独白するユニバ-サル横メルカトル (光文社文庫 ひ 14-1)

著者 :
  • 光文社
3.47
  • (127)
  • (221)
  • (238)
  • (81)
  • (34)
本棚登録 : 2345
感想 : 260
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745264

作品紹介・あらすじ

タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • グロテスク&汚物&残酷描写のオンパレードな短編集(この作者だから平常運転ちゃあ平常運転)胸糞系やバッドエンドな話も多いのだけれど、どことなく耽美というか、爽やかな読後感なんですよね、これも作者の文書力のなせる技ってことかな?

    いじめ&虐待を受ける少女が連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」
    グロいけど空耳アワー的なネタのせいで半分ギャグに突っ込んでる「すまじき熱帯」
    苛烈な拷問描写が続いてめちゃエグいのに同時に美しさも感じてしまう「怪物のような顔の女と時計のような頭の男」が特に面白かった。

  • 昔読んでいたことを思い出した。
    グロい短編集。
    でも、意外と読みやすいし、面白かった記憶あり。
    内容は……記憶にない。

  • 目まぐるしい非日常・非現実的な短編集!

    理解したい奴だけ読みな、説明が欲しいやつは着いてこないで結構、と突き放されつつも、奇怪な世界観につい前のめりに読んでしまった。
    特に「ニコチンと少年」「無垢の祈り」が面白かった。残酷なんだけど、残酷だからこその美しさがきらめく不思議な魅力。

  • 10年前に読んで、度肝を抜かれた作品。
    無垢の祈り、映像化されたらしく、ぜひ観てみたい。好き嫌いはっきり別れそう。

  • 平山夢明のグロ多めホラー短編集


    以下、公式のあらすじ
    ------------------
    タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。
    ------------------

    読むんじゃなかった……
    私は以外とグロ耐性が低かったようだ

    とりあえず、収録は6遍

    ・ニコチンと少年-乞食と老婆
    ・Ωの聖餐
    ・無垢の祈り
    ・オペラントの肖像
    ・エッグマン
    ・すさまじき熱帯
    ・独白するユニバーサル横メルカトル
    ・怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男



    ・ニコチンと少年-乞食と老婆
    街の有力者の息子で、学校で虐められているたろう
    そんなたろうが〇〇◯が二個ある乞食に出会う

    何だろう?権力構造のヒエラルキーに関する話なのだろうか?
    ま、権力というか力関係?
    虐められておるたろうにも優しいパン屋のおじさんは乞食には厳しい
    シンパシーを感じて最初は優しくするたろうもやがて乞食を虐げるようになる

    うーん、よくわからん


    ・Ω(オメガ)の聖餐
    象のような姿で、ヤクザの死体処理の仕事として死体を食べるオメガ
    その世話をすることになった主人公と、見た目に反して知的レベルの高いオメガの会話とその結末

    汚くてグロい
    でも、オメガとの会話には高尚な雰囲気が漂うというギャップ

    オチまでの過程も不思議な設定の中での納得感がある

    大食というスキルが受け継がれるものなのか……?


    ・無垢の祈り
    虐待を受ける少女と、連続殺人犯のお話

    子供の虐待シーンというのはフィクションであっても心苦しい
    最終的には救いがあったけど、果たしてそれも本当の意味で救いなのだろうか?


    ・オペラントの肖像
    芸術が禁忌となった世界のお話
    規制されているものは違えど、「華氏451度」のようなディストピア文学と同じ構造ですねぇ

    ものを考えない人達の世界の方が幸せを実現できるというのもある意味で真理なんでしょうけど
    人類の発展は飽くなき欲望の追求の末の進歩ですからねぇ
    やはり、SFの題材としては面白い

    そしてラストの展開
    まぁ、色々な前フリがあったので何となく予想はできるけど
    どこまで仕組まれたものだったんでしょうねぇ?


