祝山 (光文社文庫)

  • 光文社 (2007年9月6日発売)
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  • 本 ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334743055

作品紹介・あらすじ

ホラー作家・鹿角南のもとに、旧友からメールが届く。ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙な事が続いているというのだ。ネタが拾えれば、と軽い思いで肝試しのメンバーに会った鹿角。それが彼女自身をも巻き込む戦慄の日々の始まりだった。一人は突然の死を迎え、他の者も狂気へと駆り立てられてゆく――。
著者の実体験を下敷きにした究極のリアルホラー!

感想・レビュー・書評

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  • 退屈すぎるくらいの序章。なんでこれが売れてんだって思うくらいの日常回。

    それが恋しくなる中盤。

    まともじゃない。普通そうはならない。

    急に満ち潮に見舞われたような感覚。冷たい恐怖の海がじわじわ這い寄ってくる。黒く、巨大な確定演出があった。

    夏に読みたかったぁ。

  • 日本の怖い話を読みたくなって、書店で巡り合う!

    締め切りに追われる主人公のホラー作家【鹿角南】のもとに旧友からメールが届く!?
    廃墟に肝試しに行ってから奇妙な事が起きている・・・
    作品のネタに使えればと思い、肝試しメンバーと食事会をする事になったが、彼女自身 食事会の後に奇妙な出来事に巻き込まれていく事になる・・・


    本書を読んでいて私が過去に体験した事を思い出しました。


    私が20代の頃、杉沢村という都市伝説が流行りました。
    杉沢村というのは大量殺人が起きて廃村になり、地図から消えた『村』その場所を特定するのが流行ってたような気がします。

    暇な私達は、レンタルビデオや雑誌などで情報を集め『夏になったら杉沢村を探しに行こう』という計画をたて始めました。
    誰の車で行くかとか、何処に泊まるとか、ついでにどこに寄って来るかとか話は盛り上がって行きました。

    そんな中で誰からともなく、地元の心霊スポットの話になりました。
    その場所は、その時点から10年ぐらい前に【近所のお爺さん】が首吊り自殺をした木がある場所で、SAから近い場所ではあるのですが、使われなくなった林道のよう細い砂利道があり、昼間でも薄気味悪いような場所です。
    自殺したお爺さんの幽霊が出るという噂があり、当時の中学生にとって肝試しにはもってこいの場所でした・・・

    同級生の兄を含む中学生3人で、【お爺さんの木】の場所に肝試しに行ったらしいのですが、3人のうちの一人(以降『T君』とします)がその木の下から離れようとしなくなったのです!!!
    T君はは木を見上げ続けていたそうですが、その友人達は無理矢理引っ張って連れ帰って来たそうです・・・
    しかし、次の日からT君は学校が終わると毎日その木の下に行くようになり、酷い日には学校をサボって木お見上げに行くようになってしまいました!!
    それを気味悪がったT君の親は無理矢理 木から引き離して連れ帰りました。
    しかし、また次の日も学校に行くふりをして木の下に行っているという事が続き、学校に相談しても病院に連れて行ってもどうにもならず、最後はオガミヤサンに祓ってもらい木の下には行かなくなりました・・・
    T君はその後、精神を病んで引き篭もりになってしまったそうです。




    若かった私達は杉沢村を探しに行く前に、勢いを付けるために『取り敢えず今からお祖父さんの木の場所に行ってみようか!』と言った瞬間・・・









    部屋の電気が消えました



    突然の事に、さっきまで盛り上がっていた誰も口を開けませんでした・・・



    電気は1分後ぐらいに再び着きましたが、私達の肝試し熱が再び灯ることはありませんでした・・・



    今思うと、電気が消えた事にビビってお【祖父さんの木】の場所に行かなくて良かったと思います。

    行っていたらもっと嫌な事が起きていたかもしれません・・・

  • ホラー作家・鹿角南のもとに、疎遠になっていた旧友からメールが届いた。
    ある廃墟で「肝試し」をしてから、奇妙なことが続いているという。ちょうど肝試しをテーマにしたホラーを描いていた鹿角は、ネタが拾えればと肝試しメンバーに会う事にしたが、それが彼女自身をも巻きこむ戦慄の日々の始まりだった。


    実話怪談風のホラー小説。説明によると、著者の加門さんの実体験を下敷きにしたリアルホラー小説、との事です。
    文章は淡々としており、派手な演出などもない。起こる怪異も、急にテンションがおかしくなり身なりに構わなくなる旧友や怖い夢、原因の分からない体調不良など、他の要因から起こっても不思議ではない事ばかり。
    確かに、実体験だとしてもあり得るかも……? というリアリティがあります。

    普段実話怪談というジャンルはあまり怖いとは思わないのですが、これは何だか怖かった。派手さはないし劇的でもないし、実話から小説にするにあたりわざとらしく目につくような脚色めいたところもない。でも怖い。
    日常に這い寄るような恐怖、現実と地続きにある異常がリアルでぞわぞわします。
    創作物としてもっと派手な怪異が起き、起承転結のはっきりした話が好きという方には合わないだろうと思うし、好みの差も出やすい本だとは思いますが、私は結構好きでした。

