オイディプス症候群 上 (光文社文庫 か 30-3)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745080

感想・レビュー・書評

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  • 前半までの感想としては、正直なところやや冗長という印象。しかし、後半まで読んで、登場人物たちの哲学的議論も必要なものだったかもしれないとは思う。傑作には間違いないと思う。
    元々笠井さんの著作には興味があり、特に、哲学的要素とミステリを融合させているような作品を期待して読んだ(それがどんなものかは具体にイメージしていなかったが)。
    だからある程度予想はしていたものの、私からするとやや唐突に登場人物が語り出し、滔々と哲学的な議論をし続ける場面が少なくなかった印象。生きるか死ぬかの場面に・・そんな議論している場合かな、とか。
    ミステリとしては、物語の進行だけ見れば王道とも言える舞台設定で、スリリングでエンターテイメント性もとても高いと言える。

    「虚無への供物」や「匣の中の失落」など、奇書のように呼ばれる探偵小説では、ペダンティックな話題がしばしば長文で展開されるのは珍しいことではないとは思う。しかし衒学的な話題に溢れていても、それが読み手の苦にならず、むしろ小説の文脈にさえ不思議と合致しているような気さえするものだ。だが本作では、例えば前半の殺人をめぐる倫理の話題や、その他性に関する議論などは、カケルのいう「現象学」の認識やものの捉え方を紹介するような位置付けなのかもしれないが、単にうんちくというより思想について述べているからか、やはり難解である。
    現象学についても、そもそも哲学についてもほとんど知識はないけれど、現象学と聞いて個人的にはあまりいい印象がないから、あまりピンとこなかったのかもしれない。カケルの主張の内容そのものは何となく理解できるし、道教(老荘思想?)の修行をしていたとのことで、確かに現象学的な認識と道教の「胡蝶の夢」のような発想とは共通項があるのかもしれない。にしても、カケルはあまり現実感のない人物だったが・・。
    ここでいう現象学的な捉え方は、理解が間違っているのかもしれないが、やや独我論的に感じられるのと、どうも、「外部」にあるものをただそういうものとして了解し、分析することに逃避的であるように感じているのかもしれない。

  • 終盤の駆の解明は秀逸。プロットも満足。ストーリーも面白い。途中の論理展開はきつい。削ってほしい。

  • 中学の時、はまった駆シリーズ。
    未知な中学生だった私には駆シリーズの小ネタは大変勉強になった記憶があります。
    で、久々の駆シリーズ。出ていたのを知らなかったのが大変ショックで慌ててアマゾンで上下巻を購入しました。
    ギリシャの孤島での連続殺人。
    壮大なスケールに緊迫感が出るんですが…。
    出るんですが…。
    んーーーもう少し、人が死ぬ前に犯人を推理しようよ。と思ってしまう私がいましたorz

  •  No.33「長門有希の100冊」
     新種のウイルスに感染した友人から託された資料を届けるため、クレタ島南岸に浮かぶ牛首島へ渡る、パリ大学の女子学生と謎の日本人青年。新種のウイルスにまつわる話が展開されるのかと思いきや、単なる孤島で繰り広げられる密室殺人の様相。

     素性を明かすことを拒む矢吹駆は、この事件とどんなかかわりをもっているのか。この島に招待された目的とは、不思議な哲学的お話も随所にちりばめ頭がよくなった錯覚を覚える。少々理屈っぽく、小難しい小説だ。

  • ■嵐の孤島での連続殺人を脱構築する、20世紀探偵小説の白眉!!

    中央アフリカで発見された奇病。その奇病に冒されたウイルス学者である友人に頼まれ、ナディア・モガールと矢吹駆はアテネに向かう。目的はある資料を友人の師・マドック博士に届けるためだったが、博士はなぜかアテネを離れ、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」に渡っていた…。

    第3回本格ミステリ大賞

  • 矢吹駆シリーズ

    友人である医師フランソワからギリシアへの届け物を依頼されたナディア。フランソワの共同研究者マドック博士の研究所の火事。ザイールでの謎の病気の蔓延、フランソワの友人スウェーデン人女医オーサの死。アテネ空港ではぐれたナディアと駆。ナディアの友人コンスタン・ジュールとの再会。タクシーで同情した女医ソーニャ・ラーソン。ミノタウルス島へ渡る直前のアメリカ人旅行者ディーダラス氏の転落死。ミノタルルス島に招かれた人々。招待主ブルーム氏の借りたレンタカーの転落事件。哲学者ダジールの秘書トランとして島に渡ったカケル。嵐の島。アメリカ人地方政治家ダグラス氏の転落死。串刺しにされた遺体。同時に島から逃げ出そうとした使用人バシリスの船の転覆。夫を救出に向かい波のまれたダナエ。

     2009年12月9日購入

     2011年5月21日読了

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著者プロフィール

作家・評論家。1948年東京生まれ。
79年『バイバイ、エンジェル』でデビュー。98年編著『本格ミステリの現在』で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。2003年『オイディプス症候群』と『探偵小説論序論』で第3回本格ミステリ大賞小説部門と評論・研究部門を受賞。主な著作に『哲学者の密室』『例外社会』『例外状態の道化師ジョーカー』他多数。

「2024年 『自伝的革命論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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