- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334743031
作品紹介・あらすじ
臨場-警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。捜査一課調査官・倉石義男は死者からのメッセージを的確に掴み取る。誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、また、殺人の見立てを「事件性なし」と覆してきた。人呼んで『終身検死官』-。組織に与せず、己の道を貫く男の生き様を、ストイックに描いた傑作警察小説集。全八編。
感想・レビュー・書評
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警察小説やけど、主人公は検視官。
「終身検視官」
「死体掃除人」
「クライシス・クライシ」
などなど、数々の異名を持ち、やくざのごとき風貌と辛辣な物言いで周囲に睨みをきかせている。
上には疎んじられてるはんめさ、若手には信奉社外が多い。
かっこええ生き方やな!
天才的に優秀やないと出来ん事ではあるけど。常に自身を磨き、真実を追求する。職人さんみたいに。
上に文句言わさん程の実績ないとあかんしな。
警察組織って、出世ばっかの人やなくて、こういう人が支えてるのかもしれんな。
警察組織だけやなく、会社とかにも、一部やけど、こんな人がおる。そういう人になりたいな!確かに出世は出来んけど、我が道を行く〜
自分も精進します〜!(^_^)v詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2020(R2)8.13-8.20
『64』以来の横山秀夫。骨太で重厚な物語を求めて読み始めたのだが、短編集だったことに驚きと少しの安堵。
と思ったら、なんのなんの!
“終身検視官”の異名を持つ倉石という検視官を、短編集を貫く主人公に据え、それぞれの短編ごとの主人公との関わりを通して、物語のスケールを深くしている。
「これってドラマにすると面白いんじゃないかなぁ。」と思って、今調べてみたら、テレビ朝日ですでになってました。
そんなことも知らない、世間知らずな僕…。
『64』と『クライマーズ・ハイ』しか知らない僕が横山秀夫を語るのは憚られるが、『臨場』は、横山秀夫を知らない、あるいは少し遠ざけている方には、「入門編」としてふさわしい作品の気がします。 -
捜査一課調査官の倉石は、初動捜査において死者からのメッセージを的確に掴み取る。
事件の真相を看破し、鑑識ネタでホシを挙げ、検視の現場では目から鱗の見立てをする。
このハードボイルドちっくな、己の道を貫く倉石が関わる物語が短編で綴られている。
短編嫌いな私には、1つの話が短すぎて悲しいところだが、短い中にも倉石の魅力を凝縮して描かれている。
ハードボイルドちっくではあるのだが、がっつりハードボイルドとも違い、女性目線でも読みやすいのではないかと思う。サクサクと読み進められる。
なかなかに面白い作品なので、長編で読んでみたくもある。 -
本作は読むより前に、以前、テレビドラマで見た。もともと刑事が犯人を追い詰め、ときには銃撃戦となる派手な刑事ドラマが大好きなのだが、その後、警察ドラマは科学的なテーマにシフトしていった。その一角を担っていた(と思っているが)「臨場」は、事件現場のありとあらゆるモノを手掛かりに、事件の真相を暴いて見せた。そのやり方がとても斬新で、決して刑事が拳銃片手に派手なアクションをしなくても、面白いドラマができるのだと感じた作品だった。
ドラマでは、検視官・倉石のキャラクターが立っていたが、それは小説でも同様だった。小説では、ドラマ以上に現場の状況や遺留品だけでなく、そこから事件に関わっている人々の心情や過去まで明らかにしてみせる。倉石はそこから立ち昇る真の動機や真相を、現場に落ちている「証拠」と重ね合わせ、真相を暴くのである。一見はぐれ者に見えて、実はクールな検視官というキャラクターは、オリジナルの小説でも健在だ。ミステリアスな私生活についても同様である。ドラマの脚本家は、倉石の人物造形は、オリジナルに忠実だったらしい。
短篇集だけに、そうした倉石の活躍が何度も楽しめる。短い物語の中にも、巧みなプロットと無駄のない記述だけに、濃度は高い。多くの物語の間で、主人公たる倉石のキャラクターもブレることはない。決して長い物語ではないけれども、懐石料理を味わったかのごとき充実感が得られるのではないかと思う。
組織(特に警察のような、ヒエラルキーがはっきりとした組織)の中で、その論理を少しばかり外れてしまい、しかしそれを卑下することなく孤高を貫く人物を描かせたら、横山秀夫の右に出る人はいないのではないか。 -
倉石検視官の特殊能力とも思える仕事と、時折見える人間臭さに完全にやられました。
作者に感謝です。 -
倉石義男の心理描写は一切無く淡々としており主人公という感じがしない。検視官なので犯人を追いかけたり逮捕することは無いが、そこに辿り着く見立てが凄いのだ。TVシリーズで先に知っていて細かい違いもあったがそれもよし。ただしTVのようにキュウリを齧りながら臨場はしなかった。
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8編収録の警察小説
どの作品もおぉって感じる結末でした
調査官・倉石が主人公で他殺か自殺か見分け
事件の核心に迫る
この人がいたら無敵なんじゃないだろうかと思わせました
おもしろい作品ばかりでした -
一番印象に残ったのは「餞」。
短編ではなく、ひとつひとつの事件をもっと長く味わいたかったし、倉石の過去や本人目線の回も見たいと思った。
作者が注ぐ人情や心理描写が魅力的で、その人間性は周りが語る。
変わり者だが人間臭く、人情深く、破天荒で無骨だが本物の職人であり、
真実を見抜く鋭い観察力と洞察力、豊富な知識と経験を持ち、死の真相を徹底的に調べ、最期の声を聞き逃すまいと真摯に向き合う姿勢に、熱い漢気を感じた。 -
臨場-警察組織では、事件現場に臨み、
初動捜査に当たることをいう。
操作一課調査官・倉石義男は
死者からのメッセージを的確に?み取る。
誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、
また、殺人の見立てを「事件性なし」と覆してきた。
人呼んで、「終身検査官」。
組織に与せず、己の道を貫く男の生き様を、
ストイックに描いた傑作警察小説集。
全八編。
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よくそんな事に気づくなー、
なんて感心しながら読んだ。
一編目の「赤い名刺」、これが一番面白かった。
調査官の倉石以外に、もう一人の調査官、被害者、犯人、この繋がりが絶妙。
犯人が知らず知らずに犯したミスも
読んでて見逃してたけど、言われたら、あー、ってなった。
調査官の倉石は、厳しい顔ばかりじゃなく、
少しでも一緒に働いてた部下に対して、
自分の完璧な仕事よりも、その部下の為を想って行動する優しい一面もあって、すごい人やなと思った。
何編かは、全く理解ができへん事もあったけど、
最初の話がほんまに短編やのに、ぐっときた。
著者プロフィール
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