魚舟・獣舟 (光文社文庫)

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  • 光文社
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レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745301

感想・レビュー・書評

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  • 表題作が圧倒的!「華竜の宮」から入ってるので、すんなり世界観に馴染んで読めた。青澄の時代より少し前の時代が舞台。自分の半身を、知らずに虐めてしまった女性と、獣舟を狩る、もと海上民の男性のお話。ハッピーエンドじゃないけど、華竜で花開く設定がたっぷり詰まってて、短編なのに読みごたえずっしり。

    その他、くさびらの道がすごかった…。栗本薫の黴を思い出した。面白いくらいに読後感が一緒。

  • どれもはっきりスッキリ終わるという感じの話ではなく、なんとなく物悲しいのが印象的だった。

  • 全体的にちょっと哀しい物語集でした。全六編。

    「魚舟・獣舟」現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来―
    そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わり方は…
    『華竜の宮』『リリエンタールの末裔』と同世界の物語。かなり前に出てたのに知らなかったので、これ目当てで。親や大人や長老はもっと早くに教えとけよ-

    「くさびらの道」寄生茸に食い尽くされる奇病が日本全土に広がろうとしていた。しかも寄生された生物は、ただ死ぬだけではなく…
    怖い…感染した方も残された者もキツイな-三村は幸せだよね。

    「饗応」これも『華竜の宮』に出てきた設定だよね。私も安楽死法はあった方が良いなと思ってるので、貴幸の選択はアリだな-と。

    「真朱の街」妖怪もの。邦雄が身勝手過ぎて…翔子が幸せならいいんでない?

    「ブルーグラス」海洋もの。本当に海中の描写が凄いと思う。いちばん(というか唯一)この先の生活に光を感じる話でした。

    「小鳥の墓」『火星ダーク・バラード』の重要な脇役の過去物語だそうで、未読なので手に取らなきゃと思いました。
    ダブルE区って気持ち悪そう…上っ面を取り繕って演技してるのも、枠を超えず真実を知らずに終わりそうなのも沢山いそうで。

  • 全編共通するのは、あまりハッピーとはいえないキャラたちが主人公ということ。
    でも視点はキャラクタから一歩引いた距離感が保たれているので、ハードな内容でも重くなく、ドライでハードボイルドな印象。この淡々とした調子、嫌いじゃない。

  • 存じ上げない作家さんでしたが、評価が高いようなので気になって読んでみました。異形の世界を描いた短・中編集。おどろおどろしい世界なんだけどなぜか引き込まれます。特に「小鳥の墓」がいい。他の作品とリンクしているみたいなので読んでみたいです。

  • ☆3.7
    なんていうか、どれもこれも不思議な話。近未来っぽくもあるし、妖怪も出てくるし、ホラー要素もあるし...それらの要素が複雑に入り混じって、マーブル模様を作ってるような。

    「魚船・獣船」
    現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚船や獣船と呼ばれる異形の生物と人類との関わり。
    「くさびらの道」寄生茸に体を喰い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物はただ死ぬだけではない。立入禁止区域になった実家に戻った「私」と、妹の婚約者が見たものは...
    「真朱の街」テクノロジーの発達した未来と、妖怪が共存する世界。妖怪やってくのも楽じゃないよね、きっと。
    「ブルーグラス」水質汚染が深刻になり、一部海域が海洋ドームによって区切られ立入禁止になることが決まった。ダイバーの伸雄は、昔その海に沈めた思い出の品「ブルーグラス」を回収しようと1人潜るが...。この話は、てっきりあのまま毒の生物に触れて、自分もブルーグラスの一部になるのかと思った。
    「小鳥の墓」中編。完全に外部から隔離され、子供を健全に育てることに特化したダブルE区。そこに引っ越した"僕"は、こ綺麗だが退屈な街で日常を過ごしていた。ある日同級生の勝原に「外にでないか」と話しかけられ...。

  • 表題作タイトルから、少し民俗学系の幻想ホラーかな?と勝手に想像していたのですが、意外にもどの短編も純然たる「サイエンス・フィクション」という印象でした。どの作品もだいたい近未来が舞台で、なんというか「進化」の先にあるものを描いているところが共通していたのではないかと。

    まず表題作の「魚舟・獣舟」は、都市が水没した未来の世界で、人間自体が進化(変化といっても過言ではないかも)して身につけた新しい形態が主題だし、「くさびらの道」はある種のウィルス(てかキノコ)の進化、「饗応」は人工生命の魂、「ブルーグラス」はなんていうか、新素材?が登場します。

    単純に怖いなと思ったのは想像すると絵的に怖い「くさびらの道」。「真朱の街」はちょっと異色で、なんだろう、妖怪と人間が共存する近未来の街で妖怪ハンターが活躍する、こういう少年漫画がありそうな。

    最後の中篇「小鳥の墓」は、別の長編のスピンオフというか前日譚らしいですが、そちらを知らなくてもとくに問題なく読めました。これまた近未来の閉鎖された実験都市で育てられている子供が<外>に出たがるという設定も、なんらかの情緒が欠如していて平気で人を殺せる快楽殺人者というのも、ありがちなテーマではあるんですが、途中ちょっとしたどんでん返しがあり、なんというか独特の遺伝論(人間にはそもそも「殺人」という本能が刷り込まれてるんじゃないか的な)が展開されてくあたりは興味深かったです。

  • 先端技術の知識を元に想像力を駆使してそれぞれの話の世界を構築してるのが、説得力あり。
    しっかし、全体的に怖かった…。「くさびらの道」でもぞわっとしましたが、最後の「小鳥の墓」が、特に。
    あまり主人公に同調したらおかしくなりそうなので、半分心を閉じて読みました。
    表題作はあの短さなのに濃かった!続編楽しみです。

  • 前から気になっていた上田早夕里を初めて読みました。
    帯や背表紙では,SFが強く打ち出されていましたが,中身はかなりホラー・ファンタジー寄りの短編集ですね。バイオ系の道具立てが多いのが特徴的。
    なかなか好みの話が多いです。
    「ブルーグラス」と「小鳥の墓」は雰囲気と読後感がツボ。
    「真珠の街」はテクノロジーと妖怪が自然に溶け合った世界観が非常に面白く,続編がよみたくなりました。
    完成度が高いのは、「くさびらの道」でしょうか。バイオ系ホラーですね。
    ただ,評判が高く期待していた表題作「魚舟・獣舟」だけは,後半の獣舟の進化の話が安っぽく感じてしまい,興醒めしてしまいました。設定も世界観も面白いし,話にも引き込まれていただけに残念。
    他の作品も読んでみたいですね。

  • 一番長い短編があまり好きじゃなかったです。

著者プロフィール

兵庫県生まれ。2003年『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、デビュー。2011年『華竜の宮』で第32回日本SF大賞を受賞。同作は「SFが読みたい! 2011年版」国内篇第1位に選ばれ、『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』の各表題作、『華竜の宮』の姉妹編『深紅の碑文』と合わせて《Ocean Chronicleシリーズ》と呼ばれ、読者からの熱い支持を集めている。近著に『妖怪探偵・百目』シリーズ、『薫香のカナピウム』など。

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