- Amazon.co.jp ・本 (629ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334743611
感想・レビュー・書評
-
久々の山本一力さん。
飯炊きの技と抜きん出た商才を持ったつばきが、若くして一膳飯屋〈だいこん〉を切り盛りする、成長と家族の物語です。
主人公・つばきは、三姉妹の長女。腕のいい大工の父・安治が博打で多額の借金を負ってしまい、一家は苦しい生活を強いられます。
ある時、炊き出しの手伝いをしたのを機に、飯炊きの才能を見出されたつばきは、9歳にして火の見番小屋の賄い係を担当することになります。
同じく賄いをしていた、つばきの母・みのぶは娘の飯炊きだけではない商才にも気づき、ゆくゆくはつばきに飯屋を開かせたいと思うようになりますが・・・。
結構なヴォリュームで、読み応えガッツリの人情噺でした。
序章では深川に新たに店を構えようとするつばきの様子が描かれていたので、ここから物語がスタートするかと思いきや、本書の内容はこの冒頭に至るまでの、所謂“回顧談”となっております。
第一部は、安治の借金で一家がひたすら苦労する内容で、特に安治が番所に連れていかれる下りは、不憫すぎてしんどかったですね。
それだけに、第二部でつばきが18歳で飯屋〈だいこん〉を浅草に開店し、持ち前の才覚で軌道に乗せていく展開は、読んでいてワクワクしました。
ご飯を美味しく炊けるだけではなく、経済感覚もあり、常に商いのアンテナを張っているつばきの商才には感心するものがあります。
そして、山本さんの小説ではお約束の“江戸っ子の心意気”がここでも描かれていて、その情緒を感じることができるのも良いですね。
才覚があって頑張り屋のつばきですが、ちょっと負けん気が強すぎる傾向にあり、せっかく浅草でうまくいっていた〈だいこん〉を、とある大店の店主の挑発に乗ってしまう形で(所謂“売り言葉に買い言葉”的なノリ)、店を閉めてしまうというのが、博打好きの安治の血を引いているからなのか、“そこは冷静&堅実にいくべきなのでは・・?”とさすがに思ってしまう私でした。
という流れで、浅草の店を閉めて新たに深川にオープンしますよ(そう、ここで冒頭に繋がる)。と、いうところで本書は終了します。
つばきの深川での奮闘を描いた続編も手元にあるので、これから取り掛かりたいと思います~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ボリュームがあり話がしっかりしていて面白い割には魅力的で印象に残る人物がほぼおらず、最後まで物語に入り込めなかったので淡白な印象となった。
-
「みをつくし料理帖」を読んでいるからこの手の人情小説は慣れたものだが、どこまでも「縁」が縁を呼びどんどん進行していく話は今の世では若干引く。事業はこういった人の伝手で成功して行くものだけど、つばきはわがまま過ぎるのにいい人に囲まれ過ぎるがちょっと出来過ぎな気がしないでもない。ましてや、飯炊きが上手いだけでこううも成功してしまうと白けてしまう。
それでもボリュームのあるページ数を読みきれるだけの小説としての面白さはある。
途中から一切出てこなくなる渡世人、なんで?
弁当辺りからなんだか話がわやくちゃになるのは書下ろしでなく連載小説ならではのもので、もううすこしスマートにまとめて終われば評価も上がったかもしれない。つばきには男運のは挫折があったが商売ではまったく挫折がなかったので次点。うまくいきすぎる話はつまらない。むしろ最初の頃の博打で失敗している頃の話の方が面白かった。 -
もう少し主人公以外の周りの登場人物にも愛着が持てるような描写が欲しかったなあと思った。
-
長っ。
主人公のつばきが人から好かれトントン拍子に物事が進んでいく理由がわからない。
たしかに気風は良いし、判断力もあるのだろうけど、それだけじゃない?
あんまり人を思いやるというか、優しさは感じないし共感もなかった。
ピンチが訪れても大したことなく、するっと話が進んでしまうのが軽い。 -
内容(「BOOK」データベースより)
江戸・浅草で一膳飯屋「だいこん」を営むつばきとその家族の物語。腕のいい大工だが、博打好きの父・安治、貧しい暮らしのなかで夫を支える母・みのぶ、二人の妹さくらとかえで―。飯炊きの技と抜きん出た商才を持ったつばきが、温かな家族や周囲の情深い人々の助けを借りながら、困難を乗り越え店とともに成長していく。直木賞作家が贈る下町人情溢れる細腕繁盛記。 -
読みやすかった。
終わり方が物足りない上に、
特に心に響くテーマもないように感じた。 -
気風が良くて器量の良い、みんなから愛される
つばきが商う一善飯屋「だいこん」。
人情たっぷりの細腕繁盛記。
つばきが深川へうつってからの作品もあるのかな?