あの日にドライブ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 1474
レビュー : 163
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745820

感想・レビュー・書評

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  • 夫の友人からお借りしました。

    銀行員として順調に出世していたはずが、小さな失敗から会社を退職し、現在はタクシードライバーとして働いている中年男性のお話でした。

    彼は、今まで人生の分岐点に立った時のすべての岐路で誤った選択をしたと思い始めます。
    夢を追いかけて出版社に就職していたら・・・今の妻ではなく、昔の彼女と結婚していたら・・・銀行であの時上司にあんなことを言わなければ・・・
    たらればの世界にどっぷり浸かり、過去にしがみついた女々しい姿がうっとおしくて、基本的に主人公の成長物語が好きな私はイライラしっぱなし。

    ただ、人生には何度か岐路があり、あの日に戻れたら、と想像することは誰にでもあると思います。
    そういう意味では読者の共感を呼ぶのかな。
    うっとおしいといいながら、私もたらればを想像することはありますしね。
    でも、ふと思ったのは、過去にこだわりすぎることは愚かだし、たらればの世界はないし、身近なものが大切だと気が付いたときに急に世界は変わるものだという事は女性の方が知っているのかもしれません。
    この主人公もエンディングではそれに気が付き、前を向くことができたのでほっとしました。
    サラリーマンのおじさんて、会社という狭い世界だけで生きているから息苦しいんでしょうね。
    女性の方が、働いたり子育てしたりでいろんな世界を持っていて、しかも夫次第で生活が変わることを覚悟して結婚しているから割り切りも折り合いも、頑張りどころも柔軟に対応できるんです。
    今の自分は自分自身が選択し続けた結果ですよ、(なんか上から目線だけど・笑)世の中のおじさん達、それに気づいて頑張って!と言いたい気分になりました。

  • あの時こうしておけば…って思うことあるよね。そして人生は偶然の産物。人生は思い通りにいかないけど、目の前に生活があり…主人公の心情がうまく描かれていて一気に読んでしまった。

  • エリート銀行マンだった牧村は、上司との、ある一言がきっかけで退職を余儀なくされた。次の仕事探しの繋ぎのためタクシー運転手として働き始めるが、そこでは元銀行マンという肩書きは何の役にも立たない。しかし自分のプライドと野望みたいなものは捨てられずにいて、あの時 別の道を選んでいたなら、、という過去の扉を次々に開けていくのだ。これが読んでいてかなりしつこく初めはかなり嫌気がさした。実際こんなネチネチ男の話なんて嫌だ!と思いながら、ふと自分にも重ね合わせたりすると人間だれしもそういう生き物なんじゃないかと痛感したりもする。しかし、妄想の扉を開けてみてもそれは妄想ではない過去という現実。妄想して勝手に色付けしてしまっている世界なのだとやがて気づく。逆を言えば、自分が選んできた今という現実の中にこそ充実した生き甲斐があって、自分で選んできた現実だからこそ進むべき道がある。そんな事にそっと導いてくれるタクシードライバー、牧村でした。

  • 人生は基本運だけど、努力をしないと勝ち取れない運もあって、でも努力をしても勝ち取れない運もあって、結局さまざまな運が積み重なっていまの自分になっているけれど、でもどんな運命になったって嘆く人は嘆くし楽しく生きられる人は生きられるのだから、たられば言ってないで前向きに生きるしかない。そんなようなことを考えるようになったのはいつぐらいなのだろう。伸郎は43才でそう考えるようになったけれど、そういうことを考えはじめたのが10代、20代の人もいれば40-50代、いやもう死ぬまで考えない人もいるんだろうな。22歳のわたしは、上記の思考ってどことなく人生の真理、みたいなものだと捉えているのだけれど、その思考すら若いのかな。歳を重ねるにつれ、こういった思考が熟成して、いつか「しかたなく前向き」じゃなくてほんとうに前向きに生きられるようになったらいいな、と思う。

  • 銀行員からタクシードライバーになった主人公が人生を回想し、やり直すことを妄想する。結局、彼はこのあとどうするのだろう。

  • 7/14の読売「空想書店(楠木新)」で取り上げられていたもの。タクシー運転手となった脱サラ(元)銀行マンのちょっと切ない妄想物語。散々妄想した後、結局、今の自分に前向きになる、というオチはちょっと安易だが、昔好きだったこと(信郎の場合、野球)に還って光明を見出すあたりは結構現実的かも。

  • あの日にドライブ (光文社文庫)

  • エリート銀行マンだった主人公が、たった一度の失言で銀行を止めざるを得なくなり、タクシードライバーに転職。前半は、タクシードライバーとして全く役に立たないところばかり描かれており読むのも辛いですが、なぜか過去を追いかけ始めると少しずつ仕事も上向いていくという後半で救われます。
    「会社を辞めると、ただのおっさん」「家族もかまってくれない」「よりどころは過去の栄光のみ」と、ありきたりだけども明日は我が身のような現実感が印象的でした。

  • 読み始めに、こんな男やだわぁーまじやだわ。人のせいにばっかりしたマイナス思考男。と、思っていたら中盤からの盛り返し。周りにいる人たちもそれぞれが前に進み始めるその瞬間は、普通の普通の話なのに、なんだか感激しました。

    サラリーマン、主婦、社長、いろいろいて、いろいろあるけど、ホント1日1日を大切に生きていけるひとのなんと少ないものか。

    と、我ながら思い返し、自らを省みるような一冊。

    過去の後悔も未来の不安もまずは置いておいて、目の前の今を大切にしようと、当たり前のことに気がつかされた。

  • 途中妄想する主人公に嫌気がさしたけどなんとか最後まで読めた。自分を顧みず周りを見下しタラレバばかり考えていても何も変わらない。運はやはり自分で流れを作るものなのかな。

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著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ。広告制作会社勤務を経て、コピーライターとして独立。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞、14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞、16年『海の見える理髪店』で直木賞を受賞。『砂の王国』『花のさくら通り』『ストロベリーライフ』『海馬の尻尾』『極小農園日記』など著作多数。

「2018年 『それでも空は青い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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