死んでも治らない (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334738143

感想・レビュー・書評

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  • 元刑事の大道寺圭は幼馴染の編集者に強引に勧められて、刑事の時に遭遇したおまぬけな犯罪者たちの本を出版する。ところが、本に取り上げた犯罪者たちが、出版をきっかけに様々なトラブルを持ち込んでくる。命の危機さえ訪れるが、なんとか頭を働かせて解決する。出てくる登場人物たちがなにか間が抜けていて笑えるのだが、どうも自分勝手な奴らばかりでやれやれという感じである。それぞれの短編の終わり方も笑えないというか、結構ダークだ。間に挟まれた刑事時代の事件が最後に他の短編とつながってくる。若竹さんの小説って、こんな感じで人間の嫌なところばかりを描いていて、ちょっとやるせない気分になる。

  • 大道寺圭は警察官を退職した後、警察官時代に遭遇したちょっとマヌケな犯罪者たちのエピソードをまとめたノンフィクション本『死んでも治らない』を執筆する。

    大道寺圭が警察官を辞めるきっかけとなった最後の事件と、作家となった現代を交互に織り交ぜながら、奇妙な事件に次々に巻き込まれていく大道寺圭。
    2つの時代をまたいで登場する個性豊かな犯罪者たちに翻弄されつつ辿り着いた事件の真相は、ちょっと意外でなんだかモヤモヤ。

    『殺しても死なない』がヒネリが効いていて面白かった。

    若竹さんはやっぱり葉村晶シリーズがいい。もうそろそろ葉村晶シリーズの新作出ないかな。

  • ’21年2月2日、読了。

    いやぁ、面白かった!各短編が、最後に繋がる、その爽快感!
    ただ、「コージー・ハードボイルド」というのは、ちょっと違和感がありました。主人公が、割とダークかな、と…「死んでも治らない」の結末や、「猿には向かない職業」のラストとか。意外と容赦ない、かな…なんて感じました。最後に繋がると、納得しましたけど。
    「泥棒の逆恨み」は、若竹さんっぽい、良い短編と感じました。職業当ての推理の箇所、いかにもこの作者!

    「葉村晶シリーズ」以外は、これが5作目、だっけ?全部、ハズレなく面白かった!もっと、いってみようかな…と、思ってます。

  • 好きな作者だったので。

    元警官で犯罪をテーマにした実話の本を書いた主人公。
    その「現在」と、
    警察を辞めるきっかけとなった最後の事件という「過去」を
    行ったり来たりするお話。

    新婚で妊娠中の妻を強盗犯にひき逃げされ殺された、
    ということがわかってからは、
    主人公がその過去の事件の犯人なのではないかと、
    ハラハラしながら読んでいた。

    そういう意味では、
    作品の順番は違った方が良かったのでは。
    一つ一つの話は面白かったが。

    ミステリ作家の角田港大先生とか、
    葉﨑の名家前田家とか、
    最後には葉﨑市を訪れたりと、
    いわゆる「葉﨑市シリーズ」がちらちら出てきて
    楽しかった。

  • ユーモアミステリーかと思ったら、全然違う。おバカな犯人のおバカな事件は笑える。でも根底に流れるものが悲痛でやるせなくてどうしようも無いのです。泣きたいけど、目の前に起こっていることがあんまりくだらなくて笑うしかない。そんな感じ。

    • akehideさん
      どんなのか読んで見たくなりますね(^^)。
      どんなのか読んで見たくなりますね(^^)。
      2012/04/03
  • 元警察官大道寺圭は、一冊の本を書いた。警官時代に出会ったおバカな犯罪者たちのエピソードをつづったもので、題して『死んでも治らない』それが呼び水になり、さらなるまぬけな犯罪者たちからつきまとわれて……。

    語り口はあくまでも軽く、淡々としてるのだけど、 実際の内容自体は思いっきりブラック。犯罪者たちは確かに間抜けなんだけどやってること相当ブラック。語り口と内容のギャップからくるシュールさが好き。大道寺は口も悪いし運も悪いけどたぶんそうとう能力値が高いぞ。いろんな意味で悪は成敗されてはいるので後味は悪いけど気分は悪くない。やっぱり最後には葉崎にたどりついてなんかにやにやしてしまった。ただ幕間?の一編はこねくりまわしたわりにあっさりした終わりだったかなあ。

  • 元警官の大道寺圭は、退職後に犯罪者のまぬけなエピソードをつづった本「死んでも治らない」を発表した。
    ところが、それがきっかけでまぬけな犯罪者たちにつきまとわれることになり・・・。

    現在作家の大道寺圭の活躍を描いた5つの独立した短編の間に、彼が刑事として最後に関わった事件の記録が差しはさまれ、2つのパートが交互に綴られていくという構成になっています。
    ラストまで読むとこの2つのパートが密接なつながりを持つことが明らかになり、施された趣向にハッとさせられます。

    軽いコミカルなタッチや三枚目で憎めない大道寺のキャラのおかげでのんきな気持ちで読み進めていくと、人間の底知れぬ「悪」との遭遇にギョッとさせられ、毒まんじゅうを知らぬ間にたくさん食べたような気持になりました。

    仕掛けた謎の設定と物語の切れ味のうまさには脱帽ものです。
    やっぱやめられないな~、若竹七海さんは‼

  • 元警察官の大道寺圭は警察官時代に出会ったおバカな犯罪者達の事を書いた本を出版し、それがもとで様々な事件に巻き込まれる。

    犯罪を犯す人間は頭がいい…というイメージがつきまとうが、現実にはおバカな犯人も多いのかもしれない。

    それぞれの短編はコミカルで面白いのだけど、彼の警察を辞めるきっかけとなった「最後の事件」が細切れになって各話の間に書かれている。そして、最後の事件と今起こっている事件の関連性が少しだけある…という構成も面白い。

  • 間抜けな犯罪者を笑う話かと思っていたら、かなりブラックな感じでした。話が現在・過去と交互に続いていくので、何度か行ったり戻ったりしてしまいました。
    後味がいいような悪いような…。読後、ちょっと重くなる感じですね。

  • 大道寺圭が警官だった時と警官を辞めた後の話が交互に。 
    ちょっと理解出来なくて、最後まで来て又最初から読み返してしまいました。ユーモア小説ぽいが大道寺圭の心は哀しい。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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