ハートブレイク・レストラン (光文社文庫 ま 12-4)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334744458

作品紹介・あらすじ

フリーライターの寺坂真以が仕事場代わりにしているファミリーレストランには、名探偵がいた。店の常連ハルお婆ちゃんは、客たちが話す「不思議な話」を聞くと、真以を呼び寄せ、たちどころに謎を解いて見せるのだ。そんなお婆ちゃんにも、ある秘密があったのだが…。可愛くって心優しいお婆ちゃん探偵が活躍する、ハートウォーミングな連作ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 可愛いお婆ちゃんが謎を解く探偵譚、連作6話が収録されています。

    とあるファミリーレストランを仕事場代わりに利用しているフリーライターの寺坂真以は、自身が体験した不思議な出来事を、店の常連のお婆ちゃん・ハルさんに謎解きをしてもらったのをきっかけに、様々な謎解きに関わる事に・・・。

    日常の謎から、第5話「ベレー帽と花瓶の問題」のような事件に関わる謎まで、鋭い推理でミス・マープルばりの名探偵っぷりを見せてくれる、ハルお婆ちゃん。実は幽霊(!)という設定なのですが、この不思議だけど癒されるキャラにほっこりします。
    店長の山田さんや、真以が思いを寄せる刑事の南野さんなどのサブキャラ達も、“薄味”ではありますが絡み具合が程よい感じで、全体的にサラっと読めます。
    タイトルの「ハートブレイク・・」というのが、個人的には“ハートブレイクか?”と若干疑問ですが、まぁ良しって感じです。
    同著者の“ニャン氏シリーズ”もそうですが、肩の力を抜いて読める“日常系ミステリ”は疲れた時に重宝(?)しますね。
    続編も一緒に借りてきたので、続けて読みたいと思います~。

  • フリーライターの真以が行きつけの店にいる、幽霊のハルさんが謎を解くお話。ハルさんの観察力や推理力がすごい。真以の恋やら山田さんのことやらも絡み、なかなか読みやすい。携帯がガラケーで懐かしい。最後に、なぜハルさんが真以に見えるのかもわかるのも楽しい。

  • 心やさしいお婆ちゃん幽霊ハルさんが謎を解く!

    ハートブレイク・レストランという題なので~失恋がらみの事件なのかなと思ったら、違いました。
    ほとんどは日常の謎で、ある点で幽霊がらみ。
    癒し系といってもいいでしょうね。

    寺坂真以はあちこちの雑誌などに寄稿しているフリーのライター、28歳。
    5年勤めた会社を辞め、原稿書きを本業にしようと苦労している所。
    家に閉じこもって書くのも息が詰まるので、喫茶店などに出かけて書いている。

    落ち着ける店で長く粘れる所を探して、見つけた~とあるファミレス。
    街道沿いだが駅から少し離れているのと、何となく店員の雰囲気が明るくないせいか、客が少ないのだ。
    常連客の中に、一人お婆ちゃんがいる。いつも着物で、真っ白な髪をお正月のくわいのような形に結っている可愛らしいお婆ちゃんだ。

    ある日、エッセイに書こうかと思っている編集部での不思議な出来事を、携帯で友達に話していると、お婆ちゃんに声をかけられる。
    手作りケーキの中から、編集長がなくした結婚指輪が出てきた謎。
    それはこういうことだったのではないかと。
    感心していると、その姿はうっすらとなり、消えていく…

    幸田ハルという「お婆(ばば)さま」こそ、その店の主?
    以来、解決出来ない問題があると、ハルお婆ちゃんに知恵を借りることになります。
    「走る目覚まし時計の問題」
    「不作法なストラップの問題」
    「靴ひもと十五キロの問題」
    「ベレー帽と花瓶の問題」
    「ロボットと俳句の問題」
    やはり店の常連の南野さんという男性と、ほのかな好意が芽生えていく様子も、ほのぼの。
    もちろん、ハルさまが応援してくれます。
    いい感じでした~。

    著者は1960年金沢生まれ。
    1991年「バルーンタウンの殺人」でハヤカワSFコンテストに入選、注目される。

    • sanaさん
      まろんさん、
      素敵な作品に出会えて、感謝です☆
      まろんさんのレビューを読んで、読んでみました~!
      ハルさん、とても奥ゆかしいのが素敵で...
      まろんさん、
      素敵な作品に出会えて、感謝です☆
      まろんさんのレビューを読んで、読んでみました~!
      ハルさん、とても奥ゆかしいのが素敵ですよね。
      いざというときには、プッシュしてくれる☆なんて、頼もしい~。
      理想のお婆ちゃんというか、理想の幽霊というか。

      ハルさんを前面に出したタイトルにすれば良かったんじゃないかしら~。
      幸薄い感じの店員さんは失恋した人が集まっているのかと…ハルさんが出てきても、恋の相談に次々乗ってくれるのかと思っちゃいましたよ~(笑)
      2012/10/03
    • まろんさん
      おお!私のレビューがきっかけで読んでくださったなんて、感激です♪

      ほんとに、ハルさんを前面に出したタイトルだったら、
      もっと手に取ってもら...
      おお!私のレビューがきっかけで読んでくださったなんて、感激です♪

      ほんとに、ハルさんを前面に出したタイトルだったら、
      もっと手に取ってもらえるだろうになぁ、と思ってしまいますね。
      松尾由美さん、『人くい鬼モーリス』の時代から、
      タイトルでは損をしている気がします(笑)
      2012/10/03
    • sanaさん
      まろんさん、
      あ、「人くい鬼モーリス」…このタイトルじゃ引きますよねー。
      それも、まろんさんのレビューを読んで、読みたいと思ってるんです...
      まろんさん、
      あ、「人くい鬼モーリス」…このタイトルじゃ引きますよねー。
      それも、まろんさんのレビューを読んで、読みたいと思ってるんです。

