量刑〈下〉 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
3.50
  • (1)
  • (7)
  • (10)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 52
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (481ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737603

作品紹介・あらすじ

審理は終結した。後は3人の裁判官の合議で量刑が決まる。そのころ神谷裁判長宛てに一通の封筒が届いた。痴呆気味の父と娘の身辺に危険が…。致命的な急所を突いた水面下の罠に動揺し態度を豹変させる神谷。情状の余地とは、人が人を裁くとは、量刑の客観性はどこにあるのか。「正義」とは、「法」とはなにか。一裁判官の職責と人間性を通して描く衝撃作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 一気に読み終えるだけのエネルギーはあるものの、岬はどうなの?って気持ちが置いてきぼりになった下巻。
    ネタバレ有り、以下注意。




    ドラマが勝ってしまって、それぞれの人生というか生き方にまでページを割き切れなかった感がある。

    愛人政治家は、結局何がしたかったんだ!というくらい、ある種大胆な犯行に及ぶ。
    この人、決断力あるかもしれないけど、ほとんど策略が成功しないよね。
    のちに本当に岬の話が通らないことへの憤懣を抱いたからやった、とか言うなら、彼女に対してしてやれることは他の形であっただろうよ、とただただ思う。
    岬については、下巻ではあまり描かれないので、アホな男にうつつを抜かして、地獄に堕ちてしまった女からの払拭が……。

    唯一、考えさせられたシーン。
    「真理がどんな殺され方をしても、それでも……それでもあなたは、そんなに死刑が出したいんですか!」という、裁判官妻の一言から。
    裁判官って、実名なんだよなーと。
    採決によって恨みを買うこともあるだろう。
    個人と仕事って、難しい。。。
    何かを選択することで、誰かが変わってしまう。
    誰だって、生きていればそうなのであって、そのことから無関係ではいられない。
    社会って、ある意味で重い。

  • 【No.103】読了。

  •  上村岬の裁判を審議する神谷裁判官の元に、差出人不明のメールが送られてくる。そこには娘の真理を誘拐したことと、判決で死刑ではなく有期懲役刑を言い渡すことが指示されていた。

     裁判がどんどんすすんでいくのかと思いきや、物語は予想もしない方向に進み、上巻とは一転して誘拐&脅迫事件へ。娘を無事に助けるために、裁判官が判決を左右してしまうのかどうか。裁判官としての使命と娘の命、どちらを優先するのか、神谷裁判官の心情がかなり丁寧に描かれていて、分厚い本だったのに一気に読み終えた。知らなかったのは、こういう事態になった時のことが、「刑事訴訟法」に載っていること。この小説のようなことが想定されて定められたんだろうか。

  • 裁判官の判決に至るまでのプロセスがよくみえた小説でした。

    上巻を読み終わる頃は、物足りなさがありましたが、下巻に入るとラストまでは一気に読み終えた感じがします。

    殺人事件の裁判官が娘を誘拐された後、減刑を要求されて、「裁判官」と「親」、ふたつの立場で苦悩する描写は、秀逸でした。

    裁判員制度も始まり、人が人を裁くということを改めて考えさせられました。

    ただ裁判官同士の「合議」の際の専門用語、やっぱちと難しい。

  • 2006/06/08 tue
    <br>下巻も読み終わりました。合議ってこんな風に進められていくのね〜と初めて知ったんですが、それでもリアリティが感じられ、さらに奇想天外な展開も加味されていて面白かったです。真実を見極める難しさ、人が人を裁くこと、そして平成21年5月までに導入される裁判員制度について考えさせられました。裁判官も人の子なんだよなぁ…

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

一九三八(昭和一三)年東京都生まれ。慶応大学在学中に長編『すれ違った死』が江戸川乱歩賞候補に選ばれる。七〇年『天使が消えていく』が再び同賞の候補になり、単行本化され作家デビューを果たす。七三年『蒸発』で日本推理作家協会賞、八九年に仏訳『第三の女』でフランス犯罪小説大賞、二〇〇七年日本ミステリー文学大賞を受賞。主な著書に『Wの悲劇』『』や「検事 霞夕子」シリーズなどがある。二〇一六年没。

「2018年 『77便に何が起きたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

量刑〈下〉 (光文社文庫)のその他の作品

量刑(下) (光文社文庫) Kindle版 量刑(下) (光文社文庫) 夏樹静子

夏樹静子の作品

ツイートする