赫眼 (光文社文庫 み 25-3)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746452

作品紹介・あらすじ

目を奪う美貌と、小学生とは思えぬ色香。転校生の目童たかりは、謎めいた美少女だった。学校を休んだ彼女に届け物をしに、少年が訪れた家の奥-そこには、あまりにも禍々しい何かが横たわっていた…(表題作)。合わせ鏡が作り出す無限に続く映像世界。その魔力に取り憑かれた男を襲う怪異とは(「合わせ鏡の地獄」)。書下ろし掌編を含む、悪夢のような傑作十二編。

感想・レビュー・書評

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  • 短編八篇と、書き下ろし掌編四篇が収録された、著者初のホラー短編集。著者の怪奇短編の原点と言うべき作品で、どれもとても怖かった。表題作『赫眼』は、正体不明の怪異だけでなく、最後の台詞でゾクッとした。『灰蛾男の恐怖』は、ミステリ的な謎解き要素のある短編。勿論とても怖い。『後ろ小路の町家』は、背後から迫って来る怪異の描写に戦慄不可避。

  • 全て著者自身の実体験である感じで書かれている短編集。どこまで本当なのか分からないんだけど、最初と最後のお話が繋がった時の鳥肌!
    別の「電話」をテーマにしたアンソロジーに入ってためちゃくちゃ怖い奴が収録されてて、それも読み返せて良かった。

  • ミステリとホラーを融合させた作風といわれる三津田信三の短編集。個人的にはこの短編集にはさほどミステリ色は感じられない。また、「ホラー」というカタカナ語よりも、怪奇小説とか恐怖小説と言い表した方がよいような、独特の湿り気と粘つきを感じる。
    作中で、著者の分身のような登場人物が、「昭和二十年代から三十年代の農山村や孤島などの閉鎖的な空間を舞台に、憑き物信仰や葬送儀礼といった民俗学的なテーマを題材にして、怪奇幻想色の強い探偵小説を主に書いています」と言っているが、なるほど、昭和の匂いが強いかもしれない。読みながら「口裂け女」などを思い出したりしていた。

    8編の短編の間に、4つの掌編というか、 ごくごく短い、聞き書きや体験談のような話が挟み込まれている。
    掌編の方は、特に落ちがなく、尻切れトンボのような話もある。それが逆に真実味を帯び、妙な余韻を残す。
    短編で特徴的と感じられるのは、現実と虚構を編み上げていく手法の切れ味と、読者の半歩先を行く意表の付き方のうまさである。
    現実の雑誌や怪奇写真家を織り込みながら、いつの間にか、虚構の世界に引き入れられている。ほかの短編に出てきた怪異が別の短編に引き継がれるのも、既視感を後押ししている。虚構の話を何度も聞いているうちに、それが現実のことのように思えてくるのだ。

    そのうえで、「来るぞ、来るぞ」と待ち構えている読者の背後から、「実はこっちだ!」と言わんばかりのひねりが入る。

    全般に、この作者は「つなぐ」ことに長けているのだろう。
    あちら側とこちら側の境目。現実と虚構のあわい。
    作者の手引きで、そこを「つ・・・」と通り抜けたときに、自信が揺らぎ、恐怖が生まれる。

    そのとき、怪異が現実にこの手元の本から浮かび上がる、または本の中の怪異の世界に引きずり込まれる錯覚に襲われるのだ。いや、それはもしかしたら「錯覚」ではないのかもしれない・・・。

  • ココで紹介されてたのを見つけました。
    装丁が怖い。。。
    そういえば夏なのに怖いの読んでないなぁ と。

    なんていうか、すっごく読み辛くて。
    3歩進んで2歩下がる感じで読み進めたのですが、
    そのせいか欲した恐怖が感じられなかった。
    自分の読解力の無さを改めて痛感。

    それでも『赫眼』『合わせ鏡の地獄』『死を以て貴しと為す』は少し怖かった。
    僕も子供のころ、合わせ鏡の不思議で遊んでたけど数えなくて良かった。
    数えてたら今頃この世には居なかったかも。

  • その少女を決して家に招き入れてはいけない。彼女は魔性の物なのだから。一度読んだ本を再読。朧気に覚えていた恐怖感よみがえった。タイトルになっている話より私は「怪奇写真作家」、「後ろ小路の町家」の方が私は恐ろしかった。

  • 一番最初と最後の話が面白かった。

  • 風邪引いて熱出してる時に読むのにふさわしい一冊ではないかもですが、没頭して読んでしまった。実は微妙に話が繋がっててそれに気づいてゾゾっとした。

  • 短編集。いつもミステリーとホラーの融合した話を書いてる人だけどホラーだけは初めて見た…
    怖かった…!!!

    特に怖かったのは「後ろ小路の町屋」。

  • けっこう怖かったです。短編ですが、話一つ一つがしっかりしていて、満足しました。

  • 怖い話には惹かれるが、読んだ後トイレやお風呂が怖くなる人は電灯をつけて
    昼間に読みましょう。
    怖い話には惹かれるし、読んだあともひょっとしたら怖い体験に自分も出会えたらなー、
    といったタイプの向こう見ずな人は、深夜に枕元の電気スタンドだけで読みましょう。
    寝返りを打とうと反対側を向いた瞬間に、この表紙の女の子が笑って
    あなたを覗き込んでいるかもしれませんよ。

    そんな無駄話はさておいて、本当に買ってよかったホラー本の一つでした。
    読む端からゾクゾクとしたものが背筋を駆け上がります。
    背後や頭上が妙に気になり、物語がおぞましい展開を見せるたび、
    顔を引きつらせ、身体をこわばらせて、それでもページをめくる手は
    止めることができません。

    ストーリーの中身は、あくまでもよくある「怖い話」。
    ネットで既に飽和状態の傾向すらある、ごくごくよくあるような怖い話です。
    しかし、それをどのような文章で表現するかによって、ここまで恐怖の感じ方は
    変わるのだなと舌を巻きました。
    正体不明の存在が正体不明なまま、『何かわからないが怖い』で終わる点も
    素晴らしいと思います。
    主人公には怖い目に遭うような理由は何もない。
    ただ理不尽に、何のいわれもなく、おぞましいものがヒタヒタと忍び寄る。
    ホラー(特に日本的なじわ怖)が好きな人が、本当に求めている怖さの要素を
    兼ね備えた本だと思います。

    オススメは、『後ろ小路の町家』

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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