トリップ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 2538
感想 : 233
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334741921

感想・レビュー・書評

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  • 全体的に閉鎖的で息苦しさを感じた短編連作集でした。決して気持ちの良い感覚になれた本ではなく。なのに休日に家の雑事や所用で家を空ける以外は読む手が止まりませんでした。生きてく上での人との関わりの中で居心地の悪さが細かく書かれていた様に思います。人との関係といっても近しい相手とは限らず壁一つ隔てた相手にフォーカスしたり過去の人間や幻影のようなものに想いを馳せたり、、、。まともな人間なら若干現実離れしたようなそんな不思議な感覚でした。いじめられっ子の小学生の話が1番好きです。抱擁が切ないです。そろそも罪のない子が大人の事情でいじめられちゃう運命を呪いたいし、母も婚約者にあんな目に遭ってしまいいつか子のいじめ被害を知る時には自分を責めるだろうし、(あの子のことだから悲しませたくなくて隠し通すのかな)それでもどうか親子で助け合って幸せになってほしいです。

  • どこかの町の、どこにでも居る人。私とは、ちょっと違う人だけど、心に抱えている虚しさや、苛立ちや、心細さは私にもある。もし、パラレルワールドが本当にあるのだとしたら、この人は、どこかで枝分かれした私なんだろうか。。。
    そんな事を感じる短編集。私とは違う人として突き放して読むことも出来るけど、角田光代の優しさが滲み出ていて、陽だまりの様な暖かさを感じることができる。

  • 東京近郊の街に暮らす凡庸な人々が、日常に心の中でどこか違和感やズレを持ちながら毎日を淡々と生きるのを描いた連作小説。

  • 少しづつ繋がっている人々の日常的な短編集。
    その繋がり方がなんともいい具合になってる。
    普通にありそうで なさそうで テンポ良く描かれている。面白いリレー小説でした。

  • トリップはそんな前からの作品だったのね。名前だけインプットしてたけど、アウトプットしてみたよ。それぞれ登場する人物に思い入れがないけど、辛い経験してる小学生にただただLSDの主婦に冴えない肉屋に腹の中真っ黒な喫茶店中年女に、あーそうか同じ時期同じ時間に同時に起こっているのが重要なのかなぁ。ホント大量に出ていたけど、消化する前に次の小説に移るのかな自分。交差する訳じゃないし、続く訳じゃないし でも1人のお題が丁度いい長さだった。

  • 角田光代さんの短編集です。各話に出てくる主人公は皆、何かが欠如しているように感じました。足りないものを埋めるように必死で過ごしているけれど、埋まらない、満ち足りない。そんな感じ。でも各主人公にどこか共感を覚えるのは全て悲観的に捉えて投げ出すことはしなくて、泥臭くも這いつくばりそして他者への優しさが垣間見えるからです。

    読み終えた今、どんな感情でいるのか正直説明がつきません。

  • 短編集なんだけど、出てくる人が、さりげなく絡みあってるのが良い。

  • どの登場人物も、どこか思い通りにいかない人生を生きている。そして、何か不満や不安を抱えている。もしかしたら、この人物は、私だったかもしれない、と感じてしまう何とも言えない親近感がある。時々、手にとって読みたい連作集だ。

  • 読みやすい小説
    曖昧だけど声優〜フラワー〜喫茶などなど毎回「私が本当にやりたかったのは」と言いながら学び続ける女の子(私じゃん)を肯定とも否定ともつかない文章で書いていて角田光代やさしー…

  • 連作短編、意外な形で微妙に繋がっていくのが面白かった。いつも思うが、普通の人の暗い部分を描くのがすごく上手い。とてもリアルで、そういうことあるな、という気持ちになる。でもやはり普通の人を描いてるから、特段すごいことが起こるのでもない。みんなそんなもんだよなあと思う。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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