      「ハートブレイク・レストラン」はハルさんがじわじわと登場する感じが好きなので、そういう雰囲気で紹介しましたけど~読んで貰うには…最初にアピールしようかな♪
      2012/10/05
  • 幸薄い感じのウェイトレスが言葉少なく料理を運ぶ、
    不思議な雰囲気のファミレスの禁煙ゾーン。
    その、壁を背にした一番奥の席にちんまりと座り、
    真っ白な髪をお正月のくわいのような形に結った和服姿の品のいいおばあちゃん。

    この、癒し系フィギュアとして売り出したいくらい可愛らしいハルおばあちゃんが
    空席だらけのファミレスを仕事場にしているフリーライターの真以が遭遇する事件の謎を
    あくまで奥ゆかしく上品に解き明かしていく、ほのぼのとした物語なのですが、

    コラムのネタにしようと目論む「ケーキと指輪」の謎に悩んでいた真以に
    招き猫のようにおいでおいでをして、かぼそい声で「お呼び立てして」と謝りつつ
    「僭越ながら」と微笑みながら鮮やかに謎を解いてしまったハルさんが、
    真相が編集長のプライバシーに関わるため、コラムとしては書けなくなったと知ると
    「何という出すぎたことを・・・」と消え入りそうに小さくなって。。。

    あらまあ、なんと!
    ほんとうに消えちゃった!!

    幽霊だとわかってもちっとも怖くないどころか、ファミレスの店長に慕われ
    名探偵として、真以や事情を知らない刑事の南野にまで頼りにされるハルさんが
    どうして勇気を振り絞って真以に声をかけたのかが明かされるエピソードにほろりとして

    「うだつがあがらない」と卑下する真以に、「うだつ」の由来を丁寧に説明して
    刑事らしく真面目に慰めようとする南野や
    ハルさんを崇拝して、いつ出没してもいいように指定席を常に空けておく店長など
    心根のやさしい登場人物に胸がなごみます。

    それにしても、『モーリスのいた夏』が、原題『人くい鬼モーリス』であった頃には
    読んでみようとは思ってもみなかった松尾由美さん。
    このお話のタイトル『ハートブレイク・レストラン』でも
    よくある若い女性の失恋物語と誤解されて手に取ってもらえないのじゃないかと
    ハルさんじゃないけど、「僭越ながら」気になってしまうのは私だけでしょうか。。。

  • フリーライターの寺坂真以が仕事場代わりにしているファミリーレストランには、名探偵がいた。店の常連ハルお婆ちゃんは、客たちが話す「不思議な話」を聞くと、真以を呼び寄せ、たちどころに謎を解いて見せるのだ。そんなお婆ちゃんにも、ある秘密があったのだが…。可愛くって心優しいお婆ちゃん探偵が活躍する、ハートウォーミングな連作ミステリー!

  • 癒し系ではあるが、物足りなかった。安楽椅子探偵なおばあちゃんがファミレスで事件を解決するということで、北村薫氏や坂木司氏の著作ようなイメージを持って読み始めてしまったからもしれないが、それを除いてもなんとなく物足りない。
    ハルさん以外のキャラクタが薄いし、話に妙に入り込めないなあと思ったら、解説で「隅の老人の事件簿」のオマージュであることを知った。オマージュとしてであれば、十分楽しめる。
    ただ、日常系ミステリを楽しみたいと思っている方にはやや物足りないかと思う。
    2013.08.24

  • 可愛くてフィギュアにしたくなるような名探偵ハルおばあちゃん。ワトソン役はフリーライターの寺坂真以。店長の山田さんや刑事の南野さんなど脇キャラもいい。シリーズ作品らしいので続きも読みたいと思います。

  • かわいいおばあちゃん探偵。
    しかも、現代では絶滅の危機に瀕している古き良き時代のおばあちゃんだ。
    着物をきっちり着こなし、言葉づかいも奥ゆかしい。

    ヒロインはアラサーの駆け出しライター。
    ノートPCを持ちこんで原稿書きをする、ちょっとはやらないファミレスに、おばあちゃんは出没する。
    原稿に行き詰り、PCの前で頭を抱えているヒロインを、悩み多き乙女…と思って胸を痛めたのか、おばあちゃんは声を掛けてきて…
    その豊富な人生経験と見識で、飛び切りのアドバイスをしてくれるのである。

    最近のヒロインは、アラサー独身、仕事も恋もなんとなくお疲れ気味…というパターンが多いなあ。
    頑張れ、女子!

    店長の山田さんがなんとなく好きです。

  • 1話完結でサクッと読める1冊でした。

    ハルさんは、癒し系ののんびりおばあさんというよりは、聡明な淑女といった感じです。
    ほっこりする感じを求めて読むと少しギャップがあるかもしれません。

  • 謎解きがちょっと無茶というかこじつけっぽい気がするけど、ハルさんがなかなかキュートで、全体の雰囲気も穏やかで、和やかに読める。

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著者プロフィール

一九六〇年、石川県生まれ。会社勤務を経て作家になる。八九年『異次元カフェテラス』を刊行。九一年「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテストに入選。主な著書に「ニャン氏の事件簿」シリーズ、『おせっかい』『ピピネラ』『九月の恋と出会うまで』『嵐の湯へようこそ!』など。

「2022年 『おいしい旅 初めて編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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