ムーンライト・ラブコール (光文社文庫)

著者 : 梶尾真治
  • 光文社 (2007年4月12日発売)
3.32
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  • レビュー :12
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742300

ムーンライト・ラブコール (光文社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「時の“風”に吹かれて」とは異なり
    "甘酸っぱさ" "暖かさ"一色と言っていい短編集

    『ヴェールマンの末裔たち』のバカバカしくも
    性愛ではない愛に満ちたオモシロ物語

    ベタだとは思うけど青春純愛一直線
    表題作『ムーンライト・ラブコール』と
    『ファース・オブ・フローズン・ピクルス』
    ロマンチシズムとダンディズムあふれる
    『夢の閃光・刹那の夏』
    それに万物愛と人類の慢心への贖罪をこめた
    『メモリアル・スター』
    『ローラ・スコイネルの怪物』

    夫婦"愛"を異なる形で描く『アニヴァーサリー』
    『一九六七空間』

    他人を、現在のパートナーを信じられなくなったときに
    アノ時があって現在があると建設的に感じたくなったり
    私の今をどんな形であっても肯定したいときに
    読むとよいのではないか。

  • 短篇集。
    どの話も、ちょっと笑ったりハラハラしたりして、最後にきゅっと切なくなる。
    いい歳をした大人たちの子供みたいな情熱や、その情熱の向かう先や、その源泉や。びっくりするような突拍子もない設定もあるのだけど、そこに生きてる人達の気持ちが身近なものだけに、するっと読めてしまう。

    あと、読んでて非常に映像が浮かびやすい文章だなと。
    個人的には、細かな言い回しよりも自分の頭に浮かんだ色鮮やかな映像と、読んだ直後の漠然とした感想が残ってます。

  • ファンタジックな近未来SF短編集。どの話も読み終えた後、顔がほころんで幸せな気持ちになりました。人が死んだり過激な性描写の小説の間に1つの清涼剤になるでしょう。久しぶりに外国のSF物が読みたくなりました。

  •  『黄泉がえり』の映画化により一躍売れっ子になったSF作家・梶尾真治氏の初期作品集。『躁宇宙・箱宇宙』や『宇宙船〈仰天号〉の冒険』など、現在では手に入りにくくなった短編集から作品が集められているので、最近梶尾作品を読み始めた読者にとっては、格好の梶尾ワールド手引書になるのではないだろうか。
     収録されている8つの作品は、'80年~'92年に執筆されたもので、10年以上を経過しさすがに小説内の描写が古びているのは仕方がない。携帯電話やメールなんて登場しないし、<合同ハイキング(合ハイ)>なんて言葉が使われているのも時代を感じる。
     それでも作品の中にはその時代から見た未来を描いたものもあり、想像力の翼を無限に拡げてくれる。
     もちろん、梶尾作品の一番の特徴であるリリカルな切なさは今でもしっかり伝わってくる。執筆時期が古くても、描かれた感動は古びないものだ。
     収録作品は下記の通り。

