人を殺す、という仕事 (光文社文庫 お 39-3)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334743048

感想・レビュー・書評

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  • 作品の紹介
    僕のもとにある日届き始めた一通の手紙。そこに書かれた指示に従うことで、僕の人生は驚くほど順調だった。手紙のお陰で、今後も幸福な人生が続くと信じていた。それが「殺人」を命じるまでは。従わなかった結果―母が死んだ。次は妻や娘たちの番だというのだ。あどけない少女、臨月の妊婦…僕は次次と手を血に染めていく。邪悪で美しい、傑作「暗黒小説」。

  • 大石圭ワールド全開。

    Cが何を基準にして殺される人間を選んだのか、それだけが疑問。人類を絶滅させるための人選ならば、将来幾千もの人間の命を救う敏腕の医者を殺すなり、巨大客船や飛行機に爆薬を仕込ませるなりすれば良いのに。

  • 主人公が10歳の頃から届き始めた「C」を名乗る正体不明の手紙。
    これに従うことで人生は順調に過ごすことが出来た。

    ある日突然「C」から人を殺して欲しいと脅迫文にも
    似た手紙が届き従わなかった結果、母が死にその後
    妻も死んでしまう。

    次に従わなかったら娘が死ぬと言われ、罪のない少女や
    妊婦、国会議員をも殺し続ける・・・・。


    うーん・・・読み終わって何ともいいがたい気持ちに
    なりましたね。
    誰からの手紙なのか・・・ドキドキしました。

    まぁ、ホラー系ですね。

  • 人間は増えすぎた。
    人間は威張りすぎた。


    人間について考えさせられた一冊でした。

  • 書店でタイトルに釣られて購入した小説。
    家に帰ってから、あの「呪怨」の著者だと知って後悔した。
    「呪怨」のノベライズは、あまりの恐ろしさに全部を通して読むことのできなかった小説だったのだ。
    本棚に並べておくことさえ怖かったくらい。
    というわけで、本書も、購入してから読み始めるまで、結構時間がかかっている。
    たまたま、何かの気まぐれで、昨日の昼に手に取ってみただけだ。

    全部で10章からなる本書。これに、プロローグとエピローグがついてくる。
    各章の冒頭では、人間によって絶滅させられた動物の話が出てくる。オーロックス、ドードー、オオウミガラス、ニホンオオカミ等々。
    本文と何の関係があるのかよくわからないまま読み進めていくと、徐々に「あぁ、そういうことか」と納得がいくようになっている。

    結局、半日で読み終えてしまった。メモを取りながらでなければ、数時間で読了できていただろう。それだけ、読ませる力はある小説だと思う。しかし、ホラーとしてはどうだろう。それほどの恐怖感は湧いてこなかった。
    期待はずれ?
    いや、ホッとしたのかも。

    主人公:橘洋介が10歳の頃、初めて《C》なる者から手紙を受け取る。その封筒には住所も書いておらず、切っても貼っていない。つまりは、直接郵便受けに入れたものだということだ。その手紙によって、洋介とその母は命を救われることになる。
    そのあとも手紙は送られ続ける。
    内容はいつも洋介の人生を手助けしてくれるものばかり。
    そして必ず、家族の誰でもなく、洋介自身が受け取るのだ。

    しかし、ある日。
    《C》からの手紙の内容が変わった。
    人を殺せ、さもないと大事な家族が死ぬことになるぞというものになるのだ。
    まぁ、葛藤などがいろいろとありはしたが、結局洋介は《C》の指示に従い、殺人を繰り返す。
    これを「仕事」と呼ぶかどうかは疑問が残るが。

    妻を守るため、2人の娘を守るため、洋介は殺人を繰り返す。
    見も知らぬ他人を殺し続ける。
    娘と同じくらいの幼女であったり、臨月の主婦であったり、大物政治家であったり、犠牲者は多種多様。
    なぜ彼らが選ばれたのか・・・。

    ミステリーではない。
    それはわかっている。
    答えを求めて得られる類の小説ではない。
    しかし、なにかしら腑に落ちない最後を迎えてしまった。
    文章は面白い。惹き付けられる。
    一気に読み続けたくらいだから。
    しかし・・・。

    昔、人を殺す夢をよく見た。
    寝る前にミステリを読む癖があったせいかもしれない。
    その時、現実なのか夢なのか、よくわからなくなることもあった。
    殺すときの感触、気持ち、そのあとの恐怖、それらを忘れようとする心。
    全てがリアルだった。
    その時のことを思い出させる。
    そんな一冊だった。

