実験小説 ぬ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 315
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334739119

感想・レビュー・書評

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  • なんとも奇妙で不可解な短編。実験小説と銘打っているだけあって、話の構成、内容、レイアウトなどが実験的。どうなるか分からない。
    あまりハッピーな話はなく、暗闇の中を歩いてたらスッと地面の感覚がなくなるような薄気味悪く後味の悪い話ばかり。それでもどこかユーモアがあり深く考えさせられる。

  • 色々な短編集。

    偉人のパロディのようなものあり、不思議としか
    言いようがない話あり、で読み応えはあります。
    しかし、あまり合わなかったのか
    面白い、と思いながら読める内容ではなかったです。

  • 最初の帽子の男がよかったです。虫喰いの穴は本当に透かして見てしまいました。(神がずれてる?)クマに大笑い。參は途中でめげそうになったけれどちゃんとオチがあってびっくり。一章の一つ一つは面白いけれど最初のインパクトが大きかったせいか同じような感じで途中で飽きてきてしまったのも事実。でも実験だからそういうものかな?二章のショートショートは残念ながら私には合いませんでした。これはあとがきではない、にあった「ぬ」に笑ってしまいました。時々こういうのありますよね。

  • 解説:豊崎由美

  • 短篇を読み終わって、ぽかーん(゜д゜)ってなることが多かった。まぁ実験だから、しゃあない

  •  1冊で「ぬ」という実験小説ということでなく、短編と掌編がたくさん載ってます。
     実験小説というとおり、すごいいろんな試みをしてるお話がいっぱい入ってて、内容的には、読み手を選ぶかなぁ。
     私は好きだったけれど。

     特に1番初めの『帽子の男』が好き。
     彼をこんなふうに小説に出来るとか、すごい。

  • 死んだり、死なせてももらえなかったりするのが基本→

  • 文庫というフォーマットを使って縦横無尽。読むことのひっかかり、違和感を感じるための本。

  • 【本の内容】
    交通標識で見慣れたあの男の秘められた、そして恐ろしい私生活とは?(「帽子の男」)。

    東京の荻窪にラーメンを食べに出かけた哲人プラトンを待っていた悲劇(「箴言」)。

    本の世界に迷い込み、生け贄となったあなたを襲う恐怖(「カヴス・カヴス」)。

    奇想天外、空前絶後の企みに満ちた作品の数々。

    読む者を目も眩む異世界へと引きずり込む、魔術的傑作27編。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    筒井康隆、清水義範といった名前を思い起こさせる、タイトル通りの実験的な作品集。

    12枚の道路標識を使って、男の人生を哀愁たっぷり(?)に語る「帽子の男」。

    定年退職後の男のもとに次々と謎のメッセージが送られてくる「喇叭(らっぱ)」などなど数々の趣向を凝らした作品が並んでいる。

    500円足らずで、そんな作品を27個も楽しめるというのだから本当にお得だ(最近は文庫も高いので)。

    こうした実験的な作品は、芸術的な方向に進みすぎて難解な作品になることも多いが、この「ぬ」の場合、アイディアはシュールでも非常に分かりやすく書かれていて、誰が読んでも楽しめる作品に仕上がっている。

    それだけに「実験小説」とタイトルとあるのを見て、敬遠しないでもらいたい。

    なぜ長編小説ばかりがもてはやされ、短編小説は売れないのか。

    日本でももっと短編が評価され、売れる時代が来ないのだろうか。

    最後はわけの分からないグチになってしまいました。

    どうもすみません。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • こういう作品を国語の教科書にのせてほしい。誰しも快感と不快感味わえる。

  • 読むだけでは終わらない。

  • 『カヴス・カヴス』が楽しかった。「あなた」が「私」になってしまう感覚が。面白い構成というか、巧いなぁと。
    だけど全てを楽しめたわけではなく「これはどこが面白かったんだろう」というものもちらほら有ります。その箇所に気付けなかったか、今の自分には楽しめないのか。なんか悔しい。せっかくの実験だったのに置いていかれてしまった。

  • 実験要素が溢れる

    様々な形式や構成の野心的な短編集。
    「帽子の男」では予想外の面白さに電車の中で吹き出しそうになってしまった。
    個人的には「小さな三つの言葉」が好き。静かで暗くて、少しスパイスを効かせた感じが。
    図や段組み等文字以外の要素で小説を書く面白さの試行錯誤が続いている。
    こういう形で小説の枠組みを問うのは面白い。
    いつまでもとんがった姿勢でいてほしい。

  • 27作の短編集。タイトルからして、何だか不可解であるが中身も普通の小説とは全く違うもの。しばらく内容が把握できず、自分の頭がとても固いことを実感。発想の転換や、普段見ない角度からものを見て考えているので、とても面白い。よく見かける「不思議な男」とか、奇想天外な小説。不思議な本を読んだ。説明するのが難しい(笑)

  • なんだこれは。

  • コルタサル『石蹴り遊び』風の短編が入っていると知って読んでみた。わたしが『石蹴り遊び』に期待していたのは、こういう風に違う見せ方をしてくれることだったんだよねーと思い出す。朝暮さんのは短編だからできたことかもしれないけれど。

    お話として面白かったのは、答えが見えないむずがゆさがたまらない「喇叭」、愛情のもつれからくる殺人と強いお酒の組み合わせが良い「小さな三つの言葉」。

    豊﨑由美の解説はためになった。

  • オビに「絶頂期の筒井を彷彿させるアイデア」かなんか書いてあったんで読んでみた。実験小説と銘うってあるけど、ちゃんと起承転結あり伏線回収してあったりで、普通に面白かった。でも目が異様にすべる話もあったりで(短編集なので)、読み飛ばしたりしたので星ふたつ。矢印にそって進む話があったが、あれを実際筒井が書いたら面白かったんだろうな。後書き読んだら、ミステリーや叙情小説なんかも書いてるみたいなので、機会があればそっちも読んでみたいかも。