    ・卵男 エッグマン
    死刑囚に自白させるために、牢屋の隣にアンドロイドを収容して心理状態を操作しようとする試みがされている社会のお話

    これもまたSFとして面白そうな設定
    だからこそオチが「そうなりますよねー」という感じ


    ・すさまじき熱帯
    音沙汰のなかったダメ親父から連絡があり、熱帯地域に怪しげな仕事に連れて行かれる話

    いやぁーグロいですねぇ
    途中で明かされる事情も、「そんな理由で?」という肩透かし感というか、むしろそんな事情も関係ないと思えるくらいの後の展開


    ・独白するユニバーサル横メルカトル
    地図の視点で語られる連続殺人犯の親子の物語
    本の表題作となっているだけあって構造が面白い

    紙の地図としては、カーナビは地図ではないのですねw
    だとしたら、スマホの地図アプリも同様な現代だと尚更成立しない物語になってるなぁ


    ・怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男
    被虐趣味のある女性と拷問専門の男

    マジ無理
    気持ち悪い……

    切断のシーンは、自分も体の一部を失ってしまったらと想像してしまって恐ろしい気持ちになる
    最後の最後でここまでグロい話がくるとはねぇ




    総じて、自分がグロいものはあまり得意ではないということを再認識できた
    ホラーでも非科学的な霊や呪いを扱ったものだったら冷静に一歩引いて読めるんだけどなぁ
    スプラッタは現実と地続きに感じられてしまうなぁ

    有名作なので読んでみたけど、読まないほうが良かった……


    それにしても、京極夏彦の作中で描写される平山夢明とイメージが合ってるのは、流石は京極さんといったところでしょうか

  • どれもが全てが、独特で個性的でユニークな作品でした。平山さん特有のきつい表現もそれが故に話に溶け込んでました。
    私は、オペラントの肖像が一番でした。

  • 8話の短編集です。
    一言で私の感想を言うのなら、知的なグロテスク。
    どの話も、脳内に印象付けられ、どうしても思い出してしまいます。
    ちょっと難しくて、想像しきれない部分もありましたが、なんだかクセになりそうな世界観です。
    「独白するユニバーサル横メルカトル」は、主人公がまさかの地図帳という、想像を絶するお話でした。
    語り口調がとても丁寧で、読んでいて、「ドグラマグラ」を思い出しました。(途中で挫折しているので、今度読み直したいなと思いました。)
    グロさが目立ったので、顔を歪めながら読んでいましたが、そこは承知の上で手に取った本と言うことは私の好きな分野ということなので、面白かったです。
    平山夢明の頭の中を覗いてみたい。

  • ホラー短編集。基本的には胸糞悪くなる鬼畜系だがSF、ミステリ、ユーモアなどの要素も含み非常にバラエティ豊富。どれひとつとしてハズレがないのがすごい。

    ・「C10H14N2(ニコチン)と少年 ー 乞食と老婆」5…グリム童話のパロディらしいが、サブタイトルの「と」の意味がいまいちよくわからない。
    ・「Ωの晩餐」5…JOJOのポルポを思い出して読んでた。吐きそう。
    ・「無垢の祈り」5…虐待されている少女と連続殺人鬼。
    ・「オペラントの肖像」5…華氏451。緻密な設定と世界観は長編でもいけそう。
    ・「卵男(エッグマン)」5…一番ミステリっぽい。
    ・「すまじき熱帯」4…筒井康隆的「地獄の黙示録」。笑った。
    ・「独白するユニバーサル横メルカトル」3…地図の擬人化。タイトルのインパクトの強さと比べて内容はそこそこ。
    ・「怪物のような顔(フェース)の女と溶けた時計のような男(おつむ)の男」5…拷問専門職の男の強迫観念と夢。

  • 平山夢明先生の作品は初見だと思うのだけど、文章力が凄まじく高い。表現力、比ゆ、メタファー、なんといって良いかわからないけども、凄まじい水準にある。
    ホラー小説は、表現力、描写力が命であるし、その点で凄まじい武器を持っていると思うわけです。
    この文章力に近いものを、己の技術の中に取り込めれば、更に、表現の幅が広がり読むものの脳髄を痺れさせるものもかけるかもしれない。
    が、受け手に言葉を受容する機能がないと意味がないのは、どんな場合も同じで、エッジな表現は人を選ぶかな?

  • 残酷さと静謐さと狂気にユーモアでペダンティックな描写、今まで読んでなかったのが勿体無い。『Ωの聖餐』がいちばん好きだった。『オペラントの肖像』『卵男』も好き。文章とリズムが本当に素晴らしい。ジャンルはバラバラでも特有の文体で語られる不気味でどこか静謐で繊細な表現は惹き込まれる。

全260件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平山夢明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×