    やっぱり肝試しなんかするものではないですよね。心霊スポットって一概に霊が出るとか出ないとかだけではなく、不審者が多いだの地形的に事故が起こりやすいだの有毒ガスが発生しているだの、別の理由で人が寄り付かなかったり、心霊スポットに行ったことがきっかけで精神的な病を発症したりする場合もあるので、面白半分で近づかない方が良いですよ。本当に。

  • 雑に読んだせいなのか、よくわかりませんでした。他に読む本もあり、もう一回読むこともありません。

  • 怖かったー!
    じわじわきいてくる陰湿な感じ。
    ほどよい現実感が、本当にあった話を聞いているようでリアルだった。

  • じわじわと背後に忍び寄ってくるような
    得体の知れない怖さを感じる。派手なシーンを求めたホラーではないので好みは分かれるかもしれないが、こういうのが1番嫌な怖さが後を引く。
    身近なあの人最近雰囲気変わったな、あんな性格だったっけ?と感じた時はもうすでに遅い。

  • 初めて読んだのは5年以上前なんだけど、最近、映画化されると聞いて、もう一度読んでみた。

    昼間に読んだけど、やっぱり怖い。私の好きな宮部みゆきや澤村伊智の怖さがフィクションならではの怖さだったら、加門七海の怖さは、派手さがない分、どこまでノンフィクションなのか?フィクションはどのくらいあるのか?だと思っている。美術系の大学を出て作家になった、この物語の主人公、鹿角南‥加門七海‥本人じゃん!

    物語は、旧友からの1本のメールから始まる。職場の仲間たち4人で、廃墟に肝試しに行った後から妙な事が続いている、とあった。執筆中の作品の参考になるかもと、軽い気持ちで旧友とその職場仲間に会いに行った鹿角。予想に反して、鹿角自身も怪異に巻き込まれ、遂には死者がー。

    初めて読んだ時に何が怖かったって、問題の廃墟の後ろにそびえる「祝山」、元々の名称が「位牌山」だとわかった場面。作中の鹿角は、背後から突然殴られたようなショックを受け、読んでいた私は「ひっ」と息を呑んだ。
    そして、廃墟の近くでバイク事故で亡くなった仲間を悼む名目で、再び廃墟に向かった鹿角と3人。何故か、廃墟ではなく、最初の肝試しの後にお祓いをしたという神社に行く羽目になる。廃墟から持ち出した材木は元々山の物だから、返した方がいいという鹿角。旧友が怖がって拒否するのを見て、仲間の1人が境内に向かって材木をぶん投げた!作中の鹿角、読んでた私、私の次に読んだ娘、揃って、「(こいつ)終わったな」と思った。

    廃墟からの帰りの電車のホームではぐれた旧友は、そのまま行方不明に。材木をぶん投げた仲間とも没交渉のため、無事かどうかは不明。唯一、和歌山の旧家出身で、鹿角から見て霊感もあり、無作法な事はやらかさなかった女性だけは、無事故郷に帰り、結婚もして幸せに暮らしている。

    結局、怪異の正体とか、旧友のその後は曖昧なまま。様子がおかしくなっていた旧友が、しつこく、私たちの話を書いて、と言っていた。なので、鹿角は書くことにした。「祝山」を。いつか、旧友が戻ることを信じて。

    加門七海のホラーは、なんというか‥日常の中にすっと入り込んでくる感じで、自分の身にも起こりそうに思えて、そこが怖い。山や神社で、変な事しないようにしよう‥と誓うのであった。

  • 祝山の意味を知ったときが1番ゾゾっとなった
    主人公の作家が怖がりには思えないのが気になったが、ホラーとしてはまぁまぁ楽しめたかな
    肝試しなんかは行かないに越したことはない!

  • とても恐ろしい物語だった。ストーリーのテンポが速く、引き込まれた。話自体はよくある肝試しなのだが、妙にリアリティがあり、フィクションと現実を切り離すことができない。山の由来が明らかになった場面は、伏線回収のような納得感があったが、全ての謎が解明されるわけでもなく、ラストにも不気味さが残った。

  • ずっと読みたかったので一気読みしてしまった!思ってた以上に面白かった!そして怖い!

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著者プロフィール

加門七海
<プロフィール>
東京都生まれ。美術館学芸員を経て、1992年『人丸調伏令』でデビュー。伝奇小説・ホラー小説を執筆するかたわら、オカルト・風水・民俗学などへの造詣を生かしたノンフィクションも発表。自身の心霊体験をもとにした怪談実話でも人気を博す。小説に『203号室』『祝山』など、ノンフィクション・エッセイに『大江戸魔方陣』『お咒い日和』『墨東地霊散歩』『加門七海の鬼神伝説』など、怪談実話に『怪談徒然草』『怪のはなし』など多数。

「2023年 『神を創った男 大江匡房』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加門七海の作品

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