江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣 (光文社文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (786ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334739799

感想・レビュー・書評

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  • 「陰獣」が読みたくて購入しました。ご本人が後に書かれた解説やあとがきより抜粋された
    文章などを含む、非常にボリュームのある一冊となっています。ちびちびと一篇ずつ読み進め
    一年越しようやくの読了でした。「踊る一寸法師」から始まる不思議に妖しく不気味な世界。
    大好きな(というと語弊があるかもしれないけど)「芋虫」で締めくくりなのがまた良い。
    ほれぼれするほど不気味。ため息ものです…。

  • 再読。合作の「五階の窓」が読み返したくて(最近、小酒井不木や森下雨村を読んでるせいです)。収録されている他の作も短編では「灰神楽」、「モノグラム」、「お勢登場」辺り大好きな作だし、「陰獣」の乱歩らしさもこれまた良いですね。
    「空中紳士」も合作という事ではありますが、書いたのは乱歩と(第三回だけ岩田準一らしいです)いうことで、後半、乱歩らしい仕掛けがあちこち入っていて面白い、盛り沢山の一冊です。

  • タイトルとあらすじが恐ろしすぎて未読だった「芋虫」をようやく読む決心がついて読んだ。
    やはり未読だった「踊る一寸法師」も文中でも言及されているように乱歩流の「カルメン」として強い印象が残ったが、「芋虫」は更に圧倒的。
    私、やっぱり乱歩大好きだ…。
    各編に添えられている乱歩自身の解説は、相変わらず人間味溢れていてそちらも好き。

  • はあ・・・すごい・・カルトっぽいなあ。好き。

  • 乱歩は多少筋が稚拙でも、人に読ませる何かを持っている。物語の書き出しに関しては右に出るものはいないと思う。
    「陰獣」の書き出しなんかはさすが乱歩だと思わず言いたくなるほどの掴み。読者をぐいっと怪しく陰鬱とした世界へと引きずり込む。

    だからこそ、空中紳士には始終違和感を覚えざるを得なかった。
    「なんか違う…なんか違う…」と思いながら読むのはなかなか苦痛なもので、空中紳士だけは読むペースが落ちた。
    「読みづらいなあ、なんか違うなあ」と自覚したときはっとした。私が求めているのは怪奇なのかと。
    私は傑作選と全集1巻と2巻しか読んでいない乱歩初心者だけれど、乱歩に毒されるには十分なほど読んでいる。

    空中紳士に限って言えば、読者を否応なしに作品に引きずり込む身勝手さはなく、「気になるなら来れば?」くらいの軽さを感じた。他の作家もいたから仕方ないとは思いつつ、ちょっと物足りなく感じるかも。

  • 日本の名作。

  • 悔しい。大好きな芋虫が穴あきだらけの編集で惜しいと思いました。乱歩好きにはたまらないシリーズ。芋虫だけ惜しかった、本当に惜しい。

  • 3巻は短編14篇収録

    『お勢登場』『人でなしの恋』『鏡地獄』『芋虫』が個人的には好きかな
    『陰獣』は期待値が高かったのと、犯人が容易にわかる点がいまいち…
    でも最後をもやっとさせた部分は好きだな
    お勢〜と鏡地獄は想像しただけで気がおかしくなりそう
    人でなしの恋は案外現代にはこんな恋してる人いるだろうなぁと思いつつやっぱ切ない
    芋虫はエグさの中にもやはり最後は切ない

  • 半数は再読。「空中紳士」等は初読。

    ・「踊る一寸法師」
     最初の描写の痛ましさと言ったら。「芋虫」でも存分に発揮されていたが、ああいう厭な情景描写は、読む者に或る種の「嫌悪感」だとか「厭世感」を与える。乱歩は特に、よく与える描写を得意としているように思う。筋については、乱歩作品を読んでいれば何となく予想のついてしまうもの。

    ・「毒草」
     「堕胎」という微妙な社会問題を扱っていたせいか、左翼方面からの評判は宜しかったらしい。だが、乱歩がそのようなことを考えて書いていなかった事は、乱歩自身も述べている通りである。乱歩としては、本作を通じて、「堕胎の恐怖」というものを描いたということであるが、若干的を射ない表明ではないかとも思う。と言うのも、堕胎行為に対する恐怖を描いているというよりも、その行為に対する人々の心理に主眼を置いて描いているとしか読めないからだ。

