- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334737450
作品紹介・あらすじ
南北アイルランドの統一を謳う武装勢力NCFの副議長が、スライゴーの宿屋で何者かに殺された!宿泊客は8人-そこには正体不明の殺し屋が紛れ込んでいた。やはり犯人は殺し屋なのか?それとも…。宿泊客の一人、日本人科学者・フジの推理が、「隠されていた殺意」をあぶり出してゆく!本格推理界に衝撃を走らせた期待の超新星の処女長編。
感想・レビュー・書評
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処女作で異国が舞台のミステリに驚いた。
登場人物が厳選されており、カタカナ表記に悩まされがちになる舞台で唯一の日本人探偵含め読者に優しい愛称呼びはとても読み易い。名前はフルネームの後に愛称を重ねる配慮具合だ。カナカナに弱い日本人をよくわかっていらっしゃる。
殺し屋 反社組織 ターゲット
と、不穏な素材は揃っており読者の脳内で道筋を見せてくれるもののどうやら一筋縄で行かない雰囲気。ハウダニット フーダニット ホワイダニット
以前に何が起こるのか分からない状態で人物達が舞台に集結していく。ワクワクする。
事件解決後のエピローグにあたるラストの畳みかけはとてもリズムがよく、クローズドサークル(開放的な環境でしたが)にて陥る人数合わせキャラが誰一人として存在しなかった。フェードアウトしないラスト数ページにテンションが上がっていたことはこの語彙力の無さでも伝わるかと信じてます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「アイルランドの薔薇」は最近じわりと(自分の中で)ブームが来ている石持浅海さんの長編デビュー作になります。でも、本当にこれがデビュー作かと思うくらい完成度が高いです。
アイルランドの薔薇の舞台は、アイルランドの湖のほとりにある一軒のロッジ。
そこに南北アイルランド統一を謳う武装勢力NCFのメンバーとNCFが雇った殺し屋『ブッシュミルズ』、探偵役となる日本人科学者(フジ)など、宿泊客が8人が泊まります。
最初は意気投合する8人ですが、翌朝になるとNCFの副議長が明らかな他殺体となって発見されるところから物語は急展開していきます。NCFの副議長を殺したのは誰なのか、そしてその目的は?
他からの侵入者も外に出ていった人間もいない「クローズド・サークル(嵐の山荘)」となったロッジの中で、日本人科学者(フジ)を中心に犯人探しが始まります。
密室や殺人に関してのトリックにはそれほどウエイトを置いておらず、どちらかというと叙述的トリックが中心の作品でしたが、人物描写、心理描写がくどくもなく的確に描かれているため、グッと引きこまれていきます。
背景となる南北アイルランド問題の説明は丁寧にされていましたが、万能過ぎるフジの活躍や、登場人物の大半が身分を詐称しているため、名前が複雑になっているところなどは少し引っかかりますけど、飛躍し過ぎではないため作品を損なうほどではないと思います。
本格ミステリーで、叙述的トリックが好きな人は是非手にとって欲しい作品です。 -
デビュー作からコンスタントに面白いものを書き続けられるって良いな。
“南北アイルランドの統一を謳う武装勢力”というから堅苦しい話になるのかと思いきや、安定の石持作品だった。
スライゴーの宿屋で人が殺され、その犯人を並外れた観察力と論理的思考によって推理していくフジ。
さらに、彼の推理によって宿泊客達の正体も暴かれていく。 -
アイルランドの武装勢力絡みで
宿屋で起こった殺人事件
一人の日本人が探偵役になり事件を追う
事件の謎解きの経過などもなかなか
楽しめました
外人の場合、名前と愛称があり
読みながら登場人物ページを何度も
確認するんですが
今回もまぁそれはありました -
2002年、長編デビュー作。クローズド・サークルもの。
南北アイルランドの統一を謳う武装勢力NCFの副議長が南アイルランドのホテルで殺害された。
外部と連絡をとることを禁じられた中で、日本人科学者のフジが事件を推理していく。
閉ざされたホテルという設定に政治的要素が加わることで緊張感が増して面白かった。
非常事態の中で、皆がパニックにならずに落ち着いて理論的に解決していくという著者のスタイルは今も変わらないが、これは知と情のバランスが良くて、物語としても面白かった。
しかし、フジは単なる科学者? 何者だったのだろうか。 -
ずーっと読みたいと思っていた大好きな石持浅海の初期作品。
小さな空間で起きた殺人事件の背景はあまりに大きく悲しい。
知識としてはあったけど、いまひとつピンとこなかったアイルランド紛争の歴史が、この作品で初めて腑に落ちた。
石持作品のキャラはみんな魅力的だけど、この作品のフジには惚れた!-
「アイルランド紛争の歴史」
全然知らない作家さん。
アイルランドに興味があるので、読んでみようかな。。。「アイルランド紛争の歴史」
全然知らない作家さん。
アイルランドに興味があるので、読んでみようかな。。。2013/02/13
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みるからにアイルランドの情勢や近隣国との政治の話を想像させるタイトル、個人的には敬遠しがち
とりあえず本格推理と書いてあるので手に取る
巻頭の登場人物リストにはカタカナがずらりと10人以上でニックネームも別にあるんかーい
開始数十頁はリストを何度も見ながら把握しなければならなかったが、難点はそれくらいかな
総合的な評価は星5なので
いざストーリーを読み進めると本格ミステリ
フーダニットとホワイダニット+暗殺者は誰なのか
黙っていいねを3回押す
「会釈」は露骨なキーワードだなと思ってたらしっかり作者の罠にハマっていくー
となると暗殺者は〇〇だなと、こちらは正解
種明かしもオシャレだわ
完敗に乾杯
やかましわ
真犯人と動機は当てられずもフェアな解法で満足
幕間にアイルランドの歴史についての講釈パートがあるが、眠くならない適量かつ分かりやすい内容
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前半50ページまで辛かった
トーマスがトムと呼ばれたり、マイケルがミッキーと呼ばれたり外国人のあだ名の知識がないので誰が誰なのか分からなかった
途中からは登場人物も固定されて理解し易かった
アイルランドの南北の争いや武装勢力での話だが、アイルランドを題材にして日本人一人以外は外国人の設定にする必要ある?
アイルランドの死生観は理解するが、それ以外は日本での話でもいいのでは?
最初の横文字だらけ以外は面白い
トリックも二転三転あり良い
ただ、最初の外国人の名前出まくりとアイルランドの題材はあまり納得していない -
外国が舞台で登場人物も多いなかだけど、話が収斂されていて気持ちいい