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- / ISBN・EAN: 9784334741655
作品紹介・あらすじ
猫は建築家だった。何度か生まれ変わったけれど、そのたびに建築家になる-。何を造ろうか、どう造ろうか。思いをめぐらしながら、猫は街へ出る。そして、造られるものの「形」や「機能」に思いふけるうちに、ふと気づく。鍵を握るのは、「美」だと-。人気ミステリィ作家・森博嗣と新進画家・佐久間真人が共同で紡ぎ上げた静謐な物語。
感想・レビュー・書評
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イラストと文章の相性について、雰囲気は適切だが、内容はズレている、そんな感想を抱いた。森博嗣側は、限られた文書量の中で、テーマを絞り、言葉を選び、無駄を削ぎ、出来上がった物語はさすがの出来(仕事として)。建築物に限らないと思うが、機能、形、そして美の三つを焦点に、時に具体的に、時に抽象的に語られている。しかし、その内容は同氏が常々主張していることで、真新しさは無い。そして挿絵については、こぎれいにまとまっているけど、それ以上でもなく、同等でもない。綺麗なイラストに留まっている点が残念。もっとイラスト少なくて良かったんじゃないかな。本来は読者が文章から想起すべき部分を、悪い方向に固定化してしまった気がする。残念。挿絵がないほうが良かった。
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猫の動きがまるで建築家のように見える話。
ただ短いのもあってそれだけという印象。 -
静かな世界観。「美」とは何か。
世界のあらゆるものを見て、なぜこうなっているのかを考えたくなる。さて、なぜこの本は「猫」であるのか。 -
大人のための絵本。哲学。
世界は、猫と自然でできている。
天気も建物も乗り物も、「動く」か「動かないか」で一緒に考えているのが面白い。
イラストも綺麗で、手元に置いておきたい本です。 -
森博嗣の二作目となる絵本。主人公は猫。何度生まれ変わっても、建築家という職業を受け持ち、”美”と”形”について考察していく。淡々と話が進行していくが、哲学的な文章は心が洗われる。大人の絵本だろう。
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美を求める探求者
として、描かれる猫。佐久間さんの絵が、書かれている通り、どこか静謐で、それでいてどこかあたたかで、見ていてホッと心が落ち着く。
「形」を変えずに「動く」ものと
「動く」ことなく、「形」を変えるもの
静と動の対比が印象的。 -
猫に教わる『美』の哲学書。読み返す度に新しい発見を与えてくれます。静かな絵本です。
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なんだろう、絵本かな。 全体がセピアで描かれた世界。実に猫視点。思考は森博嗣視点。抽象的な思考世界が広がる。電車。ビルの隙間。部屋の中。実に猫視点。そこで問うのは「形」と「美」。猫は何を造るべきなのか。 使われた「つくる」は「造る」。「作る」ではなく、「創る」でもない。なるほど、彼が「造る」と、どれも大きいせいか。「造ることは、立ち向かうことではなく、造ることは、なにかを許すことなのだ」
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ミステリー小説ではないので種明かしのような言葉はないのだけど、輪廻を繰り返した猫が追求し続けてきた「美」の正体とは何か。そんな問いかけがなされています。 この本を読みながら考えることは、とてもよい思考のトレーニングになります。 自身の中にもある多様性に気づいた猫が、最後のほうでつぶやくフレーズが、ジーンと沁みます。 この猫はもう一度生まれ変わるかな。わたしには、そこがミステリィでした。