    ・「覆面の舞踏者」
     巻末で新保博久さんが「いただけないもの」として(というのも、男は兎も角、女の方で取り返しのつかなくなる前に必ず気づいて回避するはずだ、ということから)評価しているが、果たしてそうも言いきれるかどうか、ということを直感的ではあるが思う。心理的なものを含めば(一時の過ち、というもの)、全く成立しないとは言えまい。

    ・「灰神楽」
     乱歩曰く、「無理に絞り出してこね上げたもの」らしいが、読むとそんな風に書いたとも思えない。多分、多少自信を持って書いたにも拘らず、「全く黙殺」されてしまったから、悔しい思いもあってそういう評を本作に下したのであろう。火鉢の中に小道具(ボール)を忍ばせて、まるで偶然が重なったための過失死なのだ、と思わせる手。そして、実は火鉢は当日とは別物で、そんなボールが入っているわけもないのに、どうしてそこから出てきたのか、という矛盾から破滅を来す犯人。乱歩好みの結末の付け方であるが、世間としては乱歩の言う様な「妙な味」が一切しない(私に言わせれば、結末の付け方で十分「乱歩味」が出ている)から、あまり興味を剥かせるだけの魅力を本作が持ちえず、黙殺と言う結果になったのだろう。

    ・「火星の運河」
     乱歩の青年時代の夢をもとにしているらしい。「パノラマ島綺譚」に共通する「幻想性」が本作にはある。

    ・「五階の窓」
     乱歩に連作の初っ端を任せると、少々、いや結構な暴走っぷりを発揮してしまうから、後々が大変になるだろうというということをいつも読みながら思ってしまう。乱歩は少なくとも、私が知る限り「江川蘭子」でも暴走していたように記憶している。今回はやたらめったら伏線だか何だかわからないものを拵えすぎているのが、主暴走であろう。乱歩もその点、「僕自身の失敗について云えば、どうでも筋が運べる様にと、その点を考え過ぎて、疑問の人物を無闇に拵えたことだ」と述べている。私も、某大学某推理小説研究会にて、リレー小説なるものに参加し、尻尾の方を任されたが、本当に筋を纏めるのに苦労した。それというのも、やはり、伏線ばっか考えずに乱発されたせいなのだが。

    ・「モノグラム」
     学生時代、好きだった子が実は盗人だったなんて事実を、偶然にも知ることとなってしまったら、やはり厭なものだろう。

    ・「お勢登場」
     非道い。

    ・「人でなしの恋」
     むしろ、人形で良かったと思う。私の場合、人形であるというのもフェイクで、実は……ということも考えた。

    ・「鏡地獄」
    鏡偏執狂とも言うべき者の、破滅までの話。

    ・「木馬は廻る」
     メリーゴーラウンドの真ん中でラッパを吹く男の、甘酸っぱい話。結構通俗的だが、地味に良い筋。少女も調子良いな。

    ・「空中紳士」
     連作ではなく、合作。ただ、主に乱歩が筆をとって書いたと言われる。部分部分、雑な文章構成の部分が見受けられる。が、後半になってくると調子が出てきたように、生き生きしてくる。
     文字通り、雲隠れできる飛行機やら、獅子の着ぐるみでどうのこうの、という展開は後の作品にもよく見受けられる着想。

    ・「陰獣」
     乱歩得意の、「結末に余韻を残す」作品。然し、本作は本来の効果として
    十二分に屋台骨を支えている。話としても、面白いものに仕上がっている。

    ・「芋虫」
     本当に、良い意味でも悪い意味でも「気持ち悪い」。読んでいて、うえっと思わせられる作品。多分、丸尾末広の「芋虫」を読んだ後と言うのも影響しているとは思うが……。

  • 「芋虫」めあてに読んでみた。

    ひどい話を覚悟していたが、夫の残した「ユルス」には私まで救われた気がした・・・

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著者プロフィール

1894‐1965。明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任。昭和40年7月28日死去

「2018年 『人間豹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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