刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334739607

感想・レビュー・書評

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  • 別々の二人の易者から「長編小説を書くこと」を勧められ、しかも「その道の大家に送りなさい」とのご託宣。一面識もない江戸川乱歩に原稿を送りつけ、大乱歩に「損害が出たら俺が肩代わりする」とまで謂わしめて出版に漕ぎ着けた『刺青殺人事件』と無名の新人、高木彬光。
    大晦日、乱歩からの手紙を握りしめた妻と、抱き合って号泣したという高木氏。なんともドラマティックな秘話。

    先日、角川文庫版で読んだ『刺青殺人事件』本編に加えて、岩谷選書版の後記をはじめとする各版の序文、あとがき等を収録。
    『探偵小説の作り方』に至っては『刺青殺人事件』の創作の道筋、種明かし、著者解題まである贅沢さ。
    横溝正史の遺品から発見された、高木彬光の未発表短編『闇に開く窓』まである。

    探偵小説に賭ける意気込みと熱気がものすごく伝わってくる。
    扶桑社文庫の『初稿・刺青殺人事件』が読みたくなってきた。

    • jyunko6822さん
      いつもレビュー楽しみに拝見させていただいてます。
      来月、この本と、「占星術殺人事件」抱き合わせで読書会があります。
      おいでになりませんか?
      ...
      いつもレビュー楽しみに拝見させていただいてます。
      来月、この本と、「占星術殺人事件」抱き合わせで読書会があります。
      おいでになりませんか?
      遠いですけれど・・・
      2013/02/12
    • kwosaさん
      jyunko6822さん

      なんてありがたいお言葉。
      jyunko6822さんの本棚にコメントさせて頂きます。
      jyunko6822さん

      なんてありがたいお言葉。
      jyunko6822さんの本棚にコメントさせて頂きます。
      2013/02/12
  • 未読だった古典的名作。江戸川乱歩に送りつけたことによってデビュー出来た高木彬光氏の処女作。大蛇丸の美しい刺青を入れた怪しい美女が浴室でバラバラで殺されており、胴体が持ち去られていた、、、というコッテリド本格。
    犯人はなんとなく分かるが、白眉なのはホワイダニット。箇条書きになった謎が、ある一点の仕掛けでドミノ的に解けていく快感があり。(特に、何故彫師は子供達三人に不吉な3すくみの刺青を彫ったのか?)三津田信三のあのシリーズにも影響与えているのかしら。横溝だけだと思ってたけど。

  • 江戸川乱歩先生が絶賛したという、高木氏の処女作にして代表作である探偵小説です。でも、残念ながらこの本は絶版しておりまして、中古しか手に入らないと思います。

     内容は、凄いというより表現のしようがありません。!(◎_◎;)
    出ました!お約束の「密室殺人」と思いきや、それは序章にすぎません。
    思わず興奮し頁を捲る手が止まりません・・・そして事件も迷宮入りかと思いきや、ジャジャ~ン名探偵 神津恭介の登場!
    本書より抜粋、「悠揚にして迫らず、しかも明徹細緻」な神津推理に圧倒されます。ちょっと反則ギリギリの点は否めませんが、この作品は後世に残したい名作探偵小説です。 文句なしのお薦め作品です!

  • 乱歩が絶賛したことでも知られる高木彬光のデビュー作。
    同時に収録されている『探偵小説の作り方』を読むと、かなり緻密な構成を最初から組み上げて行った様子がよく解る。
    未発表の短篇『闇に開く窓』も収録されていてお得感ありw

  • この作品は無駄なところが少ない。さすがにないとは言えないが。
    しかし冒頭から読者を罠にかけようとプロットが組まれていてあとから感嘆した。
    ヴァンダインを意識している部分も見られた。

  • 本格ミステリーの基本といわれている名作中の名作。しかも、高木氏の処女作だそうな・・・
    是非、読むべし!とのお勧めを受けての読了。

    感想は、ミステリー界って現在も進化を続けているんだナァ。

    • kwosaさん
      福島ですかぁ、うーん残念。
      でもサイトはブックマークさせて頂きました。

      >好きなこと好きなように話し合って
       お茶飲んだり、お酒飲んだりす...
      福島ですかぁ、うーん残念。
      でもサイトはブックマークさせて頂きました。

      >好きなこと好きなように話し合って
       お茶飲んだり、お酒飲んだりする会です。

      とってもうらやましいです。
      活動内容も充実していて楽しそうですね。
      課題図書(?)で未読のものもたくさんあるので、参考にして読んでみようかと思っています。(あっ、クイーンの「国名シリーズ」の新訳、角川と創元文庫で迷っていたんですけど、やっぱり角川のほうがいいですか?)
      2013/02/14
    • jyunko6822さん
      お返事ありがとうございます。
      今後とも、読書会の情報など、ご覧くださいね。とても楽しい会で、毎回 東京から仙台から、山形からわざわざおいで...
      お返事ありがとうございます。
      今後とも、読書会の情報など、ご覧くださいね。とても楽しい会で、毎回 東京から仙台から、山形からわざわざおいでになる方もいます!
      福岡は遠すぎますねぇ・・・
      クイーンですが、会員内に腐女子多数(ジャケ買い)と、越前さんファンがおりますので、角川のを各自揃え始めてるというのが内輪の本当の話です。
      2013/02/14
    • kwosaさん
      jyunko6822さん

