思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
3.60
  • (288)
  • (554)
  • (722)
  • (89)
  • (19)
本棚登録 : 4866
レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742621

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • この間江國香織さんの作品をたくさん買った。その中の一冊。麻子、治子、育子という三姉妹について描かれています。

    三姉妹はそれぞれ悩みを抱えているけど、一番共感できたのは育子。男性から娼婦のように扱われていて、「順序」をすっとばしてしまう。でも、自分を本当に大切に扱ってくれる男性に出会って変わっていく。なんだか自分の経験と少し似ていて、頑張れって思いました。



    小説のなかて四季が巡っていくのが美しくて、真似したいことや知りたい風景がたくさん増えました。


    その1:沈丁花の花の香りを確かめる
    …初めて聞く花だったので春になったら探してみようとおもいます。

    その2:『夜と霧』を読む
    …育子が「死」について日記に書く時にでてくる小説
    日記に引用文を載せたようなのでどの部分がそれなのか想像して読みたい。

    その3:犬山家特製トーストを食べる
    …治子が朝食に自分で作っている。麻子、治子、育子にはなじみのトーストなのでしょう。
    トーストにバターでいためた山盛りのほうれん草とおとし卵をのせる。基本は塩コショウ。治子はウスターソースをたらす。

    もうすっかり江國香織さんに惚れてしまったので、いろいろ深く知りたい、体験したいと思ってしまいます(^^)

  • これを読んだのは、本当に…
    ――本当に。
    思いわずらうことなく、愉しく生きたいと、
    思ったから。

    読んでみて、楽しいのか分からないけれど
    それぞれが、自分の生き方を信じて生きていく様は、目が離せない

    少なくても恋に負けず、
    人生に勝とうとする生き方は称賛に価する。

    恋人と別れても、今の人生を謳歌する
    DVがあっても、結婚したという関係を尊ぶ。

    毎日のくり返しの中で
    どうしても 自分が 削れていくような気がする

    消耗品のような
    日光を浴びても 深呼吸しても 瞑想しても

    まるで いたちごっこ
    この構造とサイクルを根本から変えなければと思う

    その中でこの思いわずらうことなく、はヒントだと
    思った。

    結局、裏技のような即時解決法が
    見つかったのではなく、今の人生を楽しむ。
    難しく考えず、迷ったら楽しそうな方を選ぶ。
    そういう生き方を、教えてもらった気がした。

  • 何年かに一度読み返したくなる本。

  • 面白かった!
    三姉妹の生活が目まぐるしく書かれていて、スピード感をもって読める。

    読むと、江國香織好きだなぁとしみじみ思う。

    父親の荷物検査、信仰の対象ではないけれどキリスト関連の置物を大切にする育子、香水をふんだんに振りかけて武装する治子、幸せな主婦と見られることに安心する麻子。現実にはいない人物像でも、彼女たちの習慣にすごくリアリティがある。

  • 初めて読んだとき、麻子の恐怖があまりに自分と似ていて、背筋が凍りました。
    なぜ麻子は、江國さんは、こんなに解るんだろうと。

    そして、気づかないうちに遠くにきている自分に気付いてハッとしました。
    もがきながらも、最良の状況を掴みとったと思っているので、抜け出すことなんて考えられません。
    でも、この本を読んで、いつか後戻りできなくなるかもと怖くなりました。
    DVのお話はたくさんあるけれど、こんなに寄り添って書けるのは江國さんしかいない気がします。
    私と同じ感想を持った人も結構いるのではないでしょうか。

    私も江國さんのお話の、まどろむような感じが大好きなのですが、この小説で改めて江國さんの力を感じました。
    深刻な状況が、江國さんらしくすこやかな登場人物によって、深刻になりすぎていないのが素晴らしいです。

  • 久しぶりの秀作。
    三者三様の女の生き様が醜く豊かである。
    女であるということはこんなにも鮮やかでのびやかであるものか。
    作者の空気の捉え方もまた秀逸。

  • 丁度家のことで悩んでいた時に読んだ。
    最初、自分の家族にあまりに似ていて驚いた。
    悩んでいた時に出会えて、本当に良かったと思う作品。
    この本のおかげで、弱い両親を許そうと思うことが出来るようになった。
    DVなんてほとんどの人が体験しないようなことだけれども、江國さんは本当に現実に近い形で書かれている。
    彼女たちのように強く、「思いわずらうことなく愉しく生きよ」うと思った。

  • 家族 恋愛 結婚 DV 人間関係 それから、それから…


    「思いわずらうことなく愉しく生きよ」
    が家訓の犬山家に育った三姉妹。
    それぞれが抱える日常生活。

    テーマは上に書いたようにすごく複雑で、重いとさえ言える。
    それでもどこか共感できて、読み切れちゃった。

    扱っているテーマがかなり重いものだったからか、
    普段読んでいる江國さんの小説とは少し色が違った気がした。
    (最近いろんな作家さんで「らしくないな」って思うこと、多いなぁ)
    でも、江國さんのエッセイを読んだあとだから、
    あぁこの本は江國さんが書いてて江國さんが詰まってるんだ…
    っていうのをすごく実感できた一冊でもあった。

    おいしいものを食べたときの幸福感とか、
    恋愛に対して妙にドライで奔放なところとか、
    自分が正しくない理由がわからない、くらいの我の強さとか。


    個人的にすごく強烈だったのは、
    結婚生活に絡むDVの問題を抱える長女の麻子の話で、
    次女の治子や三女の育子の話はそれにまつわるエピソード、
    くらいに感じるほどだった。
    DVに潜む暗さを感じさせられた。

    いつか、時間がたってから読んだら、治子や育子の話が
    もっとスッと中に入ってくるのかもしれないな。

    江國さんの小説はそういうのが多い。
    『神様のボート』 も 『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』 も。
    時間がたって、自分の中の視点が変わったら、
    きっと話全体の見方も変わるだろうなって思わされる。


    男女が愛し合うシーンの描写がなまなましくないのも好き。
    すごくきれいでいとおしいもののように思えるから。
    慈しみ合うために必要なものなんだ、って実感できるから。

  • 特別な雰囲気でもないのに、なんとなく気になって、どんどん読みすすんだのは江國マジックだから?

  • 江國香織は姉妹が得意だなあ。「流しのしたの骨」は20代向けといった感触だったけど、こちらは読者の年齢を選ばず、読み応えあり。育子が好きでした。治子は職場に思い切り似た人がいて、閉口(苦笑)。男にはメロメロなのに、勝負には勝たないといけないとは…分裂してる。男も決して歯切れよくないし。どちらにしても、その愚かさ具合に反発と共感両方を感じる。

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)のその他の作品

江國香織の作品

ツイートする