弥勒の月 (光文社時代小説文庫)

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本棚登録 : 1170
レビュー : 130
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334744564

作品紹介・あらすじ

小間物問屋遠野屋の若おかみ・おりんの水死体が発見された。同心・木暮信次郎は、妻の検分に立ち会った遠野屋主人・清之介の眼差しに違和感を覚える。ただの飛び込み、と思われた事件だったが、清之介に関心を覚えた信次郎は岡っ引・伊佐治とともに、事件を追い始める…。"闇"と"乾き"しか知らぬ男たちが、救済の先に見たものとは?哀感溢れる時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 児玉清お勧め本だけあって、ストーリーもいいが、より一層キャラクターの造形がいい。
    岡っ引きの伊佐治、同心の木暮信次郎、そして遠野屋主人・清之介、この魅力ある三人の絡み。

    児玉清は、この作品で、読者に問いかけられているのは、真の男とは、真の大人の男とは、どういう人間か、ということだと解説に書いている。そういう男を書くには、やはり時代小説が必要なのか。

    また、著者が、時代小説を書くきっかけとなったのは、藤沢周平の作品に魅せられたから、だそうだ。さもありなんと納得。続編も出ているようで、必読。

  • 北町奉行所の若き同心 木暮信次郎と、その父親の代からの岡っ引き 伊佐治が街で連続して起こった人殺しを追いかける。

    街の空気や色、湿度までを言葉で尽くすようなあさのさんの描写は、まるで映像をみているかのような心地。
    背景の描き方と、登場人物たちの心の微細な心の動きが、物語の動きに奥行きを加える。

    何の関係もないように思えた人々の死が、最終盤で一気に動く。
    同心信次郎と、妻を失った小間物屋若旦那の遠野屋清之介の人物造形について、まるで薄皮をはぐようにゆっくり、ゆっくりと見せていく様は、あさのさんの筆力のなせる業だと感じた。

    個人的には、何か過去を持つ遠野屋の正体の見せ方と、同心信次郎との駆け引きが、どちらも同じようなので、途中でおなかいっぱい。
    岡っ引きの伊佐治の人となりまで入り込むので、もう少し誰かを間引きしたほうが、集中できたかな。

    シリーズでまだまだ続くようなので、次を楽しみに。

  • 時代物は好きですが、あさのあつこさんの本は初めて読んだ。とても読みやすい。たしか、児玉清さんがオススメしていたのを知って購入したはず。しばらく積読していたけど、早く読めば良かったな。シリーズ物のようなので、次の本を読んでみたい。キャラクターがこの一冊でかなり際立っていると思う。

  • 児玉清さんが紹介していたのを読んでこの本を読んでみたいと思って手に取りました。
    あさのあつこさんと言えば、ヤングアダルトと言うイメージですし、実際私が今までに読んだ小説は全部娘から貸してもらったものばかりだったので、時代小説⁈と思いながら読んでましたが、さすがあさのあつこさん!と思いました。

    同心の小暮信次郎と遠野屋の清之介、岡っ引きの伊佐治。そして物語の冒頭で川に飛び込んで死んでしまうのだが、話の中で生き生きとした表情を見せる遠野屋の若おかみ りん。
    どの人物も魅力的だし、他の脇役の登場人物達も血の通った人として書かれていて、読んでいる間、私もこの小説の中の江戸の町に一緒に住んでいるようでした。

    今年読んだ本の中で私のランキングの中ではかなり上に入ると思います。
    続編が楽しみです。

  • 男達の心の底に潜む闇が冷たくぶつかり合う。わかりたい。知りたい。わかりたくない。知られたくない。
    複雑な感情が交錯して、残るやり切れなさ。
    悲しみと行き詰まりを抱えて、それでも生きる人々のお話。
    解説が児玉清さんで驚いた。

  • 時代小説だが面白かった、江戸の町を背景に、少し台詞などに現代感覚の残るところも馴染みやすく読みやすかった。


    同心の信次郎と岡っ引きの伊佐治のコンビが事件担当で面白い

    信次郎は父が亡くなった後、役目を引き継いではいるが、年相応の鬱屈した思いがある。
    伊佐治は生一本で世話好きで頼りがいのある人物だが、一人で、勝手に生きているような信次郎をもて余すこともあり、理解ができない部分がある。
    しかし信次郎の勘の鋭さと変人ぶりに辟易しながらも、世話を焼かずにはいられない。


    最近結婚したばかりで、気立てのいい、小間物屋「遠野屋」のおかみが橋から飛びおりた。
    入り婿の清之介は、先代に見込まれ、眼鏡どおりに身代を守り、以前にもまして繁盛させてきた。

    なぜ、その妻が死ななければならなかったのか。
    夫の清之介にも見当がつかないと言う。しかし、彼の物腰には何か油断のできない、ある殺気のような緊張感を信次郎は感じた。

    信次郎と清之介のもっている、形は違ってもどうにも折り合いのつかない、重たい心の荷物がうまく書き込まれている。

    妻の死を悲しみ、大金を出してまで捜索を頼むのは清之介の本心か。

    夜が来ると、袈裟がけの見事な一刀で次々に人が死んでいく。

    清之介と信次郎、伊佐治のキャラクターが際立っている。

    続きの「夜叉桜」も読んでみよう。

  • 過去を乗り越えてゆくことは、塗り替えることは、果たしてできるんだろうか。人生という名の一幅の絵画は、いつをもって完成を見るんだろう。

  • なかなか厚みのある時代小説でした。登場人物も個性に富んでおります。闇を抱えている男たちの駆け引きを畳みかけるように転進させ、もちろん推理する展開もありまして、背景も凝っており、盛りだくさんな小説です。そして続き物としての役割もあるようなのです。わたしは有名な『バッテリー』は読んでいないのですが、作者は藤沢周平さんに私淑とありますから、また系統の違うものにも才能がおありなのですね。木暮信二郎、遠野屋清之助もいいけど、岡っ引「伊佐治」の味が何とも言えないですね~。

  • 惚れぬいた女を守りきれなかった江戸の男の悲哀が、心を揺さぶりました。
    超オススメです。

  • 図書館で借りただが、ものすごく借りた人が多くてびっくりした。レビューも概ね評価は高く楽しみにして読み始めた。

    読んでいる内にこの話の主役は誰なんだろうか?と思った。遠野屋?親分?信次郎?きっと3人が主役なんだろうと気付いた。

    シリーズの1作目。言葉や漢字が難しい。信次郎の性格の悪さに辟易たしたが次作に期待しての星3つ。

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著者プロフィール

あさの あつこ
1954年生まれの小説家、児童文学作家。岡山県英田郡美作町(現:美作市)湯郷出身。幼少の頃から本に親しみ、中学の頃から創作日記をつけはじめ、中学2、3年生の頃から作家を志す。青山学院大学文学部入学後、児童文学サークルに入り活動。卒業後小学校の臨時教諭を2年間務め、結婚。日本同人協会「季節風」同人となり、そこに連載した『ほたる館物語』で作家デビュー。
代表作に、1996年から執筆を続ける『バッテリー』。97年野間児童文芸賞受賞、99年『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、2005年『バッテリー』全6巻で小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞。シリーズ1000万部超の大ベストセラーとなり、映画化・アニメ化された。

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