思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
3.60
  • (290)
  • (554)
  • (722)
  • (88)
  • (21)
本棚登録 : 4893
レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742621

作品紹介・あらすじ

犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにする-不穏な現実の底に湧きでるすこやかさの泉。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • この間江國香織さんの作品をたくさん買った。その中の一冊。麻子、治子、育子という三姉妹について描かれています。

    三姉妹はそれぞれ悩みを抱えているけど、一番共感できたのは育子。男性から娼婦のように扱われていて、「順序」をすっとばしてしまう。でも、自分を本当に大切に扱ってくれる男性に出会って変わっていく。なんだか自分の経験と少し似ていて、頑張れって思いました。



    小説のなかて四季が巡っていくのが美しくて、真似したいことや知りたい風景がたくさん増えました。


    その1:沈丁花の花の香りを確かめる
    …初めて聞く花だったので春になったら探してみようとおもいます。

    その2:『夜と霧』を読む
    …育子が「死」について日記に書く時にでてくる小説
    日記に引用文を載せたようなのでどの部分がそれなのか想像して読みたい。

    その3:犬山家特製トーストを食べる
    …治子が朝食に自分で作っている。麻子、治子、育子にはなじみのトーストなのでしょう。
    トーストにバターでいためた山盛りのほうれん草とおとし卵をのせる。基本は塩コショウ。治子はウスターソースをたらす。

    もうすっかり江國香織さんに惚れてしまったので、いろいろ深く知りたい、体験したいと思ってしまいます(^^)

    • やまさん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/16
  • 雨が続く日とか、寒い冬の夜に読むのにぴったりな小説でした。
    とても個性溢れる3姉妹に最初は少し圧倒させられたけど、どの姉妹にも少しずつ、共感できる部分、自分と重ねる部分があって読みながら興味深かったです。

    そもそも本書のタイトルは、犬山家の「人はみないずれ死ぬのだから、そしてそれがいつなのかはわからないのだから、思いわずらうことなく愉しく(たのしく)生きよ」という家訓からきています。
    「楽しく」ではなく、「愉しく」。
    同じ読みだけれど少し意味が違って、前者は、心がうきうきする。後者は、心のしこりが取れて、わだかまりがない。という意味。
    今の心境がちょうどこの本を読むのにぴったりで、読んでいてすごくしっくり。

    江國さんはいつも、誰もが持っている何かしら欠けた部分、マイノリティな一面を色濃く描いてますが、不思議な程に共感できるんですよね。
    DV夫と幸せに暮らす長女も、情緒豊かながら理性と共に生きる次女も、好奇心の赴くままに生きる三女も、みんな理解できる部分があって。
    彼女たちを通して自分の中にあるものを発見できるのもおもしろいです。

    家族の結びつきが強くて、家族の危機には駆けつける彼女たち。
    みんなたぶん、きっと不器用で、恋愛に翻弄されて、でも地に足をつけて生きようとしていて。たぶんそんなところに強く共感するんでしょうね。

    私の本質は長女に近いかもしれないけど、次女のような理性を持ちたいし、三女のようにまっすぐに幸せを追いたい。
    犬山家の家訓もいいですよね。恋愛に疲れた人にもよいかもしれない。

  • 三姉妹三様の生き方だが、共通するのは、自身の幸福に貪欲なこと、恋愛に対して恐ろしくまっすぐにまじめに向き合っていること。そういう意味で、タフであること。

    なんだかものすごくわかるなあ、という箇所があるある。

    家族とか恋愛とかって、百人いれば百通りの関係ややり方があるもので、だからこそどれ一つとして異常などではありえないのかもしれない。どれほどの幅に対応できるかの度合いが人によって異なるとしても。

  • 女3姉妹の物語。長女の麻子はDVをされているも複雑な夫婦関係。次女の治子は外資系企業のキャリア。仕事にも男にも貪欲で積極的。三女の育子は肉体関係が他者との接点。周りからすれば異常な三姉妹の行動、考え方だが、ともに育つとそれも異常でなくなる。
    「家庭は個人的聖域であり、呪縛」
    だが、そんなこと気にせずにタイトル通り
    思いわずらうことなく愉しく生きよ
    それにつきるのではないか

