江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (763ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737337

感想・レビュー・書評

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  • 「闇に蠢く」
    「空気男」
    「パノラマ島奇譚」
    「一寸法師」

    まず「闇に蠢く」について。これは恐ろしく不気味な話だ。「え、そんな展開!?」と、序盤と終盤の差が激しい。野崎三郎という画家と、その友人が怪しい男を追って洞窟に閉じ込められるところから、すさまじい方向に話が進む。飢えの描写。乱歩は飢えがどういう状態なのかを具体的に知っているかのよう。胃がねじ切れんばかりに痛くなるというのは本当だろうか。飢えのあまり、人間の腐乱した死体に食らいつく場面があるが、食中毒にならないのだろうか。

    「空気男」は感想なし。
    「パノラマ島奇譚」は自分にそっくりな金持ちの男(双子のように似ている)になりすまし、そのお金を使って「理想の世界」を実現させようとした、人見という男が主人公。瓜二つとはいえ、そんな程度で周囲を欺けるとは思わないが、それをいうとおしまい。映画の『FACE OFF』などもそうだが。人見は、死んだそっくりさん(菰田)が実は生きていてお墓から出てくる、というのを偽装するのだが、菰田が墓の下に埋められてから10日ほど。それで生き返ったなんてよく通用したものだ。
    「闇に蠢く」でも墓場のシーンがあったが、このころは土葬がメインだったのか?


    「一寸法師」は全集②では唯一の明智小五郎もの。不気味は一寸法師が東京の街で悪事を働く。小林という人物が進行役。彼なりに推理をし、次々と容疑者が浮かんでは消え、また浮かんで・・・という感じでうまく部隊を回す。
    しべての満足者(五体満足)のものを呪うという一寸法師が少し可哀そうな気がした。

  • 2巻
    『パノラマ島綺譚』ほか全5篇収録

    読んだのが結構前なのでうろ覚えですが、『闇に蠢く』の最初の段階からは想像できようがない最後のオチにびっくりしたことと、『パノラマ島綺譚』の島の綺麗さとラストのバーンが印象的だったのを覚えてます

  • 再読
    ●闇に蠢く
     乱歩も自ら回顧するように、何かにつけて「まとまった筋」というものを用意せずに物語を書く癖があった。故に、筋がてんでバラバラ、どうしようもなくなり怪奇趣味に走りだすとか、風呂敷を畳めずに執筆を辞めてしまうことがあった。無論、悪いことばかりでなく、そういう習慣(?)のお陰で傑作が生まれたり、読者を魅了するような怪奇趣味を提供してくれることだってある。
     「闇に蠢く」は、放蕩道楽男、野崎三郎がお蝶という女性に昵懇になってしまったことから始まる。第一に、この主人公野崎の性癖からして、真正の変態である。本当に乱歩はこういうのを描写するとき、大変生き生きと楽しそうに書くなあ、といつも思う。お蝶の死(か、どうかは不明だが、沼に片方の草履が浮かんでいた)、昔のお蝶の連合い進藤の登場、野崎の旧友植村による報告、そして洞窟に閉じ込められる野崎と植村。
     とんとんとん、と場面は展開していくのだが、行きつく先がカニバリズムだとは、誰が想像できるだろうか。
     
    ●湖畔亭事件
     二転三転と物語を転がすのは、乱歩の十八番。特にこの作品は秀逸だと思うのだが、どうだろうか?
     この事件の主人公もまた、中々に変態のご趣味を有しておられる。
     様々な箇所で、犯人はこいつだ、ということを示唆しているにも関わらず、成る程、河野の言うことにも一理あると思わせられ、しかし……、そうは問屋が卸さなかった。多分、本作を読んでいて、「ん?この事実については言及されていないじゃないか」と思われることになるだろう。そう、その事実を犯人の話とすり合わせれば、より残忍な真相に近づけるであろうことは請け合いである。

