ずばり東京―開高健ルポルタージュ選集 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334743093

作品紹介・あらすじ

近代化、国際化、急速な人口流入…。1960年代前半、東京オリンピックに沸き立つ首都は日々、変容を遂げていった。その一方で、いまだ残る戦後の混乱、急激な膨張に耐えられずに生じる歪みも内包していた。開高健は、都内各所を隈無く巡り、素描し、混沌さなかの東京を描き上げる。各章ごとに様々な文体を駆使するなど、実験的手法も取り入れた著者渾身のルポ。

感想・レビュー・書評

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  • コープオリンピアが「まだ建築中」の時代、東京オリンピック直前の東京を開高健が描写する、という何とも贅沢な一冊。
    50年以上前の時代を描いているにも関わらず、人々の暮らしは今と大して変わらないようにも感じてしまうのが不思議なところ。「どれだけのんびり怠けていられるかということで一国の文明の高低が知れる」というのはけだし格言だと思いました。50年大して変わらなかったとすると、これからなんちゃら改革が進展するかで文明が高みに上るかどうかが決まるのかどうか。

    個人的には、様々な文体で綴られた東京の描写はそれとしても、最後の書き上がり「この回で私の仕事は終る。」と述べて以降のくだりは、まず開放感がありつつも後悔のようなものもあり、「夏の闇」に繋がるような人嫌いの側面も頭をもたげ、と本編よりもむしろ興味深く感じてしまいました。
    東京について「知れば知るほどいよいよわからなくなった。」と言いつつ「東京には中心がない。この都は多頭多足である。」とした開高氏。多頭多足なら一貫した何かを求めることは無駄にも思えますが、それでもそれを求め、「どこか一本の糸がつらぬいていることがはっきりわかるようなふうに書いてみたい」としてあがき、疲れ果てたその結晶がこの本なのです。
    という訳で、個人的には、最後の「サヨナラ・トウキョウ」を最初に読んで、そこから最初に戻る読み方の方が面白いのではと思いました。全編読んでから気付くのも寂しいですが。。

    なお、銀座の手相見に寿命を聞いたら、まあまあ70歳でしょう、と言われた開高氏。史実を見るに、手相見は当たらないと考えるべきか、手相見の優しい嘘が出たと考えるべきか。

  • 必読

  • 東京オリンピックが開かれた時の東京の様子。新幹線が開通したり、高層ビルが建ち並び始めたり、当時の景気のいい話を予備知識としてもっているのに、この本に出てくる庶民の姿からはあまり景気のいい感じがしない…?なんだか、現在の閉塞感に似た感じを受けました。う~ん、当時も今も、景気が良いのは良いやつだけ?

  • ずばり東京・目次

    ・前白—悪酔の日々—
    ・空も水も詩もない日本橋
    ・これが深夜喫茶だ
    ・深夜の密室は流れる
    ・「求人、当方宿舎完備」
    ・ポンコツ横丁に哀歓あり
    ・戦後がよどむ上野駅
    ・お犬さまの天国
    ・練馬のお百姓大尽
    ・師走の風の中の屋台
    ・遺失物・八十七万個
    ・東京タワーから谷底見れば
    ・新宿—その二つの顔
    ・佃島←→明石町 渡守り一代
    ・寒風吹きまくる労災病院
    ・ぼくの黄金社会科
    ・財界の奥の院 工業倶楽部
    ・酸っぱい出稼ぎ 東京飯場
    ・夫婦の対話「トルコ風呂」
    ・上野動物園の悲しみ
    ・憂鬱な交通裁判所
    ・練馬鑑別所と多摩少年院
    ・われらはロマンの残党
    ・口八丁の紳士—予想屋
    ・マンション族の素顔
    ・新劇の底辺に住む女優たち
    ・世相に流れゆく演歌師
    ・画商という神秘的な商人
    ・総裁選挙は銭の花道
    ・孤独の芸術家—スリ
    ・銀座の裏方さん
    ・デラックス病院の五日間
    ・狂騒ジェット機への怒り
    ・縁日の灯はまたたく
    ・死の儀式の裏側
    ・うたごえの喜びと悲しみ
    ・古書商・頑冥堂主人
    ・ある都庁職員の一日
    ・超世の慶事でござる
    ・祖国を捨てた若者たち
    ・サヨナラ・トウキョウ
    ・後白—酔いざめの今—

  • 不思議と、40年後の現在でも似たような共通事項が、垣間見える帝都東京。文体多彩、読むべし。

  • ライターが読んでおくべき本(1つのテーマに対して様々な角度から書く)

  • むきだしの昭和30年代

  • 朝から晩まで働き続けるよりしかたない日々を受け入れながらも遊べ遊べ遊べ。徹底的に遊べ。どれだけのんびり怠けられるかということで一国の文化の文明の高低が知れるというのが著者のひとつの感想である。また、日本はこの点でハッキリ言って後進国であるとも。当時。東京のスズ虫は羽をこすりあわせてこう鳴いた。幸せなら手をたたこう。幸せなら手をたたこう。幸せなら態度で示そうよ。ほらみんなで手をたたこう。

  • 昭和30〜40年の東京。私にとってはちょうど親の子ども時代の話です。住んでいる土地なのに今と違うような、でもどこかに残っているような。不思議な感じ。たった半世紀で、こんなにも変わるんだ。

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著者プロフィール

1930年大阪生まれ。壽屋(現・サントリー)宣伝部を経て、作家活動を開始。主な著書に、『日本三文オペラ』『輝ける闇』『夏の闇』『私の釣魚大全』『人とこの世界』など。1989年逝去。

「2015年 『日野啓三/開高健』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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