  • ちょっと苦しくなったよ。

    でも3姉妹それぞれがいいのです。
    下地は同じ3人が別々のところで自分なりの「家」を考える。表現する。
    みんなちょっとずつ不器用で、自分をがらりと変えたり、変えられなかったり、少しずつ変えてみようとしたり。

    自分を理解することは、他人を理解するよりも難しい。

  • 江國香織作品の姉妹は仲がいい。
    「麻ちゃん」「育ちゃん」と呼びあう感覚は同じ姉妹でもうちにはないものだけど、離婚した両親やそれぞれ家を出て暮らしている姉妹でも、同じ記憶を共有していることでいつまでたっても「家族」だというのはなんとなくわかる。
    
    江國香織作品の恋人や夫婦たちはするすると不倫したり浮気してしまい、それを非難する方が野暮に感じてしまうのだけど、今回はそんな奔放な生き方が「のびやかすぎる」と少し自嘲ぎみに語られている。
    
    そして江國香織作品には旦那への依存度が強い女性がしばしば登場するが今回の麻子はDVがからむので作品全体が少し重い。
    
    「邦一のために一つずつ品物を選んでいると、自分が守られているように思える。
    麻子は、こうして買物をしている自分が幸福な女に見えることを自覚してしていた。その自覚が麻子を満足させ、幸福にさせる。」
    
    「そばにいるときよりも離れているときに、結婚はその効果を発揮するのだ。」
    
    「記憶は冷凍された食品のようなものだ、と麻子は思う。古いことは古いが、時が経っても現にここにある。腐ることも、成長することもない。」
    
    「家族に愛されると、人は強くなるのね」
    
    「家族は個人的聖域であり、呪縛だ、と、考える。」
    

  • これを読んだのは、本当に…
    ――本当に。
    思いわずらうことなく、愉しく生きたいと、
    思ったから。

    読んでみて、楽しいのか分からないけれど
    それぞれが、自分の生き方を信じて生きていく様は、目が離せない

    少なくても恋に負けず、
    人生に勝とうとする生き方は称賛に価する。

    恋人と別れても、今の人生を謳歌する
    DVがあっても、結婚したという関係を尊ぶ。

    毎日のくり返しの中で
    どうしても 自分が 削れていくような気がする

    消耗品のような
    日光を浴びても 深呼吸しても 瞑想しても

    まるで いたちごっこ
    この構造とサイクルを根本から変えなければと思う

    その中でこの思いわずらうことなく、はヒントだと
    思った。

    結局、裏技のような即時解決法が
    見つかったのではなく、今の人生を楽しむ。
    難しく考えず、迷ったら楽しそうな方を選ぶ。
    そういう生き方を、教えてもらった気がした。

  • 人間みな狂ってることをおしゃれに書いている。仲良くて魅力的な姉妹だけど、怖いよ。

  • 今度NHKでドラマ化されるとのことで読みました。
    私には姉妹がいないので(弟ひとり)姉妹がいると大人になってからも楽しそうだなぁ、なんて思いながら読み進めていきました。三者三様の姉妹で個性が強く、でも憎めないですね。
    ただ、お姉さんがDV夫から逃げる決心をしたきっかけみたいなものが私にはわからなくて、唐突だったので消化不良なかんじです。
    「感動のラスト」と裏表紙の解説には書いてあったけど、感動はしませんでした。

  • DV夫に依存する長女
    キャリアウーマンで結婚否定派次女
    自由が上に結婚というものに憧れる三女
    三姉妹の色恋関係を中心とした一家のお話

    三姉妹の誰にも共感はできないけれど、こんな考え方の人もきっといるんだろうなぁと終始客観的に読む。

    思いわずらうことなく愉しく生きよ

    このタイトルが全てを物語る。

  • 三姉妹の性格とかキャラクターがはっきりしていて、人間観察をしているような気持ちになりました。
    麻子のような依存し合うような関係もわかるし、最近別れを経験した私は、治子のように強くなりたいと思いました。
    育ちゃんにはあまり共感はしなかったけど、この子が末っ子でいることで家族の結束が保たれているんだなぁと。
    もっと江國香織さんの小説を読んでみたいと思いました。