      たびたびコメント失礼します。

      なるほど、クイーンは「ジャケ買い」ですか。
      個人的には表紙は創元が好みなのですが...
      jyunko6822さん

      たびたびコメント失礼します。

      なるほど、クイーンは「ジャケ買い」ですか。
      個人的には表紙は創元が好みなのですが『Yの悲劇』の越前さんの新訳は面白かったです。ちょっといろいろ検討してみます。
      ありがとうございます。
      2013/02/14
  • 表題作「刺青殺人事件」のみ読了、とりあえず70点。
    この文庫本には他にエッセーやら短編、ノベルズ版の後書きや芦辺拓氏の解説などもありますがそちらは未読。

    太平洋戦争直後の東京、主人公の松下研三は刺青競艶会で、不気味な大蛇丸の刺青を背負った、妖艶な美女野村絹枝に出会う。
    刺青と彼女自身に魅入られた研三は彼女の家へ行き、殺人事件へ巻き込まれていく。
    さらに事件は第二、第三の殺人へと続き…


    密室トリック、アリバイ崩し、死体消失の謎、読者への挑戦状、また知的犯罪に対する美学を登場人物に語らせるあたりはまさにミステリーの王道を行くという印象です。
    最近読んだ小説は何故か王道かと思いきや横道に反れる作品が多かっただけに、ああ、ミステリーを読んだ、とおなかいっぱいにさせてくれました。
    当初はがっつり謎解きに挑もうとしましたが、結局細かい項目まで考える前に、我慢出来ずに解答編へ突入。一応ミステリーとしての肝に当たる部分は見当付けることが出来ましたが…

    欠点と言うか残念な点も何点かありました。
    まず小説のスタイル、詳しく書くとネタがばれそうですが、誰の視点によるいつの手記なのかがどうも気になる、叙述トリックが一般的になった今読むともう少し厳密性を要求したくなるところ。
    あと探偵役として登場する神津恭介のプロフィールと解決の為の足掛かり。囲碁将棋の打ち筋から得た人物観で犯人を絞り込むのはどうも…
    トリックも含めてそこらへんが時代を感じさせてくれる部分でしょうか?

    あと文章は非常に素晴らしいと思いました。
    刺青そのものに対してはどちらかと言えば嫌悪感が先に立つ自分でも、この文章を読んでいると登場人物が魅了されて狂って行くのも頷けるかも、、、と思わせてくれる筆力がありました。


    古典に分類される作品を読む度に、それまでのミステリーをしっかり読みつつ、発表当時読む事が出来ていたら、きっと、もっとこの小説を楽しめていたんだろうなと考える今日この頃です。

  • 「高木彬光」の長篇ミステリ作品『刺青殺人事件(しせいさつじんじけん) 新装版』を読みました。
    「高木彬光」の作品は、、少年の頃に読んだSF作品『ハスキル人』以来なので約40年振りですね。

    -----story-------------
    野村絹枝の背中に蠢く大蛇の刺青。
    艶美な姿に魅了された元軍医「松下研三」は、誘われるままに彼女の家に赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にする。
    それは胴体のない密室殺人だった――。
    謎が謎を呼ぶ事件を解決するため、怜悧にして華麗なる名探偵「神津恭介」が立ち上がる! 
    「江戸川乱歩」が絶賛したデビュー作であると同時に、「神津恭介」の初登場作。
    満を持しての復刊!
    -----------------------

    『東西ミステリーベスト100』の日本編で第32位ランクインしている作品… 1947年(昭和22年)に「江戸川乱歩」に絶賛され、翌1948年(昭和23年)に刊行された「高木彬光」のデビュー作品『刺青殺人事件』に、デビューにいたるまでを綴ったエッセイや、最近発見された初期の未発表短編『闇に開く窓』を収録した一冊です。

     ■刺青殺人事件
      ・第一章 恐ろしきトルソ
      ・第二章 マダム・セルパン
      ・第三章 刺青競艶会の女王
      ・第四章 三すくみの呪い
      ・第五章 憑かれた人々
      ・第六章 胴体のない死体
      ・第七章 完全犯罪
      ・第八章 刺青の女をめぐる男たち
      ・第九章 詰むや詰まざるや
      ・第十章 大蛇丸と綱手姫
      ・第十一章 土蔵の中の死体
      ・第十二章 地雷也還る
      ・第十三章 皮を剥がれた死体
      ・第十四章 殺人事件覚書
      ・第十五章 神津恭介登場
      ・第十六章 蛞蝓の足跡
      ・第十七章 非ユークリッド幾何学
      ・第十八章 華麗なる寄せ
      ・第十九章 地獄の前のラブシーン
      ・第二十章 心理の密室
     ■岩谷選書版の後記より
     ■新稿の序
     ■カッパ・ノベルズ版あとがき
     ■探偵小説の作り方
     ■「探偵作家になるまで」より 第三章 占われ記
     ■闇に開く窓
     ■天空に描くラビリンス―高木彬光小論 芦辺拓
     ■解題―衝撃のデビュー作 山前譲

