思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742621

感想・レビュー・書評

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  • 雨が続く日とか、寒い冬の夜に読むのにぴったりな小説でした。
    とても個性溢れる3姉妹に最初は少し圧倒させられたけど、どの姉妹にも少しずつ、共感できる部分、自分と重ねる部分があって読みながら興味深かったです。

    そもそも本書のタイトルは、犬山家の「人はみないずれ死ぬのだから、そしてそれがいつなのかはわからないのだから、思いわずらうことなく愉しく(たのしく)生きよ」という家訓からきています。
    「楽しく」ではなく、「愉しく」。
    同じ読みだけれど少し意味が違って、前者は、心がうきうきする。後者は、心のしこりが取れて、わだかまりがない。という意味。
    今の心境がちょうどこの本を読むのにぴったりで、読んでいてすごくしっくり。

    江國さんはいつも、誰もが持っている何かしら欠けた部分、マイノリティな一面を色濃く描いてますが、不思議な程に共感できるんですよね。
    DV夫と幸せに暮らす長女も、情緒豊かながら理性と共に生きる次女も、好奇心の赴くままに生きる三女も、みんな理解できる部分があって。
    彼女たちを通して自分の中にあるものを発見できるのもおもしろいです。

    家族の結びつきが強くて、家族の危機には駆けつける彼女たち。
    みんなたぶん、きっと不器用で、恋愛に翻弄されて、でも地に足をつけて生きようとしていて。たぶんそんなところに強く共感するんでしょうね。

    私の本質は長女に近いかもしれないけど、次女のような理性を持ちたいし、三女のようにまっすぐに幸せを追いたい。
    犬山家の家訓もいいですよね。恋愛に疲れた人にもよいかもしれない。

  • 三姉妹の性格とかキャラクターがはっきりしていて、人間観察をしているような気持ちになりました。
    麻子のような依存し合うような関係もわかるし、最近別れを経験した私は、治子のように強くなりたいと思いました。
    育ちゃんにはあまり共感はしなかったけど、この子が末っ子でいることで家族の結束が保たれているんだなぁと。
    もっと江國香織さんの小説を読んでみたいと思いました。

  • 一見、ぶっ飛んでいるようで、意外と自分にもあるような一面を持っていたり、近くにいそうな感じのする三姉妹でした。

    女は強い!この本を読んでいて、終始感じたことです。

    同じ女性として、出てくる全ての女性に共感したし、とても気持ちの良い終わり方でした。

    女性に生まれて良かったなぁ。としみじみ思ってみたり。

    境遇が違っても、しっかり支え合っている女姉妹の雰囲気も自分と重ねたりしながら読みました。

  • 再読も面白かったです。
    江國さんの姉妹もの、「流しのしたの骨」の3姉妹とごっちゃにしてしまっていたのですが、こちらも好きでした。
    麻子治子育子…どの人も遠いところにいるようで、案外近いのかもと思ってしまいます。
    こんなに強く伸びやかには生きられていないので、憧れてしまいます。
    「恋愛が過大評価されている」という育子の恋人の台詞に、そうそう!と思いました。あってもいいけど、無くてもいい気がします。(と、同時期に観ていた「獣になれない私たち」でも思いました)
    この作品の女性たちはとても強くて惹かれるのですが、比べると側にいる男性たちがなんとも弱くて…彼らじゃそりゃだめだろうな、と思いました。岸くんも多分無理です。
    「思いわずらうことなく愉しく生きよ」はわたしの人生の目標にもしたいです。難しい生き方ですが。

    これ確かドラマもあって、麻子が木村多江さんで、邦一がユースケ・サンタマリアさんだったような。でもどこかでも見たなこの夫婦。。

  • 三姉妹の話。仲の良い姉妹でみんないい子でお互いのことが好きなのに、なんとなく皆、三姉妹で自分が一番まともでしっかりしてる、と感じているのが垣間見れるところが好き。姉妹がいたらこんな感じなのかな、といない私は考えた。

  • なかなか魅力的な三姉妹とその両親ではあるが、誰も幸せでは無い。一番破滅的な感じで始まった育子だけに希望が残るものの、若い彼氏と型にはまった生活に入るのが幸せだろうか?とにかく魅力的でも淋しい人たち。それが思いわずらうことなく愉しく生きる事?

  • この人の作品、読み始める前は何となく億劫なんだけど、一度ページをめくるともうやめられなくなる。不思議。
    人は誰かに愛された経験があると、何度でもやり直せるものなんだあ。

  • こちらも追加漏れでした。
    うん。この三姉妹にはそれぞれ共感できるところがあり、反感もあり。
    「思いわずらうことなく愉しく生きる」って、案外すっごく難しいことなのですね。

  • 兄弟って不思議だ。(私には妹がいる)
    同じ両親と、同じ(様な)DNAを持ち
    生まれた時から、同じ屋根の下で育ち
    同じ様な状況で、同じ様な時間をすごしてきても
    全然違う人間になってゆく。

    数えきれないくらい喧嘩をして
    数えきれないくらい憎んだり恨んだりしても
    やっぱりかけがえのない存在。
    愛おしくなってしまう存在だったりする。

    これは、
    思いわずらうことなく 愉しく生きようとする
    3人の姉妹の物語。

    テンポが良くて、ディティールが相変わらず
    とろりと甘くて美しい、江國さんらしい作品だと思う。
    とっても、面白かった。

  • DV夫と暮らす長女、キャリアウーマンの次女、個性的な三女、仲の良い姉妹の話。

    のびやかすぎる彼女たちは、理解しがたい部分もあるが、それぞれどこか共感できる部分もある。

    私の好きな終わり方で、読後感が良かった。

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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