  • 古本屋で見つけて、最後の方の台詞とCの手紙の文に惚れて買いました。

    人を殺すシーンを比喩表現に走らずに(読者にとっての)ギリギリまで細かく書いてあって、最初は食わず嫌いで軽く飛ばしてしまいました…。でも、何回も読んでいると食わず嫌いもなくなってむしろそこだけ繰り返し読んでしまいました^^

    人を殺すシーンが一番(主人公が)いきいきと書いてあったように思います。プラス思考のいきいきじゃなくてマイナスの意味で、ですが。

    私は主人公のしたことが悪いことなのかわかりません。殺された人が良い人だったのかわかりません。でも、唯一わかることはCは何時でも私達を見てるんだなあってことでした。

  • ある日手紙が届き、その手紙にしたがっていれば順調な人生。
    と、思いきや、手紙は殺人を命令し、従わなければ、自分の大事な人が殺されてしまう。
    自分の子供達を守るため、殺人を続ける。
    でも、ある日届いた手紙には・・・。
    これ、ホラー小説にカテゴリ分けされてました。
    最後まで読んで、「あ、しまった。」って感じ。
    ホラーなので、結末が「そうなっちゃいます?」だったんで。(笑)
    でも面白かったです。
    先を、先をと読みたくなって、一気に読んじゃったので。

  • 人間の手によって滅びゆく動物たち。

    10歳の頃から続く《C》からの手紙。それは男を導き、いつだって書かれている通りに従っていればよかった。
    他人を殺さなければ娘が殺される。娘を守るため、人を殺す。


    ホラーではないな。

  • タイトルで分かる通り「殺人者視点」の小説です。
    あれこれ語る前にとりあえずあらすじに行ってみましょう。


    簡単な粗筋。
    ある日から届き始めた差出人の分からない手紙。
    その手紙の指示に従っているだけで、驚くほど人生は順調だった。
    しかしある時を境に、その差出人は「殺人」を命じるようになり――。


    今までの大石氏の殺人者視点モノとはかなり違うキャラクターです。
    一番の違いは「殺人」を楽しんでいないこと。
    殺さなければ愛する人が殺される。
    だけど人殺しをするのは……という葛藤が描かれています。
    まぁそれが普通の感覚なんだと思いますが。
    今までが「殺人=快楽」といった話ばかりだったので、結構新鮮でした。


    以下ネタバレ含みますので気になる方はご注意ください。


     
    でも何がアレってラストが微妙なんですよね。
    結局手紙の差出人が誰かも分かっていない。
    いや、それはそういう作りにしたのかもしれませんが。

    でも最後の最後、「結果」は描かなくてもよかった気がします。
    そこらへんはその人の好みで意見は分かれそうですが……。
    私的に読了感はよかったのですが、何とも複雑な気持ちになりました。


    大石氏が好きな方は読んでください。
    また、大石氏の同じような設定に飽き飽きし始めていた方にもどうぞ。笑

  •  主人公のもとに届けられた手紙。その指示通りして、彼の人生は順調だった。が、あるときからその手紙は指示は「殺人」になった。

     ミステリーっぽいけど、やはりここはホラーなんでしょう。
     手紙の送り主や、なぜその人を殺さなければならないのか、そういう説明は一切なしです。
     つか、このストーリーでそこのところを描かないっていうのは、大胆です。
     大石圭、やるなww
     
     
     <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043572026/decembesdoor-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">「殺人勤務医」</a>も面白かった。あれも、普通の作家だったら執拗に書く、殺人者の理由つか、言い訳みたいなところをばっさり切ってたな。
     うん、ちゃんと描けている作品であれば、へんな心理描写とか理由なんていらないのかもしれない。

     結末は切ない。
     しかも、これでいいのか、と思うような感じ。
     が、嫌ではない。
     …文中にはいっている、絶滅した動物の話がすごく効いているのかもしれない。

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著者プロフィール

1961年、東京都出身。法政大学文学部卒業。93年、『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文芸賞佳作を受賞し、デビュー。『アンダー・ユア・ベッド』『殺人勤務医』『絶望ブランコ』『愛されすぎた女』『裏アカ』など、著書多数。2019年には『殺人鬼を飼う女』『アンダー・ユア・ベッド』が立て続けに映画化され、話題に。

「2023年 『破滅へと続く道 右か、左か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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