ひょうたん (光文社文庫 う 15-2 光文社時代小説文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745547

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  • 宇江佐真理の江戸の商売屋をメインにした短編連作集。本所の古道具屋の夫婦が主人公、一人息子は亭主音松の兄の質屋へ丁稚奉公している。おかみさんのお鈴は料理上手だ。音松のところへ夜になると飲み友達が集まってくる。お鈴の料理も彼等の目当てだ。古道具屋へ持ち込まれる物に付随した話、飲み友達の絡んだ話、そして息子長五郎の話、どの話もタイムスリップしたかのように自然に江戸時代へ連れて行ってくれ、寒さ、暑さまで感じるような作者の文章には本当に惚れ惚れする。言葉遣い、表現、どれ一つとして現代的な言い回しは無く、説明されてないのに全体が浮かび上がる。そして相変わらず容赦ない。お鈴が騙りに合った小さな姉弟は義父から虐待されて、最終的にはその命を散らしてしまう。今でも少なからずある話だ。時代は江戸、でもここに書かれた市井の普通の人々は今と同じ事で悩んで、困って、食べて、呑んでしている。

  • こないだの短編集を読んでから持っていたのに気づいて再読する。って完全に内容が抜け落ちている、一つも覚えていないのかね自分。古美術商、いや中古屋を営んでいるのは知っている、それだけですが。最後にいつもつるんでる仲間が死ぬんだね、息子も質屋ではなく家を継ぐんだね。作中でも言っていたが確かに縁を切らず幼なじみからずーっと付き合うのは珍しいかも。

  • 『夜鳴きめし屋』に続き、宇江佐作品二作目。お鈴が作る料理がとにかく美味しそう。それに謎が舞い込む・小道具屋の鳳来堂。江戸時代の人々の暮らしが垣間見え、とても良かった(^^) 星四つ。

  •  宇江佐真理「ひょうたん」、2009.3発行。本所五間堀にある小道具屋、鳳来堂を舞台に、音松33歳、お鈴28歳、息子の長五郎10歳を中心とした物語。織部の茶碗、ひょうたん、そぼろ助広、びいどろ玉簪、招き猫、貧乏徳利の連作6話。タイトルにもなっている第2話「ひょうたん」が逸品です。夏太郎、おたか、常吉の3人家族に幸あれと願います。なお読むのが後先になりましたが、この作品から「夜鳴きめし屋」(2012.3)に続きます。「夜鳴きめし屋」では、たしか長五郎が主人公です。

  • 江戸の人情あふれる連作短編小説。とても読みやすいのは、何故だろうか。ハッピーエンドばかりではないが、読後は心温かになれる。

  • さえない道具屋の音松、いつも何か煮ている女房お鈴と音松の幼なじみ、息子の長五郎らが繰り広げる人情話六編。

  • 宇江佐真理の文書は美しいな。本所の市井の緩やかな空気、そして毎度毎度美味そうな料理の匂いまで伝わってくる。ゆえに腹が減る。鳳来堂には夜な夜な友人達が集まり、酒盛りが始まる。女房はたまにイラっとしつつも、美味い肴を出す。素敵な環境だな。憧れる。何だかんだで家で食う飯が1番美味いもんな。嫁さんってのは、ありがたいもんだ。

  • 通読できたが、ストーリーが平板。
    登場人物にも魅力を感じなかった。

  • 鳳来堂シリーズ一作目。音吉っつぁんとお鈴さんの名物夫婦が、笑わせたりほろりとさせたり。

  • 七輪で料理する食べ物がどれもこれもおいしそう
    いい奥さんです。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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