父からの手紙 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 1620
レビュー : 182
  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740320

作品紹介・あらすじ

家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者として逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき真実が明かされてゆく。完璧なミステリー仕立ての中に、人と人との強い絆を描く感動作。

感想・レビュー・書評

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  •  誰かのために自分を犠牲にする。が、その結果が必ずしもその誰かのためになるとは限らない。
     苦難も一様にあらず。苦難を避けても違った苦難に見舞われる。避けるのではなく乗り越えるしか我々に道はない。

  • 2つの物語が個別に進み最後はその2つが1つに交わる。愛する子供の成長を想像し50歳までの幾通りの場合での手紙を用意した父親の切ない生き様、親子の繋がりに涙する。

  • 中盤を過ぎた辺りから、先が読めたが最後の手紙の下りは涙腺が緩みました。
    一点気になるのが、みどりが上野のホテルで会ってた男は誰?兄貴が浮気を疑って圭一が後をつけてた人。
    兄貴なの?伸吉なの?

  • 麻美子と圭一、それぞれの視点から物語が進み、少しづつ真実に近づいていく過程が面白かった。ミステリーとしても家族の絆を描く感動作としても非常に楽しめた。

  • 積読本が一掃されたので本屋を物色。
    で、平置きの中で発見。
    タイトルだけだと親子感動ものが想像されて一旦スルーしかけたがまさかのミステリ。
    これはと思って手に取った。

    二軸の話が平行に進む物語。
    「この話、どこで交わるの???」と気を揉むくらいに繋がりそうで繋がっていかない。
    期待感が高まる。

    …が、とにかく主人公二人の思考と行動がまだろっこしい。
    そしてとにかく「きっとこうだろう」の想定と思い込みが激しい。
    進んでいるんだかミスリードされているんだかわからなくなる。
    作戦か?

    帯は…盛りすぎ。
    「おもしろさ保証」はわかるが、この物語は「涙」とか「感動」とかがメインじゃない気がする。

    解説はバランスの良い王道。

  • 初読みの作家。期待せずに読んだのだが、深い哀しみと感動を覚えるミステリー作品だった。

    麻美子と伸吾の姉弟の元には十年前に突然、失踪した父親から毎年、誕生日に手紙が届く。父親はどこで、何をしているのだろうか。一方、殺人の罪で服役していた圭一が出所し、新たな生活を始める…麻美子と伸吾の姉弟と圭一が偶然にも出会い…

    十年間、途絶える事が無かった誕生日の手紙から深い父親の愛情が伝わる。父親の失踪の真相と圭一の犯した殺人事件が少しづつリンクしていく過程が面白い。

  • ミステリー要素強めの感動ミステリー。
    父との関係や家族や身内に対する想いとか、
    共感できる部分が所々に出てくるのは
    きっと私だけじゃないはず。
    読み応えのある1冊だった。
    .
    読書を始めてやっと50冊目。
    勇気を出してこの本を読んだ✨
    .
    私も父を煩わしく感じる時期があった。
    そして、
    父を許せないと思う出来事を知ったのも、
    運悪く、その思春期の頃だった。
    私は怒りに任せて
    小さい頃から大切にしていた父からの手紙を
    全部捨てた。
    .
    何度も後悔した。
    自分の人生で最大の後悔は
    父からの手紙を捨てた事。
    .
    だから
    この本は何度か手に取ったけど、
    読むには勇気が必要だった。
    .
    読むとやっぱり
    重なる部分が多々あったし、
    思うこともたくさんあって、
    感動だけが理由じゃない涙が止まらなかった。
    父が恋しくなった。
    50冊目にこの本を選んで良かった☺︎

  • 家族を捨て、家を出た父から誕生日に毎年手紙を受け取り、その手紙の言葉を胸に不幸を乗り切る娘
    婚約者が殺され、結婚に反対していた弟に容疑がかかり真相を追いつつ、居なくなった父を探す。

    もう一人の主人公、圭一は刑務所から出所し、自分が何故殺人を犯したのかなくした記憶を取り戻すため、また発端となった兄の自殺の真相を確かめるため義姉を探す。

    読めそうな展開は、早めに推理して気持ちよく潰してくれて進んでいくあたりが良い。
    同じ事が繰り返されているような感じはあったが
    二つの線が繋がってから、なかなか面白かった。

