思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
3.60
  • (288)
  • (554)
  • (722)
  • (89)
  • (19)
本棚登録 : 4866
レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742621

作品紹介・あらすじ

犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにする-不穏な現実の底に湧きでるすこやかさの泉。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • この間江國香織さんの作品をたくさん買った。その中の一冊。麻子、治子、育子という三姉妹について描かれています。

    三姉妹はそれぞれ悩みを抱えているけど、一番共感できたのは育子。男性から娼婦のように扱われていて、「順序」をすっとばしてしまう。でも、自分を本当に大切に扱ってくれる男性に出会って変わっていく。なんだか自分の経験と少し似ていて、頑張れって思いました。



    小説のなかて四季が巡っていくのが美しくて、真似したいことや知りたい風景がたくさん増えました。


    その1:沈丁花の花の香りを確かめる
    …初めて聞く花だったので春になったら探してみようとおもいます。

    その2:『夜と霧』を読む
    …育子が「死」について日記に書く時にでてくる小説
    日記に引用文を載せたようなのでどの部分がそれなのか想像して読みたい。

    その3:犬山家特製トーストを食べる
    …治子が朝食に自分で作っている。麻子、治子、育子にはなじみのトーストなのでしょう。
    トーストにバターでいためた山盛りのほうれん草とおとし卵をのせる。基本は塩コショウ。治子はウスターソースをたらす。

    もうすっかり江國香織さんに惚れてしまったので、いろいろ深く知りたい、体験したいと思ってしまいます(^^)

  • 女3姉妹の物語。長女の麻子はDVをされているも複雑な夫婦関係。次女の治子は外資系企業のキャリア。仕事にも男にも貪欲で積極的。三女の育子は肉体関係が他者との接点。周りからすれば異常な三姉妹の行動、考え方だが、ともに育つとそれも異常でなくなる。
    「家庭は個人的聖域であり、呪縛」
    だが、そんなこと気にせずにタイトル通り
    思いわずらうことなく愉しく生きよ
    それにつきるのではないか

  • DV夫に依存する長女
    キャリアウーマンで結婚否定派次女
    自由が上に結婚というものに憧れる三女
    三姉妹の色恋関係を中心とした一家のお話

    三姉妹の誰にも共感はできないけれど、こんな考え方の人もきっといるんだろうなぁと終始客観的に読む。

    思いわずらうことなく愉しく生きよ

    このタイトルが全てを物語る。

  • 三姉妹の性格とかキャラクターがはっきりしていて、人間観察をしているような気持ちになりました。
    麻子のような依存し合うような関係もわかるし、最近別れを経験した私は、治子のように強くなりたいと思いました。
    育ちゃんにはあまり共感はしなかったけど、この子が末っ子でいることで家族の結束が保たれているんだなぁと。
    もっと江國香織さんの小説を読んでみたいと思いました。

  • ちょっと苦しくなったよ。

    でも3姉妹それぞれがいいのです。
    下地は同じ3人が別々のところで自分なりの「家」を考える。表現する。
    みんなちょっとずつ不器用で、自分をがらりと変えたり、変えられなかったり、少しずつ変えてみようとしたり。

    自分を理解することは、他人を理解するよりも難しい。

  • DV夫と暮らす長女、キャリアウーマンの次女、個性的な三女、仲の良い姉妹の話。

    のびやかすぎる彼女たちは、理解しがたい部分もあるが、それぞれどこか共感できる部分もある。

    私の好きな終わり方で、読後感が良かった。

  • DVを受けても結婚生活を続ける麻子には共感できなかった。
    真ん中の治子は、いちばんバランスが取れているし、熊木との関係性は自分達にも似ていて、心地よさがよくわかった。
    3女の育子は自由奔放で無邪気にふるまう末っ子というかんじ。

    自分にとって大切なものを信じ、愛することしか、生きているうちにはできないが、それさえおのずから変化するように見えるのだから、いつまでたっても安心することができない。ひたすらに信じ、愛していれば大丈夫というわけでもなさそうなのである。

    愛には愛でないものも含まれるから尊いのだ

    この解説に、共感。

  • 江國香織作品の姉妹は仲がいい。
    「麻ちゃん」「育ちゃん」と呼びあう感覚は同じ姉妹でもうちにはないものだけど、離婚した両親やそれぞれ家を出て暮らしている姉妹でも、同じ記憶を共有していることでいつまでたっても「家族」だというのはなんとなくわかる。
    
    江國香織作品の恋人や夫婦たちはするすると不倫したり浮気してしまい、それを非難する方が野暮に感じてしまうのだけど、今回はそんな奔放な生き方が「のびやかすぎる」と少し自嘲ぎみに語られている。
    
    そして江國香織作品には旦那への依存度が強い女性がしばしば登場するが今回の麻子はDVがからむので作品全体が少し重い。
    
    「邦一のために一つずつ品物を選んでいると、自分が守られているように思える。
    麻子は、こうして買物をしている自分が幸福な女に見えることを自覚してしていた。その自覚が麻子を満足させ、幸福にさせる。」
    
    「そばにいるときよりも離れているときに、結婚はその効果を発揮するのだ。」
    
    「記憶は冷凍された食品のようなものだ、と麻子は思う。古いことは古いが、時が経っても現にここにある。腐ることも、成長することもない。」
    
    「家族に愛されると、人は強くなるのね」
    
    「家族は個人的聖域であり、呪縛だ、と、考える。」
    

  • 一見、ぶっ飛んでいるようで、意外と自分にもあるような一面を持っていたり、近くにいそうな感じのする三姉妹でした。

    女は強い!この本を読んでいて、終始感じたことです。

    同じ女性として、出てくる全ての女性に共感したし、とても気持ちの良い終わり方でした。

    女性に生まれて良かったなぁ。としみじみ思ってみたり。

    境遇が違っても、しっかり支え合っている女姉妹の雰囲気も自分と重ねたりしながら読みました。

  • 再読も面白かったです。
    江國さんの姉妹もの、「流しのしたの骨」の3姉妹とごっちゃにしてしまっていたのですが、こちらも好きでした。
    麻子治子育子…どの人も遠いところにいるようで、案外近いのかもと思ってしまいます。
    こんなに強く伸びやかには生きられていないので、憧れてしまいます。
    「恋愛が過大評価されている」という育子の恋人の台詞に、そうそう!と思いました。あってもいいけど、無くてもいい気がします。(と、同時期に観ていた「獣になれない私たち」でも思いました)
    この作品の女性たちはとても強くて惹かれるのですが、比べると側にいる男性たちがなんとも弱くて…彼らじゃそりゃだめだろうな、と思いました。岸くんも多分無理です。
    「思いわずらうことなく愉しく生きよ」はわたしの人生の目標にもしたいです。難しい生き方ですが。

    これ確かドラマもあって、麻子が木村多江さんで、邦一がユースケ・サンタマリアさんだったような。でもどこかでも見たなこの夫婦。。

全536件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)のその他の作品

江國香織の作品

思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする