白髪鬼 新装版 (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334740856

感想・レビュー・書評

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  • 岡本綺堂による怪異集。
    日常に当たり前のように怪異が現れる。目撃しただけで済む人と、取り憑かれたように死ぬ人と、どのような違いがあるのだろう。
    当たり前のように怪異が現れるので、目撃した人たちも「あれって本当の人間?妖怪?妖怪なら関わらないほうがいいよね?」と通り過ぎようとする人たちの様子が現実的と言うか、君子危うきに近寄らずというか。

    『こま犬』
    讃岐のある村のお話。最近ある明神で奇妙な鳴き声が聞こえるという。さらに奇妙な死を遂げる人も出る。はたして埋められた狛犬の訴えだったのか?

    『水鬼』
    川で死んだ平家の女官の念が籠もっていると言われる「幽霊藻」と呼ばれる水草があった。語り手は帰郷した折に、幽霊藻に取り憑かれたような娘の話を聞くことになる。

    『停車場の少女』
    女友達の婚約者に会いに行った帰りの停車場で不思議な少女から声をかけられたという話。

    『木曽の旅人』
    父と幼い息子が木曽の山小屋で過ごしていると、若い男が入ってきた。息子と犬は、その若い男を異様に警戒する。

    『西瓜』
    使いのものが持っている西瓜が突然女の首に。再度見ると、やはりただの西瓜に戻っている。
    わけのわからない不条理ホラー。

    『鴛鴦鏡』
    一人の男を巡るふたりの女。願掛けの鏡に引き寄せられるように二人は…。

    『指輪一つ』
    哀切漂うしかし優しいような、人生の穏やかな諦めを感じるお話。
    語り手は、旅の途中で関東大震災で家族と家財産を失った男と知り合う。共に止まった旅館で拾った指輪は、男の娘のものだという。
    なにかに導かれたのだろうか?家族がいたという唯一のものは「指輪一つ」

    『白髪鬼』
    弁護士試験の場で覗き込んでくる白髪の女。どのような因縁が?現実の女との関わりは?それらが明かされずただただ不気味。

    『離魂病』
    妹とそっくりな娘を見た。魂が離れて歩いているかのように。数日後妹は死んだ。
    彼が死んだ時、自分とそっくりな人に出会ったのだろうか?もう確かめようもないが。

    『海亀』
    夜の海の怪。想像すると恐ろしい。死んでしまった娘さんはお気の毒だ。

    『百物語』
    百物語をしている最中に、廊下で女の首吊り死体を見た。これは幽霊なのか?本当に死体なのか?
    みなで確かめにゆくとたしかに本当の女の死体だった。
    だがその女の部屋に行くと、生きた女がいるではないか。

    『妖婆』
    大雪の日に数人の男たちが目にした雪まみれの老婆。怪異なのか。
    つい手を出してしまった男は、その老婆の怪に激しく付きまとわれて。
    …どうすればいいんだ、怪異にあったら目を合わさず「しょうがねえなあ」と無視するのがいいのか。

  • 夏は怪談ということで、岡本綺堂。やっぱり白髪鬼は傑作。分かりそうで訳わからない怪異があとを引き、怪談に綺麗なオチはいらないと再確認。あとこれ読むと鰻が食べたくなる。

  • 西瓜、白髪鬼、海亀が面白かった。

  • 『こま犬』

    『水鬼』

    『停車場の少女』

    『木曾の旅人』

    『西瓜』

    『鴛鴦鏡』

    『鐘ヶ淵』

    『指輪一つ』

    『白髪鬼』

    『離魂病』

    『海亀』

    『百物語』

    『妖婆』

  • 近代異妖編
    「こま犬」
    「水鬼」
    「停車場の少女」
    「木曾の旅人」
    「西瓜」
    「鴛鴦鏡(おしどりかがみ)」
    「鐘ヶ淵」
    「指輪一つ」
    「白髪鬼(はくはつき)」
    「離魂病」
    「海亀」
    「百物語」
    「妖婆」

  • 綺堂の怖い話はどれも面白いのだけれど、タイトルがあまりにも強烈で忘れられないので、この一冊で代表。一つ前の光文社文庫のカバーイラストは怖かった…。

  • 一つ一つはおもしろいと思うが、別段好みの話はなかった。各時代の話が書ける力量が素晴らしい。

  • 表紙が綺麗になった

  • それぞれの時代背景が興味深いし、語り口調も好き。

  • 表題作が好き〜。ひんやりとした文体が好きだ。

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著者プロフィール

(おかもと・きどう)1872~1939
東京生まれ。幼少時から父に漢詩を、叔父に英語を学ぶ。中学卒業後、新聞、雑誌の記者として働きながら戯曲の執筆を始め、1902年、岡鬼太郎と合作した『金鯱噂高浪(こがねのしゃちほこうわさのたかなみ)』が初の上演作品となる。1911年、二代目市川左團次のために書いた『修禅寺物語』が出世作となり、以降、『鳥辺山心中』、『番町皿屋敷』など左團次のために七十数篇の戯曲を執筆する。1917年、捕物帳の嚆矢となる「半七捕物帳」を発表、1937年まで68作を書き継ぐ人気シリーズとなる。怪談にも造詣が深く、連作集『三浦老人昔話』、『青蛙堂鬼談』などは、類型を脱した新時代の怪談として評価も高い。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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