  • 『本をよく読み、よく書き、よく真似る作家』が、『本をよく読む者』を愉しませるために書いた本。
    この本にはたくさんの『っぽい』が詰まってる。
    それを見つけられた人はさぞかし爽快だろう。
    私はほとんど分からなかったので、ただ「へんてこで面白い」という感想しか浮かばなかった。
    自分にはまだまだ読むべき本がたくさんあるのだと気付かされた。
    『本をよく読む者』になったときにまたこの本を手に取りたい。

  • 前から気になってた短編集。
    奇想天涯なアイデアの宝庫!ちょいブラックなオチも良いw
    「帽子の男」「喇叭」「雨」「小さな三つの言葉」「參」「何かいる」「タイム・サービス」「貰ったけれど」「黄金の果実」「箴言」「進めや進め」が特にスキ。
    でも浅暮三文って絶対歪んだ性癖の持ち主だと思う、一冊の本に妻殺しネタが3つって・・・!

  • その発想はなかったわー、と思った。
    毎回死のイメージがつきまとうのが、慣れてしまうと「またか」と思ってしまうけど、次はどんな読み方をさせられるのかと楽しみに読みました。

  • 「ぬ」
    もっと漢字を知ろうと思った。

  • まさに実験小説。実験の方はとてもおもしろかったのだけど、後味がちょっと苦手。でもこの不気味で怪しい雰囲気は独特で私には新しかったので楽しめた部分もありました。ですがやっぱり読むのに疲れてしまって読むのをやめてしまった。あ、でも「帽子の男」は気に入りました。

  • 何なんでしょう、この小説は!!
    街中にあふれる交通標識のおじさんが主人公になるかと思えば、時には「漢字」そのものが主人公になったりと、とにかく彼の手にかかれば世の中に存在するすべてのものが主人公になり得るのかもしれない。
    解説には「短篇の名手」という敬称がついていたが、それも納得。この作品に掲載された小説はすべてが短篇で、長いものでも20ページほど。短いものになるとわずが数ページというものもたくさんあった。とは言うものの、短篇しか書けない作家というわけではなく、長編も手がけるマルチな作家であるようだ。
    『実験小説ぬ』というタイトルがあまりにも気になったため読んでみたわけだが、そもそも短篇の苦手な私には、あまり好ましい作品ではなかった。ただ、読んでいて「クスッ」と笑えるような内容もあり、短篇が好き、あるいはちょっと変わった小説が読みたい、といった人にはオススメできるだろう。

    2005年7月/光文社/光文社文庫

  • 「帽子の男」は楽しく読めたが
    半分を読み進んだあたりで正直、飽きてしまった。

    ブラックユーモア好きにはよいでしょう。

    (以下は後日読み直したことによる追記)

    はじめまったく理解できなかった
    「參(さん)」を再び読むことで理解することができました。

    ささいなことで言い合う三氏がかわいかったです。

    全体を読んで、
    注文の多い料理店のようだと思っていましたが
    「參(さん)」は特にオチが強くそうだなと感じました。

  • これは本当に、実験的!
    と言う感じ。

    読ませ方が
    面白い買ったです(n`Д´n)
    もう少し幼い頃に読みたかった!

  • 不思議な世界だ!
    シュールレアリズムってやつ?

  • 犯人がわからないままの殺人事件簿。そんな言葉がお似合いの疑問を抛ったままのストーリー、ぐるぐると同じことを繰り返していくうちにいつの間にか読み終えてしまう小説。あれ?もうおしまい?いいえ終わっていませんよ、ラストはあなたが創るのです。

    帽子の男の話はテンポよくわくわくして読めました。それ以外の話も小説の構成は画期的(実験的)だったかもしれませんが、文章が普通。表紙ほどのインパクトは求められません。故に想像が苦手な方にはイライラする一冊かもしれません。

  • 友人から頂いた本。表紙だけを見て買ったそう。
    ですが、中身も実験的と言えばそれなりに実験的。画期的とも言えるような…言えないような…、そんな内容でした。しかし残念なことにその画期的趣向に反して意外にも文章は普通。

    (2010.02.23)

  • 画期的と言えば、画期的なようだけれど、
    これに近い手法は結構ミステリや小説で使われていることもあり、
    そういうことを考えると、そこまですごいということもなく。

    読者を巻き込むドキドキ感は楽しいけれど、
    読み物としても面白さ、文章の巧みさという意味ではふつう。
    これで文の構成ではなくて言葉そのものの技巧が素晴らしければスゴイ小説になるかも。

  • 「実験小説」の名にふさわしい短編集。さまざまな趣向が凝らされていて楽しいったら。
    やはり「帽子の男」が最高。これはもう「読め!」としか言えません~。「遠い」も好きだなあ。じわじわ来る怖さがあるし。
    後半は普通の(というのも妙か?)ショートショート。どれもがユーモラスで、くすりと笑えるものばかり。「海驢の番」なんて好きだなあ。情景を思い浮かべると笑える一作。「カフカに捧ぐ」も見事。ネタ自体はものすごくポピュラーなものなのに、それに用いる言語の感覚が普通じゃない! 特に275ページから276ページに移った途端、大爆笑してしまいました。

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著者プロフィール

1959年兵庫県生まれ。関西大学卒業後、コピーライターを経て、98年『ダブ(エ)ストン街道』で第8回メフィスト賞を受賞しデビュー。2003年『石の中の蜘蛛』で第56回日本推理作家協会賞長編部門を受賞。

「2022年 『我が尻よ、高らかに謳え、愛の唄を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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