  • 一見、ぶっ飛んでいるようで、意外と自分にもあるような一面を持っていたり、近くにいそうな感じのする三姉妹でした。

    女は強い!この本を読んでいて、終始感じたことです。

    同じ女性として、出てくる全ての女性に共感したし、とても気持ちの良い終わり方でした。

    女性に生まれて良かったなぁ。としみじみ思ってみたり。

    境遇が違っても、しっかり支え合っている女姉妹の雰囲気も自分と重ねたりしながら読みました。

  • 再読も面白かったです。
    江國さんの姉妹もの、「流しのしたの骨」の3姉妹とごっちゃにしてしまっていたのですが、こちらも好きでした。
    麻子治子育子…どの人も遠いところにいるようで、案外近いのかもと思ってしまいます。
    こんなに強く伸びやかには生きられていないので、憧れてしまいます。
    「恋愛が過大評価されている」という育子の恋人の台詞に、そうそう!と思いました。あってもいいけど、無くてもいい気がします。(と、同時期に観ていた「獣になれない私たち」でも思いました)
    この作品の女性たちはとても強くて惹かれるのですが、比べると側にいる男性たちがなんとも弱くて…彼らじゃそりゃだめだろうな、と思いました。岸くんも多分無理です。
    「思いわずらうことなく愉しく生きよ」はわたしの人生の目標にもしたいです。難しい生き方ですが。

    これ確かドラマもあって、麻子が木村多江さんで、邦一がユースケ・サンタマリアさんだったような。でもどこかでも見たなこの夫婦。。

  • 私自身3姉妹の中で育ち、家庭環境も似ていることもあり、のめり込んで読めた作品。
    理解しがたい部分もあるが、それぞれが自分の生き方を探している感じが伝わってきて良かった。
    思いわずらうことなく愉しく生きたい

  • 三姉妹の話。仲の良い姉妹でみんないい子でお互いのことが好きなのに、なんとなく皆、三姉妹で自分が一番まともでしっかりしてる、と感じているのが垣間見れるところが好き。姉妹がいたらこんな感じなのかな、といない私は考えた。

  • 私たちはのびやかすぎる。

    三姉妹のお話。
    長女 麻子 既婚者、旦那はコミュ障のDV
    次女 治子 バリキャリ ヒモ男囲う セフレいるけどなに?
    三女 育子 OL 年下BF 個性派

    みんなそれぞれのびやかに、思いわずらうことなく愉しく生きている。
    もしくは愉しい道を生きようとしている。
    長女のDVで旦那がいなければ不安で、旦那が絶対的なものになってしまうのはすごく分かるから私もそちら寄りだけどよくない
    次女は分かってもらうのは難しいと思うけど本当に熊木の事が好きだった
    三女は家族思いで変わってるけど段階を踏んで付き合っていきたい気持ちわかる

    長女のDV発覚→スーパーでDV仲間見つける→3人で助ける

  • 夫からDVを受けている長女、意志を貫くキャリアの次女、一途さが風変わりな方向へ向かう三女。のびやかすぎる彼女たちの独特の折れなさを応援したくなる。雨上がりのようなしっとりとした空気と、仄暗ささえ凌駕する美しさ。姉妹間は勿論離婚した両親も含め家族を大切にする温かみにきゅんとする。タイトルの家訓も良いな。

  • のびやかに生きる姉妹3人のものがたり。

  • 何年かに一度読み返したくなる本。

  • 面白かった!
    三姉妹の生活が目まぐるしく書かれていて、スピード感をもって読める。

    読むと、江國香織好きだなぁとしみじみ思う。

    父親の荷物検査、信仰の対象ではないけれどキリスト関連の置物を大切にする育子、香水をふんだんに振りかけて武装する治子、幸せな主婦と見られることに安心する麻子。現実にはいない人物像でも、彼女たちの習慣にすごくリアリティがある。

  • 思いわずらうことなく愉しく生きる、と聞くと、ひどく自由奔放で苦労のないようなイメージを受けるけれど、実はそうではないという事実を知るような話でした。思いわずらうことなく愉しく生きるには、そうするだけの覚悟や、信念のような確固たる自分が必要不可欠で、同時に多くのものを失う可能性も孕んでいるということ。
    それでも、なぜ彼女たちがそんな生き方をできるかといえば、「家族」という絶対の味方がいるからなのかな。

    それぞれ全くタイプの違う女性である三姉妹の麻子・治子・郁子。
    自分は誰に一番近いだろうかと想像しながら読むのが楽しかったです。
    とはいえ、彼女たちほど思いわずらうことなく愉しく生きることは容易ではないので、「誰にも似ていない」という結論に至ったのは、私だけではないだろうと思います。

