量刑 上 (光文社文庫 な 1-22)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737597

作品紹介・あらすじ

アートフラワーに隠された濃紺の風呂敷包みを届ける途中、上村岬は母娘を車ではねた。「たとえどんな事態になっても、必ず俺が助けてやる」愛人・守藤秀人の言葉で岬のためらいは消えた。殺人と死体遺棄容疑、自首目前の逮捕、示談の決裂、死因鑑定の揺れ。法壇と傍聴席の背後には不穏なさざ波が。量刑に厳しいと評判の神谷裁判長は審理の帰趨をどう判断するのか。

感想・レビュー・書評

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  • オススメ本。ボリュームがすごい。

    妊娠している母とその娘を轢いてしまい、なおかつ愛人の指示で病院に搬送しようとした所、騒がれて二人とも殺してしまう。
    その上、死体を山中に遺棄して見つからないことを祈っていた、というはじまり。

    死刑にして欲しくないのは、愛人政治家の存在が漏れてしまう危険があるからであって、それは岬への想いではない。
    誰も彼も、自分のこうしたい、こうであって欲しいという思いの中で、事件を物語に書き換えていく。
    人である以上、感情があることは当たり前なのだけど、感情はまた物語を生み出す種となる。

    裁判の裏でゴソゴソ動いている感じが、いよいよ苛立つのだけど、ドラマを覆した法があるのかな。
    下巻に続く。

  • 面白かったけど
    下巻の後半から間のびした
    さすがに殺すには現実乖離している

  •  上村岬は渋滞の中、車を走らせ焦っていた。私はこの「品物」を無事に届ければ役目は終わる。しかし道を間違えてしまった岬はさらに焦ったあげく、犬を散歩中の母娘を撥ねてしまう。動揺した岬は「品物」の持ち主・守藤秀人に電話。そして彼の指示通り、2人を車に乗せて運ぼうとするのだが・・・。

     「品物」の中身はありきたりなもので格段驚きは無かったが、この岬の行動がいくら動揺しているといえど常軌を逸している行動の連続。結局岬は捕まって裁判にかけられてしまうのだが、責められて当然の部分。しかし自分をかばって罪が重くなるかもしれないのに、この守藤の言い分が終始自分勝手なうえに勘違い野郎と化していてイライラする。「自分が守ってやらなければ」って、誰のせいでこうなってるんだよ!さて後半、裁判の行方はどうなるか。

  • 裁判官の判決に至るまでのプロセスがよくみえた小説でした。

    上巻を読み終わる頃は、物足りなさがありましたが、下巻に入るとラストまでは一気に読み終えた感じがします。

    殺人事件の裁判官が娘を誘拐された後、減刑を要求されて、「裁判官」と「親」、ふたつの立場で苦悩する描写は、秀逸でした。

    裁判員制度も始まり、人が人を裁くということを改めて考えさせられました。

    ただ裁判官同士の「合議」の際の専門用語、やっぱちと難しい。

  • 08/5/5 ★★★
    畳み掛ける様な展開。なぜか下巻は未読

  • 2006/06/01 tue
    <br>上巻を読み終わりました。夏樹静子を読むのは初めてでしたが、非常に読みやすく分かりやすい。付き合っている男のために、母子轢き逃げ殺人死体遺棄事件の被疑者として自分1人だけが逮捕され、裁判にかけられていく。上巻は結審までが記されている。これからどんな量刑が女には待っているのか。これからどんな展開になるのか。下巻を読むのが楽しみ。

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著者プロフィール

一九三八(昭和一三)年東京都生まれ。慶応大学在学中に長編『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補に選ばれる。七〇年『天使が消えていく』が再び同賞の候補になり、単行本化され作家デビューを果たす。七三年『蒸発』で日本推理作家協会賞、八九年に仏訳『第三の女』でフランス犯罪小説大賞、二〇〇七年日本ミステリー文学大賞を受賞。主な著書に『Wの悲劇』『』や「検事 霞夕子」シリーズなどがある。二〇一六年没。

「2018年 『77便に何が起きたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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