思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 4821
レビュー : 532
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742621

作品紹介・あらすじ

犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにする-不穏な現実の底に湧きでるすこやかさの泉。

感想・レビュー・書評

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  • 雨が続く日とか、寒い冬の夜に読むのにぴったりな小説でした。
    とても個性溢れる3姉妹に最初は少し圧倒させられたけど、どの姉妹にも少しずつ、共感できる部分、自分と重ねる部分があって読みながら興味深かったです。

    そもそも本書のタイトルは、犬山家の「人はみないずれ死ぬのだから、そしてそれがいつなのかはわからないのだから、思いわずらうことなく愉しく(たのしく)生きよ」という家訓からきています。
    「楽しく」ではなく、「愉しく」。
    同じ読みだけれど少し意味が違って、前者は、心がうきうきする。後者は、心のしこりが取れて、わだかまりがない。という意味。
    今の心境がちょうどこの本を読むのにぴったりで、読んでいてすごくしっくり。

    江國さんはいつも、誰もが持っている何かしら欠けた部分、マイノリティな一面を色濃く描いてますが、不思議な程に共感できるんですよね。
    DV夫と幸せに暮らす長女も、情緒豊かながら理性と共に生きる次女も、好奇心の赴くままに生きる三女も、みんな理解できる部分があって。
    彼女たちを通して自分の中にあるものを発見できるのもおもしろいです。

    家族の結びつきが強くて、家族の危機には駆けつける彼女たち。
    みんなたぶん、きっと不器用で、恋愛に翻弄されて、でも地に足をつけて生きようとしていて。たぶんそんなところに強く共感するんでしょうね。

    私の本質は長女に近いかもしれないけど、次女のような理性を持ちたいし、三女のようにまっすぐに幸せを追いたい。
    犬山家の家訓もいいですよね。恋愛に疲れた人にもよいかもしれない。

  • 三姉妹三様の生き方だが、共通するのは、自身の幸福に貪欲なこと、恋愛に対して恐ろしくまっすぐにまじめに向き合っていること。そういう意味で、タフであること。

    なんだかものすごくわかるなあ、という箇所があるある。

    家族とか恋愛とかって、百人いれば百通りの関係ややり方があるもので、だからこそどれ一つとして異常などではありえないのかもしれない。どれほどの幅に対応できるかの度合いが人によって異なるとしても。

  • ちょっと苦しくなったよ。

    でも3姉妹それぞれがいいのです。
    下地は同じ3人が別々のところで自分なりの「家」を考える。表現する。
    みんなちょっとずつ不器用で、自分をがらりと変えたり、変えられなかったり、少しずつ変えてみようとしたり。

    自分を理解することは、他人を理解するよりも難しい。

  • 江國香織作品の姉妹は仲がいい。
    「麻ちゃん」「育ちゃん」と呼びあう感覚は同じ姉妹でもうちにはないものだけど、離婚した両親やそれぞれ家を出て暮らしている姉妹でも、同じ記憶を共有していることでいつまでたっても「家族」だというのはなんとなくわかる。
    
    江國香織作品の恋人や夫婦たちはするすると不倫したり浮気してしまい、それを非難する方が野暮に感じてしまうのだけど、今回はそんな奔放な生き方が「のびやかすぎる」と少し自嘲ぎみに語られている。
    
    そして江國香織作品には旦那への依存度が強い女性がしばしば登場するが今回の麻子はDVがからむので作品全体が少し重い。
    
    「邦一のために一つずつ品物を選んでいると、自分が守られているように思える。
    麻子は、こうして買物をしている自分が幸福な女に見えることを自覚してしていた。その自覚が麻子を満足させ、幸福にさせる。」
    
    「そばにいるときよりも離れているときに、結婚はその効果を発揮するのだ。」
    
    「記憶は冷凍された食品のようなものだ、と麻子は思う。古いことは古いが、時が経っても現にここにある。腐ることも、成長することもない。」
    
    「家族に愛されると、人は強くなるのね」
    
    「家族は個人的聖域であり、呪縛だ、と、考える。」
    

  • 人間みな狂ってることをおしゃれに書いている。仲良くて魅力的な姉妹だけど、怖いよ。

  • 今度NHKでドラマ化されるとのことで読みました。
    私には姉妹がいないので(弟ひとり)姉妹がいると大人になってからも楽しそうだなぁ、なんて思いながら読み進めていきました。三者三様の姉妹で個性が強く、でも憎めないですね。
    ただ、お姉さんがDV夫から逃げる決心をしたきっかけみたいなものが私にはわからなくて、唐突だったので消化不良なかんじです。
    「感動のラスト」と裏表紙の解説には書いてあったけど、感動はしませんでした。

  • 一見、ぶっ飛んでいるようで、意外と自分にもあるような一面を持っていたり、近くにいそうな感じのする三姉妹でした。

    女は強い!この本を読んでいて、終始感じたことです。

    同じ女性として、出てくる全ての女性に共感したし、とても気持ちの良い終わり方でした。

    女性に生まれて良かったなぁ。としみじみ思ってみたり。

    境遇が違っても、しっかり支え合っている女姉妹の雰囲気も自分と重ねたりしながら読みました。

  • 再読も面白かったです。
    江國さんの姉妹もの、「流しのしたの骨」の3姉妹とごっちゃにしてしまっていたのですが、こちらも好きでした。
    麻子治子育子…どの人も遠いところにいるようで、案外近いのかもと思ってしまいます。
    こんなに強く伸びやかには生きられていないので、憧れてしまいます。
    「恋愛が過大評価されている」という育子の恋人の台詞に、そうそう!と思いました。あってもいいけど、無くてもいい気がします。(と、同時期に観ていた「獣になれない私たち」でも思いました)
    この作品の女性たちはとても強くて惹かれるのですが、比べると側にいる男性たちがなんとも弱くて…彼らじゃそりゃだめだろうな、と思いました。岸くんも多分無理です。
    「思いわずらうことなく愉しく生きよ」はわたしの人生の目標にもしたいです。難しい生き方ですが。

    これ確かドラマもあって、麻子が木村多江さんで、邦一がユースケ・サンタマリアさんだったような。でもどこかでも見たなこの夫婦。。

  • 私自身3姉妹の中で育ち、家庭環境も似ていることもあり、のめり込んで読めた作品。
    理解しがたい部分もあるが、それぞれが自分の生き方を探している感じが伝わってきて良かった。
    思いわずらうことなく愉しく生きたい

  • 三姉妹の話。仲の良い姉妹でみんないい子でお互いのことが好きなのに、なんとなく皆、三姉妹で自分が一番まともでしっかりしてる、と感じているのが垣間見れるところが好き。姉妹がいたらこんな感じなのかな、といない私は考えた。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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