猫の建築家 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784334741655

作品紹介・あらすじ

猫は建築家だった。何度か生まれ変わったけれど、そのたびに建築家になる-。何を造ろうか、どう造ろうか。思いをめぐらしながら、猫は街へ出る。そして、造られるものの「形」や「機能」に思いふけるうちに、ふと気づく。鍵を握るのは、「美」だと-。人気ミステリィ作家・森博嗣と新進画家・佐久間真人が共同で紡ぎ上げた静謐な物語。

感想・レビュー・書評

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  • 猫しか生き物がいない世界で、建築家である猫が美を探す物語。

    猫が出てくる物語として読んでみました。
    この文章は読むのが辛かった…!

    でもこの作品を読んで、森博嗣さんの作品が私にとってなぜとっつき難いのかわかりました。
    私の頭で使っている言葉が、森さんの言葉に近かったのです。そのため、文章を読んでいるときに、自分の頭の中にあるイメージが浮き上がってきて、昔のテレビのアンテナがずれた時になるような、別々のイメージが重なって見えるのです。。(そういう手法なのかもしれませんが。。)

    状況の説明が最初にない作品は特に苦手なのかもしれません。今作だと、なぜ人がいないのか?なぜネコなのか?なぜネコは建築家なのか?なぜ美を知っていて、それを探究しているのか?そのあたりがわからず、状況から話を追えず、脳を全力でシェイクされているような感覚になりました。ので、最後まで読めませんでした。

    イラストは静かな感じがして綺麗でした。

  • イラストと文章の相性について、雰囲気は適切だが、内容はズレている、そんな感想を抱いた。森博嗣側は、限られた文書量の中で、テーマを絞り、言葉を選び、無駄を削ぎ、出来上がった物語はさすがの出来(仕事として)。建築物に限らないと思うが、機能、形、そして美の三つを焦点に、時に具体的に、時に抽象的に語られている。しかし、その内容は同氏が常々主張していることで、真新しさは無い。そして挿絵については、こぎれいにまとまっているけど、それ以上でもなく、同等でもない。綺麗なイラストに留まっている点が残念。もっとイラスト少なくて良かったんじゃないかな。本来は読者が文章から想起すべき部分を、悪い方向に固定化してしまった気がする。残念。挿絵がないほうが良かった。

  • 猫の動きがまるで建築家のように見える話。
    ただ短いのもあってそれだけという印象。

  • 静かな世界観。「美」とは何か。
    世界のあらゆるものを見て、なぜこうなっているのかを考えたくなる。さて、なぜこの本は「猫」であるのか。

  • 大人のための絵本。哲学。
    世界は、猫と自然でできている。
    天気も建物も乗り物も、「動く」か「動かないか」で一緒に考えているのが面白い。
    イラストも綺麗で、手元に置いておきたい本です。

  • 森博嗣の二作目となる絵本。主人公は猫。何度生まれ変わっても、建築家という職業を受け持ち、”美”と”形”について考察していく。淡々と話が進行していくが、哲学的な文章は心が洗われる。大人の絵本だろう。

  • 美を求める探求者

    として、描かれる猫。佐久間さんの絵が、書かれている通り、どこか静謐で、それでいてどこかあたたかで、見ていてホッと心が落ち着く。

    「形」を変えずに「動く」ものと
    「動く」ことなく、「形」を変えるもの

    静と動の対比が印象的。

  • 猫に教わる『美』の哲学書。読み返す度に新しい発見を与えてくれます。静かな絵本です。

  • なんだろう、絵本かな。 全体がセピアで描かれた世界。実に猫視点。思考は森博嗣視点。抽象的な思考世界が広がる。電車。ビルの隙間。部屋の中。実に猫視点。そこで問うのは「形」と「美」。猫は何を造るべきなのか。 使われた「つくる」は「造る」。「作る」ではなく、「創る」でもない。なるほど、彼が「造る」と、どれも大きいせいか。「造ることは、立ち向かうことではなく、造ることは、なにかを許すことなのだ」

  • ミステリー小説ではないので種明かしのような言葉はないのだけど、輪廻を繰り返した猫が追求し続けてきた「美」の正体とは何か。そんな問いかけがなされています。 この本を読みながら考えることは、とてもよい思考のトレーニングになります。 自身の中にもある多様性に気づいた猫が、最後のほうでつぶやくフレーズが、ジーンと沁みます。 この猫はもう一度生まれ変わるかな。わたしには、そこがミステリィでした。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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