白昼の死角 新装版 (光文社文庫 た 4-32 高木彬光コレクション)

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  • Amazon.co.jp ・本 (848ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334739263

感想・レビュー・書評

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  • 分厚い本だったが、一気に読了。
    手形・小切手の奥深さを実感。新入社員の時に勉強したが、確かに難しいところがある。これを徹底的に利用し、知力と胆力で完全犯罪を仕立てていく七郎の行動はものすごい。
    今は手形・小切手の現物が減っていく。今後はこの手の事件または小説はなくなっていくのだろう。

  • 戦後の混乱期、法の網目を潜り抜けて犯人・著者・検事が織りなす法律の死角をついた完全犯罪。

  • Kindleにて読了。
    経済的な詐欺のお話し。

    つか、会社の休み時間にちょこちょこと読むにはちょっと…でした。
    やっと読みおわた〜て感じ。

    ま、私の知識不足もかなりの原因ですが。

  • ー 私の行為そのものは、たしかに、法の眼から見ればあやまった面もあるでしょう。しかし日本の法律は、戦争犯罪者をみずからの手では裁けなかったのです。

    無謀な戦争に国民をかりたて、何百万の人びとの生命を失わせ、莫大な国富と領土を犠牲にした過去の指導者たちの罪はどれほど糾弾しても足りなかったはずです。しかもその犯罪者を裁くのに、日本は戦勝国の力を借りねばならなかった。
    そして、その指導者たちの教育が、私たち戦中派の信念を培い育てたとしたならば、私が日本の法律による裁判を拒否し、判決の言い渡し以前にそれをのがれたことも、あながち卑怯とは言えますまい。 ー

    最高に面白い犯罪小説だった。

  • 800ヘージもあるが、あっという間に読み終えた。面白すぎる、そして怖い。

  • ノンフィクションをモデルに書き上げられている。
    著者は、最後に語っているが、鶴岡七郎の伝説を元に詳しく詐欺の内容を語っており、松本清張が描く詐欺の内容より踏み込んでいる。

    構造としては、天才の隅田と共に金融世界を知り、ある機会に表向きは金融業、裏向きは詐欺師になる。
    鶴岡が天才と呼ばれるのは、その時代の弱点を見抜き、研究し続け、実行し、演技し続けることにある。心理を読み、人を操り、翻弄し、情を持たないことを極める。

    ルパンなどのように、人を殺さず、頭脳だけで人を負かせる鮮やかさには、善と悪を超えた共感さえ持つ。
    これを正義に持ち込めばとも思うが、悪だからこそ成り立つことなのかもしれない。

    戦争後の話であり、法も整備されていない状況での隙をついたような話だが、それを見極める能力、行動力は恐れ入ります。

    善悪関係なく、時の状況を把握し、その隙をつき、極めることで成功する可能性があるのかもと思うようような話だった。

  • 面白かった。スティングを彷彿させられるところもあったし,飽きさせない。テコギ苦手だったなぁと苦く思い出さされたけど。
    ただ,女の人の出方はあまり好きになれん。昔の小説は,という偏見かもしらんけど。

  • いやぁ、実に面白かった。長かったけど一気に読めた。これが実話とは信じられない。ほとんどが戦後10年ほどの混乱期に行われた約束手形に関する経済詐欺なんだけど、いくら法の死角をついているとは言え、これだけ警察に目を付けられながらいくつも詐欺を続けられるというのは本当なのかな。戦後の日本の状況とか、手形に関する知識が身についた気もします。ナニワ金融道も合わせて読むと勉強になりそう。

  • 半分で挫折してしまった。一章だけでよかった。長編すぎてメリハリがなくなってしまい飽きてくる。
    作中に複数登場する、主人公を形容するための『天才』という言葉が独り歩きしてかえって主人公の魅力を消してしまったもったいない作品。

  • 実在の人物の事件をベースに書かれたという小説。
    事実は小説よりも奇なりとはよく言うが、どこからが真実でどこからが虚構なのか分からなくなるぐらい面白い作品でした。
    手口が鮮やか過ぎて、検事との応酬は思わず主人公の味方をしてしまうほどでした。

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著者プロフィール

1920年9月25日、青森県生まれ。本名・誠一。京都帝国大学工学部冶金科卒業。48年、失業中に書いた「刺青殺人事件」が江戸川乱歩の推薦で出版され作家デビューし、「能面殺人事件」(49-50)で第3回探偵作家クラブ賞長編賞
を受賞する。79年に脳梗塞で倒れるが過酷なリハビリ生活を経て再起、「仮面よ、さらば」(88)や「神津恭介への挑戦」(91)などの長編を発表。作家生活の総決算として「最後の神津恭介」を構想していたが、執筆途中の1995年9月9日に入院先の病院で死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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