    だけど、不幸の連続
    なんとも特殊な境遇の特殊な事件に巻き込まれた人達なので、感情移入がしづらかった。
    私も父親なので「家族を想う父の気持ちの在り方」に共感できなくも無いのだが、明らかな間違いがあり、それも登場人物が指摘している通りで、話の中で自己完結してるように読めてしまいなんだか感動したようしないような宙ぶらりんな状態で終えてしまった。いや、それでもラストは心にくるものがあった。

    少ない文字の中で、丁寧に描かれている人物が良いのだが、少しずつ違和感があり気になってしまうのが残念だった。

    麻美子パート:父親の不倫に対して理解していることに違和感。それだけ父を想う気持ちが強かった、ということか?
    夢の話は不要、別の方法があったのでは無いか?

    圭一パート:出所後の生活の切迫感が無いこと、生活より探偵のような事を優先するあたりに違和感が…自制が出来ず犯行に及んでしまった弱さなのか? 記憶喪失や、勘違いしていたことへの違和感などなど

    解説によると、逢坂剛さん、宮部みゆきさんあたりと近い年にオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビューされたと聞くと、唸ってしまう。
    こんなに読ませる構成の作家さんを今まで知らなかったとは…
    作家は皆そうなのかもしれないけど、一つのテーマに挑み、描ききれないものや、こぼれ落ちる要素を何作かを通じて描こうとしていく姿勢が素晴らしい。

    • ikedazuさん
      様々な事件の原因が、重く心に引っかかっている為、そのあと起きた事を考えると素直に感動出来ない部分がある。町工場の息子が、父親の死の悲しみに打...
      様々な事件の原因が、重く心に引っかかっている為、そのあと起きた事を考えると素直に感動出来ない部分がある。町工場の息子が、父親の死の悲しみに打ち勝ったこと、それを主人公が手助けできたことだけが救い。
      2019/08/22
  • 仕事が一段落して久々にガツンと読み応えのあるミステリーを―と、書店で見つけたのが本書。
    失踪した父親から姉弟の元に誕生日ごとに手紙が届きます。
    その姉には婚約者がいますが、ある日、死体で発見される。
    しかも、容疑者は弟。
    この姉を巡る顛末が、姉の視点で語られるのが1つのライン。
    もう1つのラインは、義姉のために殺人を犯し、服役を終えて出所してきた男の視点で語られる、全く別の物語。
    2つのラインとも、話が進むにしたがって緊張感を高めていきます。
    そして、この2つのラインが終盤になって1つに合わさり、驚愕のラストへと向かうのです。
    その手並みは実に鮮やか。
    謎が謎を呼ぶ仕掛けを後から振り返ると、惚れ惚れします。
    やっぱり、最後の手紙は感動しますわな。
    自分みたいに、子を持つ父親なら、なおさらです。
    まあ、子を持つ父親だからこそ、タイトルを見て手に取ったのですが。
    ここからは蛇足ですが、精緻に組み立てられたミステリーを読むと、作者はどうやってプロットを作ったのだろうと考えてしまいます。
    特に、本作のような視点が交互に入れ替わる作品は、かなり綿密にプロットを作り込んでおかないと破綻します。
    才能ももちろん必要ですが、忍耐力や持続力が問われる作業と思います。
    平伏。

  • お父さんの深い愛情、まみこちゃんの強い意志に心打たれました。

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著者プロフィール

小杉 健治(こすぎ けんじ)
1947年、東京生まれ。東京都立葛飾野高等学校、コンピュータ専門学校卒業を経て、プログラマーとして18年間勤務。1983年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞、1987年『絆』で日本推理作家協会賞、1990年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。
社会派推理小説や、時代小説で活躍。著書に矢尋・知坂刑事シリーズ、「風烈廻り与力・青柳剣一郎」シリーズ、「三人佐平次捕物帳」シリーズ、「栄次郎江戸暦」シリーズ他、『父からの手紙』『残り火』『曳かれ者』などがある。
1993~1994年、日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門の選考委員を務めていた。

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