明日の記憶 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334743314

作品紹介・あらすじ

広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう!山本周五郎賞受賞の感動長編、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 明日の記憶 萩原浩

    1.購読動機
    主人公は50歳前。彼は若年アルツハイマーを疾患した。
    わたしは46歳。近しい年齢である。2年前の手術を機会に自身の身体の不調も老いの足跡も確実に感じている。
    だから、手にとった。
    哀しみの物語のなかに、生きることの執着を見出すために。
    そして、支えてくれる周りの有り難さにありがとうの気持ちを伝えるために。

    2.アルツハイマーを知る
    この「明日の記憶」という小説は、アルツハイマーという病の針路を教えてくれる。
    患者自身の病理の進行と葛藤。
    周りのご家族の言葉に出せない想い。

    誰もが健康なわけではなく、必ず転機が訪れるのが人生である。

    その気構え、備えは、早すぎるも遅すぎるもなく、本人、そう私自身が私の視点で行えばよいこと。

    決して明るい小説ではない。
    でも、萩原さんがこの小説を送り出してくれたこと、そして、50手前で出会えたことに感謝を表したい。

    #読書好きな人とつながりたい

  • 自分にだっていつかはこんな日が来るかもと思い読んでみる事にした。
    今までこの病気は忘れていく事、終わってしまう事という印象だったのが小説だからかもしれないけれどもこの本では新しい始まりを感じる。
    もしかしたら今までしたかったのに出来なかった事をこれからはやれる人生なのかもしれないと。
    寂しさと温かさのある世界でした。

  • 社員の名前や芸能人の名前がすぐに出てこないことが増えてきた。この本を読みながら自分もその方向に進んでいるのかもしれないと思う。佐伯が娘の結婚式の直後に倒れたところ、最後に妻が迎えに来たところで目が潤んだ。

  • 若年性ではないけれどアルツハイマーの身内を看ている。
    本人は悪気はないのは重々承知してるけど、周りは本当に大変。本人にも家族にも残酷な病気だと思う。
    アルツハイマー特有の症状が出ても自制心が働いてとても人らしい主人公と愛情深い家族で感動的な内容だったけど、現実は…。

    介護してる家族がどうしようもなくなって…という事件が毎日の様に起きてる。事件は悲劇的で、事件を起こした後も幾多の苦しみ後悔を抱えて地獄の様だと思うけど、その事件に至るまでも同じくらい地獄の様なんだという事。家族だから愛情を持って介護するからこその地獄なんだと思う。

    感動長編ですか…物語だからいいのかな。

  • 萩原浩氏の「明日の記憶」を読みました。若年性アルツハイマー病の話でした。病名を告げられてから懸命に生きていこうとするのですが、自分では否定しても病気は確実に進行しどうすることもできない切なさが 読んでいて涙してしまいます。特に最後の2ページは涙なしでは読めません。
    これは是非家族で映画も見に行きたいと思いました。

  • 本屋さんで紹介してあったのを見て買った一冊。

    若年性アルツハイマーの話だった。

    50歳の年齢でアルツハイマー
    それだけ聞いてもつらく感じる。

    主人公の病気がだんだん進んでいく様子が詳しく書いてあり、この本読んでる自分もこの本の主人公も歳が近いからだんだん怖くなる。

    アルツハイマーの事は痴呆症と同じくらいにしか知識がなかった。アルツハイマーにかかったらどうなっていくのかはあまり知らなくて、この本を読み
    アルツハイマーの怖さがだんだんわかってきた。

    身近な人達の顔や名前が失っていくのが一番怖い。

    この話しは2004年に書かれ話みたいだか、2022年の今アルツハイマーの治療薬はあるのか?
    しっかり治療する技術や薬はまだまだできそうにないと思った小説でした。

  • 若年性アルツハイマーを発症したとして、自分だったらどうするだろうか。やはり自分で命を絶とうとはするだろうなと思います。次第に何も出来なくなって大事な人に負担を掛ける位であれば・・・。と考える事は自然だと思います。何も分からくなった将来の自分は自分ではないと思うんです。肉体ではなく精神こそが人間だとどうしても思ってしまいますから・・・。
    しかしこれが家族の事になると急にそういう考えは影を潜め、どんな状態でもいいから生きていて欲しいと願ってしまう。でもこれが何年も続いていくとしたら・・・。きれいごとだけでは語れない切実な問題です。
    バリバリの働き盛り49歳の自分に襲い掛かる病魔。何もかも忘れてしまう恐怖と抗う姿が自分と重なりとても恐ろしかったです。若い時であればまだしも、彼と年が非常に近くなってきて、切実さが全く違っており指先が冷えていくような感覚を覚えました。

  • 読んでいて結末がどうなるか予想はしてましたがやはり残酷な結末でしたがあの場所に奥さんが居たのは現実なんでしょうね、現実ならドラマのような描写ですが最後にこの物語が引き締まった印象を受けます。
    追記
    でもその後を考えるとやはり残酷な病気ですね

  • 考えさせられる内容だった。
    若年性アルツハイマー 恐ろしい病気だが佐伯部長が忘れても思い出すよう必死にメモをしているとこが心打った。
    巻末の精神科の医師の解説も参考になった。

  • バリバリ働く主人公
    時間を間違えたり、道に迷ったりするようになり
    仕事に支障が。
    徐々に症状が進む様子が
    辛かったです。

    通っていた陶芸教室で
    何度もお金を払うシーン、
    一番最後、枝実子さんが迎えに来たシーン、
    切なくなりました。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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