思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 537
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742621

感想・レビュー・書評

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  • ののしりゲームは、三姉妹の気に入りのゲームだった。周囲の誰彼のふるまいについて、あるいは新聞記事のあれこれについて、三人で口をきわめてののしるのだ。それはゲームだった。言葉はどんどんエスカレートし、口汚い言葉が連発されたりもして、しまいに誰かが笑いだしてしまうまで続く。あたしたちの心をつよくした遊び。

  • 思いわずらうことなく、愉しく生きよ。玄関に堂々とかけられた、父親の筆による家訓。

    全然違う、でもとても仲の良い三姉妹の恋愛模様、生き様がおもしろい。同じ家訓を元に生きていても、愉しく、の定義は三者三様だ。自分なりの「愉しく」の信念を持っているのだけど、皆不器用で愛おしい。

    個人的には、のびやかな三女の育子がかわいくて大好きだ。人生を考え抜いた日記を何ページも書き連ねる風変わりな妹に、バリキャリの次女は「人生は考え抜くものじゃなくて、生きるものなのよ」と言い放ち、ことば通り刹那的に生きている。でも、お互い決して相手を否定せず、とても仲良し。
    家族に愛されると、人は強くなる。ほんとにそうだなと思った。

    —————————
    育子の考えでは、人はその生涯をかけてある種の人生をつくり上げることのみを目的として生きており、できることなら———すくなくとも多くの人にとって———その作業は、途中から誰かと共同で行うのが望ましい。そしてまたできることならば、つくり上げたその「ある種の人生」の結果として子を成し———ということはその「誰か」は異性であることが望ましいのだが———、生物として自分の生きた一つの時代を、次の時代の生物へとつなげるべきなのだ。そのためには、恋愛、と書いて、育子はその言葉を二本線で消し、錯覚、と書き換える。そのためには、錯覚にまどわされず、自分にとっての正しい「誰か」をみつけだす必要がある。

  • DVもひどいと思ったけど、
    父親がする荷物検査って、気持ち悪い。
    オトコたちの「これが正しい」という価値観に左右されず、
    オンナが自分で納得する道を突き進める、
    そんな世の中になるといいなぁ、と心から思う。
    思いわずらうことなく愉しく生きよ、世の中の女性たち。

  • 私はどのタイプだろうか…
    どの女性にも共感できる部分あり。

  • 読んでいて、「流しのしたの骨」もそうだけど、江國さんの描く姉妹は好きだなって思った。三人とも問題を抱えていて、それぞれ少し変わっているけど、みんなまじめで、のびやかで、すこやか。父親が姉妹の荷物検査をするのは嫌だけど、家庭によって家族の当たり前とかルールが違うからよその暮らしが垣間見える家族小説は面白い。犬山家の家訓も三姉妹にぴったりでいい。「思いわずらうことなく愉しく生きよ」

  • タイトルがいいんだよな!内容はそこまで好きでもない

  • 他人に媚びることなく、のびやかに生きる三姉妹のお話。
    はたから見てふつうじゃないのに、何だかスカッとする。
    その潔さに思わずくすっと笑ってしまう。なんて気持ちがいいんだろうと。

    まさに題名のとおり、思いわづらうことなく、だ。
    私もやはり、小説に助けられて生きている。

  • 育子には、それが感情からでた行為ではなく意志による行為だとわかっていた。だからこそ、安心して受け入れることができる。

  • 江國香織さんの本は正直得意ではなかったけれど、タイトルに惹かれたのと、三姉妹の話ということで思わず手にとってしまった。

    三姉妹のうち、私はどの人に似てるんだろう?と考えずにはいられない。特に女性なら考えるのでは?

    理想を求めて、真面目すぎた余り自分を忘れてしまった長女。
    愛し、愛されつつ、自分の中の「正」と周りのズレに生きづらさを感じる次女。
    本当は一番のロマンチストなのにも関わらず、現実の悟りが早すぎてしまった三女。

    我が家の三姉妹とは全然違うのに、三姉妹という独特な世界の共通項はしっかりと押さえている気がする。
    どのキャラクターにも自分は全然似ていないけれど、一番共感できたのもやっぱり次女。

    姉妹、そして女性特有の繋がり(sisterhoodという言葉が一番しっくりくる)を描きつつ、それだけでは埋めることができない男性との関係を女性の弱さと一緒に描いていた作品だと思う。

    女性は気持ち良いほど潔いのに、なんとも弱っちくて面倒だ。

  • 三姉妹の三様の生き方と男女のかかわり方と其のかたちの移ろいを綴った作品。三姉妹の強い結束が心強くほほえましい。長女麻子の暴力夫との生活、治子の奔放な恋愛、育子の風変わりな思考と恣意的な行動の話しにひきこまれ一気に読み進められた。
    読み終わった後に女とはしたたかで不可解な生き物であると思わずにはいられなくなる。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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