    1946年(昭和21年)8月20日、「松下研三」は、東亜医大の「早川博士」に誘われて江戸彫勇会の刺青競艶会を見学に来た… 「研三」は、そこで中学時代の先輩である「最上久」と再会する、、、

    その競艶会の場を圧倒したのは、背中に見事な大蛇丸の刺青を持つ「野村絹枝」で、土建屋をしている「久」の兄「竹蔵」の愛人であった… 「絹枝」の魅力に惹かれ、後日彼女を訪ねた「研三」は、背中の刺青の由来を聞かされる。

    彼女の父「彫安」は、大蛇丸・綱出姫・自雷也の三すくみを、彼女と双子の妹の「珠枝」、兄「常太郎」の3人に彫り分けたのだという… 三すくみを1人の体に彫ると、3匹が争いあって死んでしまうため、タブーとされているのだ、、、

    不安に感じる「絹枝」との約束で、下北沢の彼女の自宅を訪ねた「研三」は、たまたまやって来た「早川博士」とともに、内側から鍵のかかった浴室で彼女の死体を発見する… 死体は首と両手両足だけで、胴体はなかった。

    その後、「絹枝」の愛人の「最上竹蔵」も死体で発見される… 拳銃自殺のようにも見えるが、他殺の可能性も否定できない、、、

    捜査が難航する中、「絹枝」の兄「常太郎」を捜し当てた「研三」だが、事件の核心を知っているらしい「常太郎」の「しばらく自分に任せて欲しい」との言葉を信じて待っているうちに、彼も全身に彫った刺青を皮ごと剥がされて殺されてしまった… 責任を感じる「研三」の前に、一高時代の友人で、「「神津」の前に「神津」なく、「神津」ののちに「神津」なし」と激賞されるほどの天才「神津恭介」と再会し、彼に謎を解き明かすよう依頼する。


    面白かったー 終戦から間もない頃の昭和の雰囲気も好きですね、、、

    中盤までは、ややゆったりした展開ですが… 「神津恭介」が登場してからはスピード感が一気にアップして、終盤は一気に読めましたね。

    密室のトリックも愉しめましたが… 双子モノにはありがちな入れ替えトリックにも刺青を使うことで新鮮な工夫があったし、殺害場所を誤解させることで、胴体のない死体の理由やアリバイ崩しも合理的な理由が説明されていることも好感が持てました、、、

    第2、第3の殺害の理由やトリックも合理的だったしね… 機会があれば、他の作品も読んでみたいですね。


    以下、主な登場人物です。

    「松下研三」
     東大医学部法医学教室の研究員。

    「神津恭介(かみづ きょうすけ)」
     研三の一高時代の友人。一高時代に整数論の大論文を書き上げた天才。

    「最上久(もがみ ひさし)」
     研三の中学時代の先輩。

    「最上竹蔵(もがみ たけぞう)」
     久の兄。土建屋「最上組」の社長。

    「野村絹枝」
     竹蔵の愛人。大蛇丸の刺青を持つ。

    「彫安(ほりやす)」
     絹枝の父。刺青師。

    「野村常太郎」
     絹枝の兄。刺青師。

    「野村珠枝」
     絹枝の双子の妹。

    「稲沢義雄」
     「最上組」の支配人。

    「早川平四郎」
     東亜医大の医学博士。最上兄弟の叔父。刺青の研究家。

    「松下英一郎」
     研三の兄。警視庁捜査一課長。

  • 高木彬光 刺青殺人事件
    タカギアキミツ シセイサツジンジケン 
    彼の作品2冊目を読み終わりました。
    まだまだ知らない作品、知らない作家がいるのです。
    私の好きな作家ランキングに入りました。
    彼の作品は本屋で購入できるのでしょうか?

    後書き等により、残りの作品、あるいは他の作家、作品名を入手することも出来ました。
    まだまだ未知の作品を読まなければなりません。
    忙しい。

  • 指紋調べたら一発だったんじゃねえの?

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著者プロフィール

1920年9月25日、青森県生まれ。本名・誠一。京都帝国大学工学部冶金科卒業。48年、失業中に書いた「刺青殺人事件」が江戸川乱歩の推薦で出版され作家デビューし、「能面殺人事件」(49-50)で第3回探偵作家クラブ賞長編賞
を受賞する。79年に脳梗塞で倒れるが過酷なリハビリ生活を経て再起、「仮面よ、さらば」(88)や「神津恭介への挑戦」(91)などの長編を発表。作家生活の総決算として「最後の神津恭介」を構想していたが、執筆途中の1995年9月9日に入院先の病院で死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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