    ●空気男
     尻切れとんぼ。然し、いくらなんでも健忘症が過ぎるだろ(もし、写真を除いた出来事を忘れているなら)。

    ●パノラマ島綺譚
     瓜二つの人物の片割れが死に、それに成り変らんとするもう一方。そのもう一方が、死んだ片割れの金力を恃みにして、長年の望みであった「パノラマ島」を形にしていく。
     恋した相手(菰田の妻千代子)をどうしようもできないのは、自業自得とはいえ、辛かろうことは容易に想像し得て、何だか変に人見に同情してしまう。
     散り際は狂気(花火として自らが打ち上げられる)だが、華を咲かせたかったという心情もわからなくもない。
     しかし、あのパノラマ島の情景の克明な描写から一転、急に北見小五郎とかいう人物を出して風呂敷を急に畳もうとしているところから見ると、名残惜しい(描写だけではもうどうにもできない)がどうにか終わらせないといけないので、筋としてはまずい(あんなに苦労して人見が準備をしていたのに、未発表作の『 RAの話』で身元がばれてしまうのは、ちょいと不自然か。でも、そういうちょっとしたことで嘘が崩れていくのは、或る意味リアル)
    が、ああいう持っていき方をしたのだろうと思う。

    ●一寸法師
     ふんだんにトリックを使っている。ただ、今からしたら、「ああそれね、知ってる」と言われかねないトリックだったりするので、期待を膨らませすぎるのは禁物。
     一寸法師が犯人かと思ったら違うし、あれれ実の父親だと思ったらそれでも違う。で、結局は入れ替えでした。……という、あの二転三転の展開が待っているので、やっぱり楽しめる(嫌いな人は嫌いだけど)のだ。

  • 初めて読んだのは確か、小学生の頃。
    学校の図書館に並べてある、少年探偵団の面白さにハマり
    背伸び気分で、本屋に並べてあったコレを
    手にした様な記憶がある。

    怖いものを見た。という感覚は覚えていたものの
    あまり印象には、残ってなかった。
    というより、理解力が乏しかったのか
    書いてる意味すら、わかっていたのか謎。
    ただラストは、衝撃を受けた。

    時を経て、十代半ばで再読。
    そのときも、ただただ、キモイ。という印象だった気がする。
    この時も、ラストはわかってはいたものの
    やはり、印象をより深めた。

    二十代になり、再々読する機会があり、三度読み返す。
    印象はガラリと変わった。

    切なく、そして美しい世界。
    それは決して、万人が美しい。と思えるものでは
    無いのだろう。
    異様な光景。常軌を逸してる。いわば、異常。
    それでも美しいのだ。

    嫌悪を感じながらも、読む手を止められず、惹きつけられる。

    散り行くラストは、衝撃的であり、この部分だけは
    初めて手にした小学生の頃から、変わらず心に残りつづけている。

  • 『闇に囁く』

    『湖畔亭事件』
    療養のために湖畔亭にやってきた「私」。昔からレンズにとりつかれ他人の行動を覗き見る事を趣味としてきた。脱衣場に仕掛けを施し様々な人々を観察していたが、ある夜女が何者かに殺害される場面を目撃する。同じく湖畔亭に宿泊する河野と現場で血痕を発見する。事件当夜から失踪した芸者・長吉。風呂炊きの三造。早朝慌ただしく消えたトランクをもった二人組の客。長吉と河野の関係。

    『空気男』
    ある宿で知り合った北村五郎と柴野金十。探偵小説好き同士話が合い親しくなる二人。様々な遊びをしていたが、それぞれに問題を出し解いていく遊びから探偵小説を書くようになっていく二人。互いに作品を交換するなど遊びながら仕事をしていたが、ある日柴野が北村が以前話したトリックを自分で考えたと北村に紹介する。柴野の記憶力低下をモデルに北村が書いた「空気男」。「空気男」の挿し絵を描く河口の家に侵入した謎の人物。
    途中で終了した作品。


    『パノラマ島奇談』
    自らの妄想を実現しようと望む小説家・人見広介。大学時代の同級生・菰田源三郎の死を聞くと、富豪であり自分と瓜二つの源三郎との入れ替わりを計画する。自らを自殺として存在を消し、墓場からよみがえった源三郎を演じる。建設のはじまった人見の王国。ただ一人の脅威・源三郎の妻・千代子。千代子の殺害。安泰となったと思われた彼を訪れた探偵・北見小五郎。

    『一寸法師』

  • ・闇に蠢く
    ・湖畔亭事件
    ・空気男
    ・パノラマ島綺譚
    ・一寸法師…明智

  • 乱歩最高ーーー(*´∀`*)

  • 紛失…

  • パノラマ島の描写が凄まじい。びっくりした。

  • 人見廣介の想像力即ち江戸川乱歩の夢想は見事。実際にパノラマ島を再現して乱歩テーマ・パークを作ってもらいたい(笑)ある意味ディズニー以上だ。

著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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