あの日にドライブ (光文社文庫 お 37-3)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334745820

感想・レビュー・書評

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  • 銀行を辞めざるをえなくなったエリート銀行員がタクシードライバーになってから自分の人生を振り返る物語です。

    過去の自分の実績を褒めてくれる人はなく、転職したタクシードライバーの売り上げもまま成らず、不安や不満は過去の自分へ向けられていきます。
    銀行を辞めなかったら、元カノと結婚していたら、懐かしい下宿時代に戻ってみたら、妄想の中で収まらない思いを自分の目で確かめに行動に移す主人公。

    そこで見たのは、住んでいたアパートが老朽化で取り壊しになったり、全く成績が上がらなかったタクシードライバーの仕事が少しずつ軌道に乗ってきたり、時の流れと共に幾つかの偶然が自分の人生を作っていることでした。

    あのときこうしていれば「たら」「れば」は、誰もが思うもの。
    「今」より過去のあのとき、あの道を選んでいた方がよかったのか、、そう思いたい気持ちが深刻な気持ちにさせずユーモアのある描き方で書かれているのも魅力。

    人生いろいろあっても「今」を丁寧に生きていくことが大事であることを教えてくれる本。
    サラッと楽しく読めるのでおススメです!

  • あの日に戻ってやり直したら…
    あの日の自分に伝えられたら…
    と考えても仕方ないことをよく考える

    過去の積み重ねで今の自分があって、
    決して今が不幸せなわけではないけれど、
    違う道に進んでいたらよかったのかもと
    思うことがよくある

    この本は、最初からずっと暗くジメジメした感じで過去を振り返り続けている主人公が
    最後の最後までたいして変わることもないのだが、
    それでも本人なりに満足度がアップして話が終了

    面白かった

  • 43歳元銀行員が転職し、タクシー運転手としての生活を送る中、人生で戻るとしたらいつ?現実や空想やどっぷりと主人公の男の世界に浸った。

  • 夫の友人からお借りしました。

    銀行員として順調に出世していたはずが、小さな失敗から会社を退職し、現在はタクシードライバーとして働いている中年男性のお話でした。

    彼は、今まで人生の分岐点に立った時のすべての岐路で誤った選択をしたと思い始めます。
    夢を追いかけて出版社に就職していたら・・・今の妻ではなく、昔の彼女と結婚していたら・・・銀行であの時上司にあんなことを言わなければ・・・
    たらればの世界にどっぷり浸かり、過去にしがみついた女々しい姿がうっとおしくて、基本的に主人公の成長物語が好きな私はイライラしっぱなし。

    ただ、人生には何度か岐路があり、あの日に戻れたら、と想像することは誰にでもあると思います。
    そういう意味では読者の共感を呼ぶのかな。
    うっとおしいといいながら、私もたらればを想像することはありますしね。
    でも、ふと思ったのは、過去にこだわりすぎることは愚かだし、たらればの世界はないし、身近なものが大切だと気が付いたときに急に世界は変わるものだという事は女性の方が知っているのかもしれません。
    この主人公もエンディングではそれに気が付き、前を向くことができたのでほっとしました。
    サラリーマンのおじさんて、会社という狭い世界だけで生きているから息苦しいんでしょうね。
    女性の方が、働いたり子育てしたりでいろんな世界を持っていて、しかも夫次第で生活が変わることを覚悟して結婚しているから割り切りも折り合いも、頑張りどころも柔軟に対応できるんです。
    今の自分は自分自身が選択し続けた結果ですよ、(なんか上から目線だけど・笑)世の中のおじさん達、それに気づいて頑張って!と言いたい気分になりました。

  • あの時こうしておけば…って思うことあるよね。そして人生は偶然の産物。人生は思い通りにいかないけど、目の前に生活があり…主人公の心情がうまく描かれていて一気に読んでしまった。

  • エリート銀行マンだった牧村は、上司との、ある一言がきっかけで退職を余儀なくされた。次の仕事探しの繋ぎのためタクシー運転手として働き始めるが、そこでは元銀行マンという肩書きは何の役にも立たない。しかし自分のプライドと野望みたいなものは捨てられずにいて、あの時 別の道を選んでいたなら、、という過去の扉を次々に開けていくのだ。これが読んでいてかなりしつこく初めはかなり嫌気がさした。実際こんなネチネチ男の話なんて嫌だ!と思いながら、ふと自分にも重ね合わせたりすると人間だれしもそういう生き物なんじゃないかと痛感したりもする。しかし、妄想の扉を開けてみてもそれは妄想ではない過去という現実。妄想して勝手に色付けしてしまっている世界なのだとやがて気づく。逆を言えば、自分が選んできた今という現実の中にこそ充実した生き甲斐があって、自分で選んできた現実だからこそ進むべき道がある。そんな事にそっと導いてくれるタクシードライバー、牧村でした。

  • 2度目の読了。共感できる。勇気が出る。元気が出る。

  • 100ページ、200ページと読み進めても相も変わらず、あの時は〜こうだったら〜の反芻ばかりで
    進展が無く退屈な作品で、主人公の牧村には一切の共感が持てなかった。

  • タイトルから想像できそうなものの、萩原作品ということで、つい買ってしまった……
    あの日に帰りたいものでした、ハァ~……
    萩原さんの子ども目線での作品は、ホントにいいのですがね

  • 少し生きることに息切れしたり、疲れたり立ち止まった時にひと息つく感じでまた読みたい。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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