- Amazon.co.jp ・本 (763ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334737337
感想・レビュー・書評
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装丁や本造りが気に入って全巻揃えたが、第一巻を読んでから5年が過ぎてしまった。
「パノラマ島綺譚」と「一寸法師」は読んだ記憶がある。なんと言っても驚いたのは「闇に蠢く」。
衝撃的な問題作と言ってもいいだろう。かなり強引で無理のある展開のような気がする。話の中身もハチャメチャ。好き嫌いは分かれるだろう。
本格推理として割とまとまっているのは「一寸法師」かな。「パノラマ島綺譚」は割と有名だが、設定には少し無理があるかな。今の技術で映像化すると面白いかもしれない。
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表題作「パノラマ島綺譚」のみ既読。
まず、「闇に轟く」に惹かれた。褐色寄りの艶かしい肢体を持った女性、そして、カニバリズム。エロとグロが絶妙に混ざり合っている。乱歩自身は初めての長編で苦悩し、未完になりかけるも後から結末を書き足した、と。にも関わらず、派手な終わり方で素晴らしい。
「湖畔亭事件」も良い。結末はあっさりしているが、覗き趣味から事件が始まるなんて、絶好調。
「空気男」は迷作の香りがする。案の定、終盤に話が変わり、未完。
「パノラマ島綺譚」は素晴らしいの一言。テレビドラマ版より原作の方が好きだな。
そして、ラストは「一寸法師」真相に向かう中で、二転三転する推理。そして、それ以上に魅力的な当時の東京の描写。 -
2004/11/04読了
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久々の乱歩。
闇に蠢くがかなり衝撃的。
ただ少しだけ小難しく、長いこと読んでると飽きてくる。
しかし乱歩の世界は不思議だなぁ。
耽美と言うよりもメルヘンな気がする。 -
連載小説は未完や話の風味がいきなり変わる事が多くこの人も例外ではないんだね
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乱歩は女性の名前に「千代」と含めるのが好きなのだろうか?
そんな事はともあれ、分厚さの3分の1が注釈なのに思った以上に読むのに時間が掛かった。
表題の「パノラマ島綺譚」は丸尾末広の漫画と比較するために読んでみたが、原作の目くるめく幻想描写もさることながら、漫画の方も最高のコラボだった事を再認識した。
「一寸法師」は怪奇物だと思っていたら明智探偵のミステリー。作者本人もあとがきなどに書いている通り、奇抜なだけでミステリーとしては難で面白くなかった。 -
2017年6月18日に紹介されました!
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「闇に蠢く」
「空気男」
「パノラマ島奇譚」
「一寸法師」
まず「闇に蠢く」について。これは恐ろしく不気味な話だ。「え、そんな展開!?」と、序盤と終盤の差が激しい。野崎三郎という画家と、その友人が怪しい男を追って洞窟に閉じ込められるところから、すさまじい方向に話が進む。飢えの描写。乱歩は飢えがどういう状態なのかを具体的に知っているかのよう。胃がねじ切れんばかりに痛くなるというのは本当だろうか。飢えのあまり、人間の腐乱した死体に食らいつく場面があるが、食中毒にならないのだろうか。
「空気男」は感想なし。
「パノラマ島奇譚」は自分にそっくりな金持ちの男(双子のように似ている)になりすまし、そのお金を使って「理想の世界」を実現させようとした、人見という男が主人公。瓜二つとはいえ、そんな程度で周囲を欺けるとは思わないが、それをいうとおしまい。映画の『FACE OFF』などもそうだが。人見は、死んだそっくりさん(菰田)が実は生きていてお墓から出てくる、というのを偽装するのだが、菰田が墓の下に埋められてから10日ほど。それで生き返ったなんてよく通用したものだ。
「闇に蠢く」でも墓場のシーンがあったが、このころは土葬がメインだったのか?
「一寸法師」は全集②では唯一の明智小五郎もの。不気味は一寸法師が東京の街で悪事を働く。小林という人物が進行役。彼なりに推理をし、次々と容疑者が浮かんでは消え、また浮かんで・・・という感じでうまく部隊を回す。
しべての満足者(五体満足)のものを呪うという一寸法師が少し可哀そうな気がした。 -
メモ…闇に蠢く、湖畔亭事件、空気男、パノラマ島奇譚、一寸法師
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闇に蠢くが自分の中ではあまりにも衝撃的で、パノラマ島綺譚ですら霞んだ。
傑作選しか読んだことのなかった私には、あまりにも衝撃的で、かつ魅力的な作品だった。乱歩の作品には狂うべくして狂う人間ばかりが出てくるけれど、その中でも振り切れ方が尋常じゃない。人は極限状態に身を置かれると、こうも箍が外れてしまうのか。