    ◇友達以上恋人未満の関係から一歩踏み出せないでいるケイイチとヨーコ。やがて二人の関係に引き返せない危機が迫った時、ケイイチが月面でとった行動とは。「ムーンライト・ラブコール」。
    ◇そのクリスマス・イヴは老夫婦にとって35回目の結婚記念日だった―。老人がクリスマスに目撃した奇蹟。「アニヴァーサリィ」。
    ◇26年目のクラス会に集まった3人のうらぶれた男たちは、かつての憧れのマドンナのためにある計画を思いつく。胸を熱くさせる男たちの物語と、コミカルなラストが楽しい「ヴェールマンの末裔たち」。
    ◇合成ワイン会社で定年を間近に控えた男は死にかけた星へ向かう。ある約束を果たすために…。東欧のある名作SF(の映画版)を彷彿とさせるラストが印象的。「夢の閃光・刹那の夏」。
    ◇辺境の惑星で外の世界を知らずに育った若者の甘酸っぱい初恋。「ファース・オブ・フローズン・ピクルス」。
     ※ちなみに余談だが、この作品に登場する惑星フローズン・ピクルスをはじめとして、「ベグ・ハー・パードン」や「ライジング・オニオン」など、梶尾氏の星の名前の付け方は独特である。この本ではないけど、「未踏惑星キー・ラーゴ」ってのもあったなあ。
    ◇友人を訪ねて異形の星を訪れた男は、その星の驚くべき秘密を目にする。これまた東欧のある名作SF(小説&映画)を思い出させる世界観。「メモリアル・スター」。
    ◇「B級怪物映画ファンたちへ」のサブタイトルが付き、まさに怪物映画ファンが狂喜しそうな奇妙な怪獣が登場。それでもラストはカジシンらしい。「ローラ・スコイネルの怪物」。
    ◇最近肥っちゃって若い頃のズボンが入らない、もしくは妻を見る度になんでこいつと結婚しちゃったんだろうと後悔するお父さんに。ジャック・フィニィに(おそらく)オマージュをささげた「一九六七空間」。

     SF作品集なのだが、どれも過激なアクションシーンや派手なスペクタクルシンーンが満載されている訳でなく、しんみりと心を打つような人間の温かさが描かれている。これは梶尾真治の一貫した作品のスタイルである。様々な人たちを優しく見守る視線は、こんな世の中では逆に新鮮な感動をもたらしてくれるはず。
     そんな作風なので、梶尾作品にハマった人は熱烈な梶尾ファンになる事で知られている。まあ僕もそのクチなんだけど、本書の解説での尾之上浩司氏のハジケっぷりも凄まじい。『黄泉がえり』のヒットで梶尾氏が注目された事を喜び、さらに梶尾作品の魅力を伝えるために個人的な「オススメ・カジシン作品ベスト10」を披露し始める暴走ぶり。いいんだけど、この本に収録されている作品にも少しは触れたほうがいいのでは…。
     まあ、解説者が我を忘れて絶賛する位、梶尾作品は読者を虜にする魅力に満ち溢れているのだ。ちなみに尾之上氏が解説の中で取り上げている梶尾氏のデビュー作「美亜へ贈る真珠」は日本SF史上に名を残す大傑作である。この本が気に入った方なら間違いなく気に入るだろう一編。どこかの局が深夜ドラマあたりで映像化してくれないかな。機会があれば是非ご一読を。

  • 実はSF苦手なんですが、ほっこりしていて、時に涙させられちゃったりしてなんか悔しい、そんな一冊。

    表題作の壮大な愛の告白にぐっと掴まれ、途中までSFと気づかずにあったかい気持ちで読みました。科学の力も不思議もみんな、誰かのために役立っているのがわかり、読んでいて嬉しく、優しくなります。


  • この人の小説はやさしい。
    安心して読める本。

  • 2008.09.03. やっぱりカジシンさんは初期の作品の方が抜群にいい。いい。私は好きだ。表題作は、久々にすごく胸キュン。純すぎて、こっちが照れてしまいそう。どの作品もあたたかみに溢れてて、やっぱりいい。恋じゃないのももちろんいい。

  • 泣ける…。じわー。

  • SF短編集。良くも悪くも梶尾さんだなぁ、と思う作品。
    4/27

  • SF、ファンタジーに分類されるであろう小品集。読みながらモーツァルトの俗に言うところの「きらきら星変奏曲」を思い出した。単純明快な主題による一章から、装飾されて煌びやかに、転調して僅かな影を帯びて、と様々なタッチで描かれる短編はとても色鮮やかでした。マイナーな一編も暗くなりすぎずテンポよく進むところが、モーツァルトっぽいな、と。ところでこの作者、「黄泉がえり」の人だったとあとがきを読むまで気がつきませんでしたが、へえ、という感じ。

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