指紋」。指紋のネガティヴ部分を勘違いして、兄の指紋だと錯誤してしまった。
    2013/01/02追記:この作品のトリックは某有名海外推理小説家の某作品にもある。

    ・D坂の殺人事件
    人間の記憶なんて頼りない、というテーマをもとに書かれた作品。実際のトリックよりも、「私」が、「格子のせいで、見る位置から服の色が違う風に見えた」という推理したことがやたら頭に残ってしまっていた。

    ・心理試験
    蕗屋の人となりがいいね、好み。因みに蕗屋のモデル(というか着想)は『罪と罰』のラスコーリニコフから。駆け引きの過程が好み。

    ・黒手組
    暗号の一面として、糸を使ったトリックに似たきらいがあることが指摘されよう。明智が二組のカップルの月下氷人となった作。しかし、罪作りな娘よ。

    ・赤い部屋
    ブラックユーモアがあって好き。アニメにもなっているが、あれよかやはり原作の雰囲気がいい。

    ・日記帳
    恋を表す方法に、切手を斜めに張るものがあると知ったのはこの作品から。哀愁が漂う。

    ・算盤が恋を語る話
    そろばんを恋文の代わりとして使う男の話。偶然がかくも残酷とは。

    ・幽霊
    明智がまさか登場しているとは。死んでいると思われた人が、実は生きていたという話。戸籍謄本の偽造は今では出来ぬだろう。

    ・盗難
    新興宗教の金庫からまんまと大枚をせしめた盗人の話。

    ・白昼夢
    屍体を屍蝋にした男の話。

    ・指環
    「全く黙殺された」話らしいが、そんなに駄作とも思われない。

    ・夢遊病者の死
    「花氷のトリックは、西洋の作品にも前例がない」と乱歩自身評しているが、類したものなら前例はあるように思われる。また、本作のようなトリック一本槍の話は歓迎されなかったと嘆いているが、本作に限って言えば、そう評されても仕方なかったように思う。夢遊病をテーマにした「二癈人」のほうが着想も筋もいい。

    ・百面相役者
    アイデアは好き。どんでん返しは少々安易。

    ・屋根裏の散歩者
    明智は好きだが、むりくりに登場させなくてもよかったと思う。

    ・一人二役
    しっかりと落とせている。実話が下敷き。

    ・疑惑
    変に凝りすぎて、やや冗長のきらいがある。「無意識」の殺意をテーマにした意欲作。

    ・人間椅子
    大好物。城昌幸氏の「怪奇製造人」につながるものがある。

    ・接吻
    無賃で「やッつけ」で書いた作品。好き勝手やった感じがそこはかとなく出ていて好きである。写真の撮り違えの描写など、若干取ってつけた感じがあって想像しがたかった。

  • 初の江戸川乱歩。
    時代の割に言葉は分かりやすく、短編なので読みやすい。
    江戸川乱歩の世界観にぐんぐん引き込まれる。
    人間椅子と赤い部屋が好きだけど、どんでん返しは何回もされると飽きがきてしまう。

    ビブリア古書堂から興味を持ったが、いい作品を紹介してもらった。

  • 「二銭銅貨」「一枚の切符」「恐ろしき錯誤」「二癈人」
    「双生児」「D坂の殺人事件」「心理試験」「黒手組」
    「赤い部屋」「日記帳」「算盤が恋を語る話」「幽霊」
    「盗難」「白昼夢」「指輪」「夢遊病者の死」「百面相役者」
    「屋根裏の散歩者」「一人二役」「疑惑」「人間椅子」「接吻」収録。

    乱歩氏の初期作品をデビュー作から順番に収録。
    また本人の自作解説が全作品に色々付いているので、
    当時どんな気持ちで執筆していたか、背景が分かって興味深い。
    暗号、密室、本格推理。
    日本のミステリ開拓の軌跡の書である。
    ※そうやってがんばってきたけど、
     怪奇趣味とかの方が喜ばれてしまう、という筆者の愚痴も見受けられる

  • 乱歩の初期の作品集。独特の世界観と大正から昭和初期の仮名遣いがなんだかここちよかった。
    短編集ながら色々考えて作り込んでいるのが凄いと思った。
    特に二銭銅貨と人間椅子が良かった。あと接吻の最後に書かれていた男というものは陰険に見えても性根はお人好し、女は何も知らないねんねえの様でも心の底には生まれつき陰険が巣食っているというところになんだかうなづけた。

  • 最初期の短編がみっしり。

    偏屈な男がとにかく多くてイラッとするけど、そこが好き。ミステリや変態的嗜好の作品が多い中、たまに紛れてる『算盤が恋を語る話』のような内気にも程があるキモ男子の話もあってそれがまた愛しい。
    純愛を超えたキモさ。

    屋根裏の散歩者の他に人間椅子も見所。どっちも発想がキショい。

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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