    ある種の覚悟と強い信念を持って自由奔放に生きるか、少し気持ちをゆるめて多少の煩わしさを許容するか。バランスよく生きたいと感じました。

  • 好きな一節。『喪失感は、巨大だったが、それは埋めようがないことを、治子は知っている。放っておけばいい、と治子は考えている。喪失感はただここに「在る」だけで、それに囚われたり浸ったりする必要はない』治子強いなぁ。ドラマでは、真木よう子か。ぴったりだ。

  • 家族の記憶が、温かさや煩わしさとなって、別々に生きている姉妹の基盤になっている様子は、とても微笑ましい。

    「恋愛は感情で始まるものかもしれないけど、意志がなくちゃ続けられない」「恋愛が過大評価されているってことが問題」
    「ちゃんとしたボーイフレンド」を持たない育子が、こういうことを言える正彰くんによって、恋愛を知ることができたという展開はすばらしくよかった。

  • 2011.12.04読了。

    ひさしぶりに江國さんの本。

    やっぱりあたしには登場人物の独特な口調に馴染めず。
    そして主人公の3姉妹がそれぞれ変わりすぎてて、なかなか感情移入できず。

    治子の熊木に怒る理由とか、育子の男性との付き合い方とか...
    麻子の場合はきっと実際DVな状況にならないとわかんないんだろうな。
    でももどかしかったー。

    それぞれの恋愛観を持つ3姉妹。
    女のたくましさ、強さはすごい共感。

    この3姉妹は変わりすぎではあるけど、誰だって姉妹間、家族間、恋人間、友人間で独特の世界があり、それは他人から見れば理解できないものなんだってことを改めて共感。

    決まった形なんてないし、普通はなんてことはない。

    ついつい自分の価値観で決めつけてしまいがちだけど、そう思えばもっと楽になるのかなーとか、いろいろ考えてしまった一冊。

  • なかなか魅力的な三姉妹とその両親ではあるが、誰も幸せでは無い。一番破滅的な感じで始まった育子だけに希望が残るものの、若い彼氏と型にはまった生活に入るのが幸せだろうか?とにかく魅力的でも淋しい人たち。それが思いわずらうことなく愉しく生きる事?

  • 初めて読んだとき、麻子の恐怖があまりに自分と似ていて、背筋が凍りました。
    なぜ麻子は、江國さんは、こんなに解るんだろうと。

    そして、気づかないうちに遠くにきている自分に気付いてハッとしました。
    もがきながらも、最良の状況を掴みとったと思っているので、抜け出すことなんて考えられません。
    でも、この本を読んで、いつか後戻りできなくなるかもと怖くなりました。
    DVのお話はたくさんあるけれど、こんなに寄り添って書けるのは江國さんしかいない気がします。
    私と同じ感想を持った人も結構いるのではないでしょうか。

    私も江國さんのお話の、まどろむような感じが大好きなのですが、この小説で改めて江國さんの力を感じました。
    深刻な状況が、江國さんらしくすこやかな登場人物によって、深刻になりすぎていないのが素晴らしいです。

  • 久しぶりに江國香織の小説を読んだ。

    三姉妹の感覚が、私の家と一緒だったので興味深かった。ま、我が家は犬山家ほどのびやかではないけど。

    今度ドラマ化されるみたいやけど、文章ならではの描写に身を委ねてて心地よい小説やった。

  • この人の作品、読み始める前は何となく億劫なんだけど、一度ページをめくるともうやめられなくなる。不思議。
    人は誰かに愛された経験があると、何度でもやり直せるものなんだあ。

  • 主役にこれっぽっちも共感できなかった本は初めてだわ・・・。
    どう取っ付いていいのかわからなかった。
    タイトルからして、3人姉妹がそれぞれ思いわずらっているのかと思っていたら、全然思いわずらっていなかった。
    それでも最後まで読んだのは、DVによる婚姻の継続がどうなるのか興味があったからだけの理由。
    ちっとは思いわずらって欲しい。

  • こちらも追加漏れでした。
    うん。この三姉妹にはそれぞれ共感できるところがあり、反感もあり。
    「思いわずらうことなく愉しく生きる」って、案外すっごく難しいことなのですね。

全536件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)のその他の作品

江國香織の作品

思いわずらうことなく愉しく生きよ (光文社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする